皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「初日の出にお前を偲ぶ」

桜護雪」の香西香住さんからの頂き物です♪


今年の一作目は、新年にふさわしいお話を頂きました^^
しかし、シリアスな原田夫妻の年頭のお話かと思いきや・・・
あの人が出てきた辺りから風向きがいつもの香住さんノリに・・・? w

つい風間夫妻の日常生活の方に、興味が向いてしまいそうになる、
今年も相変わらずの香住さんテイストのお話は、続きからお楽しみ下さい♪



挿絵は感謝を込めて香住さんに進呈します。
他の方は御遠慮下さいね。


初日の出にお前を偲ぶ


「左之助さん」

ふいに目覚めると隣で私に温もりと幸せを与えてくれていたはずの夫の姿がなく、探すと、海の前で佇む姿を見付けた。声を掛けるとすぐに気付いてくれ、私の大好きな笑顔を向けてくれる。

「千鶴」
「起きたらいらっしゃられなかったので、お探ししました」
「ああ。悪かった。こっちに来いよ、初日の出が見れる」
「はい」

誘われて歩み寄る。

「綺麗ですね」

海に上がる初日の出は水面にも移り、とても綺麗だ。
肩を抱き寄せられたので、広く逞しい胸に顔を寄せる。

カット570

「…奥沢」
「え?」

ともすれば聞き取れぬ程の声で左之助さんが呟いた。

「奥沢栄助。覚えてるか?我が十番組自慢の伍長だ」
「……忘れられません」

私が新選組にお世話になって、初めて亡くしたまともな隊士さんだ。会話はあまりしたことがなかったけど、目が合うとお優しく微笑んでくれる穏やかな方だった。

「あいつが言ってたんだよ。海に映る日の出はとても綺麗だって。……俺なんかに憧れて新選組に来たらしくて、慕ってくれてさ。歳上で時々口喧しい所もあったが、十番組内では一番頼ってた。だから、たまにこうやって日の出を見ると、あいつを思い出しちまうんだよな」

そう話す左之助さんの微笑みは、優しくて穏やかで、でも何処か哀しげだった。

「……そんな左之助さんを慕っていた奥沢さんなら、こうして時折左之助さんが偲んで下さる事を喜んでいると思います」
「……そうか?」
「はい。私はあまり話したことがありませんでしたが、お優しい方でしたし。左之助さんの幸せを天で見守ってくださっているのではないでしょうか?」
「そうさな……」
「来年も、一緒に日の出を見て、偲びましょう。左之助さんが、私といて幸せを感じてくださるのなら……ですけど」

そう言って彼の瞳を見詰めると、当然だろ、と優しい接吻をくれた。

「……そうだな。そうすっか。幸せを見せ付けてやろう」
「…はい!」
「…よお。そろそろ良いか?」

互いに微笑んでいると、別の声が入った。
振り向くと、赤子を片腕に抱いた不知火さんが立っていた。

「よぉ。おはよう、不知火」
「お、お早うございます、不知火さん。ごめんなさい!任せっきりで…」

久しぶりに左之助さんとのんびり出来て、忘れていたなんて、とても言えない。
不知火さんの腕の中でご機嫌に笑っているのは左之助さんと私の間に産まれてきてくれた愛息子だ。
昨日、何年かぶりにふらりと訪ねて来た不知火さんにすっかり懐いてしまって、気を良くしたのか、私に偶にはのんびりしろと、子守を申し出てくれたのだ。

「まあ、良いけどよ。こいつ、腹空かせてる。乳やってやれよ。流石に出ねぇ。後、不知火匡様自慢の雑煮も出来る。身体冷やすのも良くねぇし、早く家に入れよ」
「な、何から何まで、申し訳ありません……」

奥さん、失格ではないだろうか?不知火さん、一応、お客様のはずなのに。

「ご機嫌に笑ってるじゃねぇか。何で分かるんだ?」
「腹がなってるんだよ。それに時間だな。ある程度を見計らって乳を与えるのが泣かせねぇ方法だぜ?覚えとけよ、父上」
「でも、そいつ、俺が抱いて千鶴がいなくなるだけで泣くぜ?」
「抱き方が下手なんじゃねぇ?こうやって、しっかり支えてやってさ、心音を聞かせると良いぜ。落ち着くらしい」
「……お前、暫くいろよ。千鶴といちゃ付けるし」
「断る。たまにの息抜きは良いが、親の役目は果たしやがれ」
「それにしても、不知火さん、本当に手際良いですね。もしかしてお子さんが……」
「いるわけねぇだろ?風間の息子を世話して覚えた。あそこの夫婦、子育て下手でな。天霧と二人で奮闘した。慣れれば大した事無いぜ?こいつ、まだそこまで動かねぇしな」
「……やっぱり、もう少し大きくなったら大変ですか?」
「……ああ、大変だぜ?赤ん坊の習性らしくて、何でも口に入れちまうからな。一度、蟷螂(かまきり)を口に入れるの見ちまった時なんざ、焦ったの、何の」

