皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「僕の想いは月に照らされて」

今のシーズンに合わせての、沖千お月見SSをみおさんから頂きました。
ありがとうございます♪


以前頂いた原千ハロウィンSSもそうですが、みおさんの書くお話のキャラは可愛いですよね^^
おかげで、おまけイラストがついついちびキャラになってしまいますw
今回は随分と前のイラストをご指定で、私的にはちょっと恥ずかしい気分。
今のと違和感なければいいのですが(^^;

ではでは、続きから
ほのぼの沖千をご堪能下さい^^



挿絵は感謝を込めてみおさんに進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




僕の想いは月に照らされて




京都において、壬生狼とまで呼ばれる新選組は、一人の少女によって変えられた。
少女の名は、雪村千鶴。
京都で行方不明になった父を捜すために、男の身なりをして江戸から単身京都まで来たのだが、運悪く新選組で軟禁の身となる。
最初こそ監視対象であった千鶴だが、今では皆に愛されるような存在になっていた。男所帯で掃除や洗濯などは大雑把に済まされていたのだが、千鶴が来てからは隅々まで行き届いた掃除、破れていた箇所は繕われ、きれいに畳まれて戻ってくる洗濯物。他にも細かな気配りのできる千鶴は、皆に可愛がられていた。


沖田総司はおもしろくなかった。
何が、と聞かれたら自分でもわからないのだが、とにかくおもしろくないのだ。あの少女が来てからというもの、屯所内の空気が変わった。
ピリピリと張りつめていた空気がいつの間にか和やかなものへと変わっている。しかし、その空気は決して嫌いではない。大好きな近藤にも笑顔が増え、沖田にとっても喜ばしい変化だった。それなのに何故、自分はこんなにももやもやしているのだろう。
千鶴が皆と打ち解けるにつれて、彼女にも笑顔が増えていく。原田や永倉は妹のように彼女と接し、彼女もまた二人を兄のように慕う。年の近い藤堂は、幹部の中でも唯一名前で呼ばれ、今ではまるでかねてからの友人のように仲良くなっている。斎藤や土方も、他の者と比べればわかりにくいが、明らかに彼女に対して甘い。そんな彼らを千鶴は信頼している。
一方で、自分はどうだろうか。もちろん、日頃の悪戯のせいではあるのだが、沖田の姿を見つけると瞬間びくっとすることがある。全くもっておもしろくない。
土方や原田にしてみれば沖田のこのもやもやという感情の正体がわかるが、沖田がこの感情に気付くのは、もう少し先のお話。


昼食の後、沖田は近所の子どもたちと遊ぶ約束をしていた。
「 ( 千鶴ちゃんも誘って行こうかな。 ) 」
最近は子どもたちと遊ぶ時に彼女を連れていくことがある。初めて連れていった時、一目で女だとばれてしまい、落ち込んでいた。
『うぅ、私の男装ってそんなにわかりやすいんでしょうか…』
『最初に屯所に来たときもそうだったよね。よく江戸からの道中ばれなかったものだと感心するよ。』
『もう、沖田さんひどいです!』
それ以降、子どもたちからは「千鶴お姉ちゃん」と呼ばれている。


沖田は千鶴の部屋を訪ねてみたが、姿が見えない。探してみようと屯所内を歩いていると、すぐに見つかった。乾いた洗濯物を取り込んでいた。
「千鶴ちゃん!」
声をかけると、たくさんの洗濯物を抱えた彼女がこちらへ来る。
「沖田さん。どうしたんですか?」
「 ( この量なら手伝ってあげればすぐに片付くよね。 )
ねぇ千鶴ちゃん。この後暇?」
「この後、ですか?
えっと…お洗濯物を畳んで、平助くんの着物の破れていた箇所を繕って…」
―ピキッ
「土方さんにお茶を頼まれていたので持っていって…」
―ピキピキッ
「斎藤さんと夕御飯の買い物に行こうと思っていましたが…」
―ピキピキピキッ

カット719僕の想いは月に照らされて

気分よく千鶴に話しかけた沖田だったが、彼女の言葉で笑顔がどんどん怖くなっていく。
「ふぅ~ん、じゃあいいや。」
何故だか急に腹が立って、くるりと向きを変えて出掛けようとする。
「お、沖田さん!?」
千鶴に呼び掛けられても反応せず、すたすたと歩いて行ってしまった。
「な、なんだったんだろう?何か怒ってた?」


