皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「僕の最期の時間は君のために使う」

桜色喫茶」のみおさんから、先日の沖田さんに傘をさしかけてる千鶴ちゃんのイラストにSSを頂きました♪
色々お忙しい時期なのに、ありがとうございます^^


今回はみおさんにしては珍しく(と言ったら失礼かな(^^;)、いつものほっこり可愛らしいお話とは違って、
しっかりとシリアスです。
そして千鶴ちゃんが沖田さん相手に負けていないのが、結構新鮮w

みおさんのストレートな沖千、
どうぞ続きから堪能して下さい^^



挿絵は感謝を込めてみおさんへ進呈します♪
他の方はご遠慮下さいね。




僕の最期の時間は君のために使う




「沖田さん!お願いですから、ご自分で傘を差してください。
この体勢、結構辛いんですよ!」

カット855


傘も持たずに雨の中ふらりと外に出た沖田を、急いで追いかけて後ろから傘を差す。
千鶴の身長では沖田に傘を差すにはだいぶ背伸びをしなければならず、腕が攣りそうだった。
「だったら帰ればいいんじゃない?別に、「傘を持って付いてきてくれ」なんて頼んだわけじゃないし。」
千鶴の方を振り返ろうともしない。
「ですが、このままでは風邪をひいてしまいます!」
「帰れ」と言われて「わかりました」と引き下がるわけにはいかない。
沖田の病のことを知っているからこそ、今風邪をひけばどれだけ危ないかを知っているからこそ、自分一人で帰るわけにはいかない。

「僕が風邪をひいたって君には関係ないでしょ?」
「沖田さんが風邪をひけば、みなさん心配します!近藤さんや土方さんも。それに斎藤さんたちだって…」
「ほら、君には関係ないじゃない。」
ようやくこちらを見たと思えば、初めて会った日のような冷たい目をしていた。
屯所で悪戯してきた時とは違う、冷たい目。
「わ、私だって心配します。だって、沖田さんは…」
「僕が、何?」
すっと顔を近づけてくる。
触れてしまいそうなほどに近くから見つめられ、目が逸らせない。
「沖田さんは、私にとって、大切な人…だから。」
「大切?僕が?あんなに毎日「斬る」とか言ってきていた人間のことが、大切なんだ?」
あはは、と声を上げて笑っているが、向けられる視線は冷たいままだ。

「信じていただけなくても、沖田さんは私にとって大切な人です!」
「ふーん。君って本当に、鬱陶しいよね。」
ざわっと空気が揺れた気がした。
気配に鈍い千鶴でもわかる。
自分は今、目の前の人物から殺意を向けられている。
だが引いてはいけない。ここで引けば、きっともう帰ってこないような気がするから。
「う、鬱陶しくても構いません。とにかく一緒に屯所に戻ってください。こんな夜に外に出ては体が冷えてしまいます。」
「なんで君に指図されなきゃいけないのさ。
それに、今日は僕非番なんだよ?少し散歩に出るくらい、文句を言われる筋合いはないね。」
そう言ってまた、歩き始めてしまう。
「待ってください!」
思わず腕にしがみつく。
恥ずかしいなんて思っている場合じゃない。
とにかく沖田の体調を考えれば、すぐにでも屯所に帰したい。

「はぁ…なに、千鶴ちゃん。君が相手してくれるわけ?」
「相手って、お散歩のですか?」
「そんなわけないでしょ。わからないかな?僕これから女の子に会いに行くんだ。でも、君が相手をしてくれるなら戻ってもいいよ。」
嘘だというのは直感的にわかった。
千鶴を遠ざけるための嘘だと。
「…わかりました。」
怖い。
だけど、これで沖田が戻ってくれるのなら。
「ふぅん、じゃあ帰ろうか。」
千鶴から傘を奪い、彼女をひょいっと抱える。


屯所に戻ると、沖田はまっすぐに自分の部屋へ向かう。
千鶴をそっと下ろすと、上に覆いかぶさる。
ぎゅっと目を閉じ、小刻みに震える千鶴。
そっと頬に触れればびくっと身を震わせる。
「はぁ…やめた。」
そう言って千鶴の横に腰を下ろす。
「僕、白粉臭くて男慣れしているような女の子も嫌だけど、君みたいに怯えている子と無理矢理する趣味もないから。」
「ですが…」
「なに、そんなにしてほしいの?だったら遠慮なくするけど?」
「そういう意味じゃ…」
顔を真っ赤にして俯いてしまう。
「今日はこのまま大人しく部屋にいるから。君はもう行っていいよ。」
「沖田さ…「出てって。」
完全に拒絶され、身を抱えながら沖田の部屋を出ていく。

「はぁ、何やっているんだろう。格好悪いな。」
千鶴を部屋から追い出した後、ごろんと横になり、自嘲気味に笑う。
「怖い思いさせちゃったよね。でも、これでもう僕のことは嫌いになって構わなくなる。
…これでいい。この方があの子のためなんだ。」
誰に聞かせるわけでもなく、独り言のように呟く。