もう過ぎたことだからからか、楽しげに笑うが、笑える内容じゃない。

「蟷……!」
「まじか。怖ぇな、習性!でも、蟷螂って食えるよな?」
「馬鹿か。確かに揚げたら結構旨いが、生きたまま食えるもんじゃねぇし、赤ん坊に食わすもんじゃねぇよ。普通の食いもんだって成長に合わせて調理法を換えて行くんだぜ?」
「なんて話をしてるんですか!止めて下さい!!」

恐ろしい話をしてる二人に叫ぶと、潮風に乗って、くすくすと笑い声が聞こえた気がした。

カット577初日の出にお前を偲ぶ

END
  1. 2015/01/09(金) 23:08:04|
  2. 頂きもの
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  4. | コメント:3
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コメント

不知火さんって、良いお父さんに。

こんばんは、香住様、小萩です。
原千、と見せかけて、実は不知火さんの
お話。さすが香住様です。

奥沢さんのお名前が出て来たあたりから、
香住様らしい感じのお話になって、
(HPの栄助先輩のお話、嬉しいです。
番外編、続きを書いてくださっていて、
ドキドキしながら読ませていただいて
います。)とても良かったです。

子守の他にお料理まで!!
不知火さんのお雑煮食べたい・・・。
不知火さんって本当に何でも出来る人
ですよね。「蕎麦の花の人」は、
優しくて本当に大好きです。

ちー様夫妻の子育てって、不知火さんと
天霧さんが手伝ってたんですね。
子どもって何でも口に入れちゃうから
大変ですよね。目が離せない。
不知火さんはきっと良いお父さんに
なると思います。「花の代わりに
微笑みを」で実際なってましたしね。
左之さんも良いお父さんになりますよ。
千鶴ちゃんみたいなしっかりした
素敵な奥さんが居るんですもん。

香住様のおかげで、すっかり不知火さん
大好き人間になってしまった私。
これからも素敵なお話、期待してお待ち
してますね。
  1. 2015/02/08(日) 04:11:11 |
  2. URL |
  3. 小萩 #-
  4. [ 編集 ]

香住→小萩様

あれ?小萩様のコメントの嵐が(笑)凝れに限っては原千のお話で、匡さんのお話ではありません(笑)最初は千景さんを育てたことにしてありましたが、二人で育てたらあんな性格には仕上がらなかったと思ったので急遽変更。二人に育てられた風間Jrはきっと良き当主に成長することでしょう。左之さんは良き旦那になると思いますが、不器用なパパになりそうです。「母上の方が良い!」って泣かれちゃう感じの(笑)
不知火さんは多分器用だと思います。原作的には面倒臭くてやりそうにありませんが(笑)
  1. 2015/02/08(日) 07:08:10 |
  2. URL |
  3. 香西香住 #PBl13R7o
  4. [ 編集 ]

連投ですみません。

こんにちは、香住様、小萩です。
お返事ありがとうございます。
年末に色々ありまして、すっかり
ご無沙汰してしまいましたが、
薄桜鬼はやっぱり私にとって
特別なので、地獄から舞い戻って
来ました。

原千もラブラブで良いですよね。
でも、左之さんと不知火さん二人が
居ると、何故か不知火さんに視線
釘付けになっちゃうんですよ。
何ですかね?不知火さんの魅惑の魔力?(笑)

ちー様jrは、きっと良い頭首に育つでしょう。
天霧さんも付いていらっしゃいますしね。
不知火さん、原作では面倒くさがりっぽいですが、
こちらの「蕎麦の花の人」の不知火さんは何でも
出来てすごくマメなので、きっと良きお父さん
になります。

左之さんは息子が出来たらきっと千鶴ちゃんの
取り合いになりそうですよね。不器用パパでも
千鶴ちゃんがしっかりしてるので大丈夫でしょう(笑)。

いつも素敵なお話をありがとうございます。
遅れましたが、今年もどうかよろしくお願いいたします。
  1. 2015/02/08(日) 13:45:42 |
  2. URL |
  3. 小萩 #-
  4. [ 編集 ]

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