ふてくされながら子どもたちとの待ち合わせ場所へ行くと、既に全員揃っていた。
「総司おっせーぞ!」
一人の男の子が声をあげると、いつもの笑顔に戻り、小走りで皆のもとへ向かう。
「ごめんね、遅くなって。」
「あれ、今日は千鶴お姉ちゃん来てないの?」
今度は女の子の一人が声をかける。
「うん。忙しいんだって。
僕たちと遊ぶより一くんとか土方さんの方が大事みたいだから。」
少し不機嫌そうに言う。子どもたちからしてみれば怖い笑顔だった。
「 ( なんで僕がいらいらしないといけないのさ。 ) 」


あの後子どもたちとかくれんぼをしたりして遊び、あっという間に夕方になった。
「みんな、そろそろ帰らないとねー。」
子どもたちを送った後、何故かまっすぐ屯所に戻りたくなくて、遠回りして帰る。いつもは通らないような道を通り歩いていると、立派なススキが目に入る。近付いてみると、沖田の胸元まであるような大きなススキだった。
「 1 、 2 本なら貰っても大丈夫だよね?」
たくさん生えてる中から端の方の 2 本を抜く。
そのまま手でススキを弄りながら屯所へ帰る。


「あ、沖田さん!おかえりなさい。」
屯所へ帰ると、千鶴が出迎えてくれた。彼女は沖田の持つススキに目が行き、
「わぁ、立派なススキですね。」
「そう?帰る途中に生えてたんだけど、欲しいなら君にあげるよ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!
そうだ、今日は丁度中秋の名月ですし、お月見でもしませんか?」
中秋の名月―夏の作物の収穫もほとんど終わり、稲刈りをするまでの手の空く時期に稲の豊作を祈るお祭りを行ったことが始まりと言われる。
「ススキは沖田さんから頂いたものがありますし、お団子は私がなんとか作りますから!」
「仕方ないなぁ。そこまで言うなら少しだけ付き合ってあげる。」
さっきまでいらいらしていたはずなのに、千鶴と話しているだけで和らいだ。軽い足取りで自室へと戻る。


その日の夜、沖田が自室の前にススキを飾って待っていると、月見団子を抱えた千鶴が来た。
「すみません、お待たせして。沖田さん、そんな格好で風邪でも引いたらどうするんですか!」
「大袈裟だなぁ、大丈夫だって。」

カット180

沖田の隣に団子を置き、彼の肩に羽織を掛け「つまみ食いしたら駄目ですからね!」と言い残してお茶を淹れに勝手場へと戻っていく。
「 ( 先に一つ味見でもしようかな♪ ) 」
千鶴が戻ってくる前につまみ食いをしようとすると、三段目に乗っているうちの一つが目に入る。
「 ( なにこれ? ) 」
「お待たせしました!…って沖田さん、つまみ食いはひどいです!」
ぷぅ、と頬を膨らませる。
「まだ食べてないって。ねぇ千鶴ちゃん。これ何?」
こいつ、と団子の一つを指差す。
「この子ですか?えっとですね、お月見といえばうさぎさんかなと思いまして…
作ってみたんですけど、駄目でしたか?」

団子にはうさぎの顔が描かれていた。
「目が黒ゴマで、耳は抹茶をお湯で溶いたもので着色してみたんです。
せっかくのお月見ですし、少し頑張ってみました!かわいくできたと思うのですが…」
そう嬉しそうに語る千鶴を見ていると、いつもはむかむかしている胸の奥がじんわりと暖かくなる。他の誰でもなく、自分とのお月見を楽しみにしてくれていた。そのことが嬉しくて、でも何故かくすぐったくて。その時ふと最近もやもやしていた原因がわかった。まるで自分では気付かなかった想いを、月が照らしてくれているようだった。わかってしまうとこんなにも単純で簡単なことだったのだ。
自分の千鶴への想いに気付くと、途端に恥ずかしくなり、顔を背けてしまう。

「沖田さん?」
突然顔を背けられたことが気になり、沖田の顔を覗き込む。
「っ!何でもないよ。まぁ、千鶴ちゃんにしては上手にできたんじゃない?花冠は僕の方が上手だけどね。」
照れ隠しからついまたいじわるを言ってしまう。
「た、たしかに普段は不器用ですけど、今回は上手にできたんですから。」
ふてくされる様子がかわいくて、またいじわるを言いたくなる。
「まぁ大事なのは味だよね。」
言いながら団子に手を伸ばすと、先ほどのうさぎと目があった。なんとも食べにくいものである。