次の日、沖田は寝込んでいた。
朝から体が重く、熱っぽかったからだ。
おそらく昨夜雨に濡れたのがまずかったのだろう。
土方からは「ったく、この忙しいときに…」と小言は言われたが、自室で休むことになった。
「はぁ…」
自然と溜め息が漏れる。
―自分は何をやっているのだろう。近藤の剣として、最後まで役に立とうと無理をした結果がこれだ。ちょっとした風邪で動くのも辛くなる。
自分がひどく惨めに思えた。

「あの、沖田さん。入ってもよろしいですか?」
部屋の外から千鶴の声が聞こえてくる。
「何?僕に何の用?」
きっともう自分のもとには来ないだろうと思っていた。
不意を突かれて上手く言葉が出てこない。
「お粥をお持ちしたのですが…」
「…入って。」
昨日までと変わらない様子…否、緊張した様子で沖田の部屋に入ってくる。

「ねぇ、君は馬鹿なの?昨日あんなことされたのに、よく来られるよね。」
「沖田さんが風邪で寝込んでいると聞いたので。」
「あのさぁ、また昨日みたいなことされるって思わなかったの?」
驚きを通り越して呆れすらしていた。
自分にはもう会いたくないだろうと思っていたから。

「沖田さんは、あんなことするような人じゃありませんから。」
そう言い切る千鶴は、まっすぐ沖田のほうを見ていた。
全部が見透かされているようで怖かった。
「君に僕の何がわかるのさ!」
語気が強くなり、千鶴を押し倒す。
「ほら。また昨日と同じことになったよ。どうするの?」
意地悪く言ってみるが、千鶴は沖田から目を逸らさない。

カット863僕の最期の時間は君のために使う

昨日のように怯えるわけでもなく、まっすぐに沖田を見ている。
その瞳に耐え切れず、強引に唇を奪う。

顔を離すと、見下ろす千鶴の顔は真っ赤になっていた。
「もしかして、昨日の続きをしてほしくて僕の部屋に来たの?」
こんな言葉しか出てこない自分が嫌になっていた。
早く走って逃げだしてくれたら楽なのに。

「ねぇ、何でこんなことされてまで僕に関わるの?土方さんにでも頼まれたの?
僕が無茶しないように面倒を見ろって。」
「土方さんには何も言われていません。」
「じゃあ何?今まで意地悪されていた分、弱った僕を見て笑いたいの?」
千鶴がそんなことしないことくらい、わかっている。
だからこそ、自分には関わってほしくなかった。
普通の男と結婚して、普通の幸せを…
それが無理でも、こんな病持ちではなく、土方たちのように傍にいてやれる人間と一緒になればいい、と。

「私の気持ちは、昨夜お伝えした通りです。
ここにいるのは、沖田さんの看病をするのは、沖田さんが私にとって大切な人だから。」
「なんで…何で僕なの?
土方さんとか一くんとか、健康で、傍にいてくれるような人と一緒にいればいいのに。
何も僕なんかじゃなくて…」
自分で言っていて、どんどん自分の心の傷が深くなっていく。
病のことは、もう諦めたつもりだった。
今までの沖田であれば、最期の瞬間まで、近藤のために剣を振るっただろう。
だけど今は違う。
千鶴の傍にいたいと願ってしまった。
病のことがわからなければ、いつかは夫婦になりたいとも思っていた。
想いを自覚し始めた頃、こんな身体になった。

「私は、沖田さんがいいんです。沖田さんのことが、好きだから。」
「僕は近いうちに必ず君の前からいなくなる。
一緒になんていてあげられない。」
「例えそうでも、私は沖田さんと一緒にいたいです。」

「はぁ…まったく、本当君ってば…」
千鶴の隣に横になり、彼女の手を握る。
「ねぇ千鶴ちゃん。今度散歩するときは一緒に来てくれる?
もちろん、天気のいい日に。」
「ご一緒してもよろしいのですか」
「あのね、僕が誘っているんだから、君は大人しく「はい」って言っておけばいいの。」
「はい!」


沖田にとって、残された時間はそう長くない。
近い将来、起き上がるのも難しくなるだろう。
だからこそ、残された時間は千鶴のために。
近藤の剣として生きる以外の、生きる意味を与えてくれた彼女のために。
誰に言うわけでもない、心からの誓い。
「(近藤さん、ごめんなさい。近藤さんのためだけに生きるって決めていたのに…
こんな身体になった今、彼女のために生きたいと思ってしまったんです。
わがままな弟子でごめんなさい。でも、きっと近藤さんなら許してくれますよね?
必ず、最期の瞬間まで彼女の傍にいて、守ってみせますから。)」

『僕の最期の時間は君のために使う』


  1. 2016/07/17(日) 22:30:37|
  2. 頂きもの
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  1. 2016/07/18(月) 09:01:42 |
  2. |
  3. #
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みお様♪

こちらこそありがとうございました^^
次回は「壁ドン」「顎クイ」のシリアスSSをお待ちしていますねwww
  1. 2016/07/18(月) 20:19:27 |
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  3. ちょこ #-
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