「ねぇ千鶴ちゃん。こいつ目があって食べにくいんだけど。」
「そうですか?じゃあこの子は私が食べますね。」
そう言うとうさぎ団子を摘み、かぷりと食べる。
「よく食べられるよね。さっきかわいくできたとか言ってなかった?」
「言いましたけど、せっかく作ったお団子なので食べないと!」
「まったく君は、『花より団子』というか『月より団子』だね。」
そんなところまでかわいく思えてしまう。別のお団子を食べながら、二人で月を見上げる。

「きれいですねー。」
「うん、そうだね。
そうだ、お月見って十五夜にしたら一ヶ月後の十三夜にもしないといけないんだって。だからさ、その…来月も僕とお月見しない?」
古くから、十五夜だけお月見をするのは片月見と呼ばれており、縁起が悪いとされている。
「はい!その時はまたお団子作りますね。」
「うん、楽しみにしてるね。」
千鶴が沖田のほうを向くと、月明かりに照らされた彼の顔が赤くなっているように見えた。風邪でも引いているのかと思ったが、そんな様子はない。
あんまりじろじろと見ていると怒られるので月へと視線を戻す。
「(もぐもぐ…。お団子おいしいなぁ…)」

沖田の想いに千鶴が気付くのは、きっともっと先のこと。


  1. 2015/10/01(木) 17:44:46|
  2. 頂きもの
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  1. 2015/10/02(金) 11:07:59 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

みお様♪

こちらこそ、今回も可愛いお話をありがとうござました^^
おまけイラストも気に入って下さったようでほっとしてます。
腐女子から妄想が広がったんですか?
どんなお話が浮かんだのか、できれば読んでみたいです♪
お忙しいでしょうが、時間に少しでも余裕ができましたら是非!
  1. 2015/10/02(金) 20:41:21 |
  2. URL |
  3. ちょこ #-
  4. [ 編集 ]

うさぎさんのお団子。

こんばんは、みお様、小萩です。
先日はあたたかい、お優しいお言葉を
ありがとうございました。まだまだ
病院通いが続き、心もふさぐことも
多いのですが、ちょこ様のサイトに
お邪魔させていただき、萌えでパワーを
いただいています。みお様もお身体
くれぐれもお大切に、ご自愛なさって
下さいね。

総司と千鶴ちゃんのお月見。色々と
屯所の雑用で忙しい千鶴ちゃんを
遊びに誘えなくてイラッとしちゃう
総司が何だかヤキモチをやいている
みたいで、クスクス笑ってしまいました。
夜になって、千鶴ちゃんとお月見。
お団子の中に可愛いうさぎさんの形を
したものが。「可愛すぎて食べられない」
って総司が可愛かったです(笑)。
千鶴ちゃんはためらいなくパクリ。
でも、ありますよね、動物の形を
したお菓子、鯛焼きとか、ひよことか、
ちょっと食べるのに一瞬迷っちゃいます。
もちろん食べますが。私はえいって頭から
食べることが多いです。みお様はいかがですか?

こちらに嫁いで来た頃に、雑誌で紹介されて
いる和菓子のお店で、お月見の時期になると、
お月見団子にうさぎさん団子を作ってくれる
お店を見つけまして。毎年楽しみに買いに
行ってたのでえすが、数年前からうさぎさん
団子は作ってくれなくなってしまい、店頭から
消えてしまってすごく寂しい思いをしています。
私も千鶴ちゃんみたいに手作りでお団子
作っちゃおうかな。可愛かったんんですよ。
甘さ控えめですごく美味しくて、贔屓の
お店だったのですが、しゅーん(涙)。
これは「手作りをしなさい」との神様の
お言葉なのかも。来年は挑戦してみますね。
素敵なほっこりするお話をありがとうございました。
  1. 2015/10/31(土) 00:38:48 |
  2. URL |
  3. 小萩 #-
  4. [ 編集 ]

小萩様♪

小萩様、嬉しいコメントありがとうございます。
まだ通院続いているのですね。どうかご無理をなさらないようお気をつけ下さい。

まだ千鶴ちゃんへの想いに気付かない沖田さんには、ヤキモチを妬く理由がわからなくて、余計にもやもやしちゃうと思います。可愛いですね(笑)
動物の形をしたものとか一瞬迷っちゃいますよね。
私は鯛焼きは頭から食べる派です。ミ◯キーの形をしたものは耳から食べます(笑)

気に入っていたものが店頭から無くなると寂しいですよね(p_-)
「私は好きだったけど人気なかったのかな?」みたいで寂しいです。
手作りのお団子でお月見というのも素敵ですね。作ってみたら是非感想聞かせて下さいね(^^)
  1. 2015/10/31(土) 22:20:39 |
  2. URL |
  3. みお #-
  4. [ 編集 ]

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