皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「風間家の日常~夏の思い出~」

春日亭」のじゅん太さんからの頂き物です♪

オフ誌などでは声を掛けて頂き、「春日亭」様の本に参加させてもらってましたが、
うちでのじゅん太さんのSSのUPは初めてと言っていいですね。
(以前頂いた同じく『風間家の日常』の一編は、漫画にしてしまいましたしw)
楽しい風間家をありがとうございました♪

ちー様はこの所すっかり御無沙汰w
いじくりがいのあるキャラなので、またその内、ゆっくり描きたいですねえ。

という訳で、うちでは久しぶりのちー様を、続きからどうぞお楽しみ下さい^^



挿絵は感謝を込めてじゅん太さんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。


風間家の日常 ~夏の思い出~ 番外編 現代パロ


鼻歌まじりで、いそいそとリモコンを探す後姿を千鶴は複雑な顔で眺めた。
嬉しそうな夫の様子を見て、何だか心苦しい。
食後の片付けをしながらちらりと姿を追えば、録画した番組を再生し始めた。

――どうしよう。

たった一言が言い出せずにもう数時間が経過していた。

「……千景さん、コーヒーでも飲みますか?」

機嫌を取るのはこれが一番だと知っているから、千鶴はさり気無く声を掛けてみる。

食後で気持ちがゆったりしている筈だし、大好きな珈琲を飲んだ後ならなおさら機嫌がいい筈だから頼みごともしやすい。
そう思った千鶴の作戦は失敗に終わる。

「何だ……?」

「え?」

低めの声が責める様に問う。

「いつもなら、もっと時間が経ってから勧めてくる。……何か頼みごとか?」

正直このタイミングでは言いたくない。
けれど、これで後から口にしたら怒られそうだと予想して、千鶴は意を決して口を開いた。

「あっ、あの! 明日出掛けてもいいですか……?」


――カラン

水差しの中の氷が溶けて、澄んだ音色が響く。

その音をやけに大きく感じて、千鶴は胃の奥がぎゅっと冷たくなった。

「えっと、明日! お千ちゃんとコミケに、行こうかと思っ……て」

ぎぎぎぎっと音が聞こえてきそうな不自然な動きで風間がゆっくり振り向いた。

「……ほぅ、詳しく聞かせろ……」

完全に目が座っている。

「……いいか、ちゃんと詳しくだ。事と次第によっては、明日……起きれなくなるかもしれんぞ?」

「あ、あの、え、っと……ただ、買いたいものがあるだけ……です」

「ほぉう……買いたいものだ? 何処の何が欲しいのかちゃんと言ってみろ」

風間は手にした缶ビールを器用に片手で開け、もう片方の手でリモコンを操作して録画を停止させた。
変なところで止められたせいでイケメン俳優が白目を向いた映像が画面いっぱいに広がっている。
 思わず吹き出しそうになって慌てて表情を硬くしたが、もう遅い。
事態はさらに悪化してしまった。

「何だその顔は? まさかこの俺に嘘をついているのではあるまいな?」

違うと慌てて首を振ったが、風間はすっと目を細め、胡乱な眼差しを向ける。

「俺が知らぬと思ってか? あそこは本を買うだけではない、コスプレとやらもして如何わしい服装で練り歩く奴もいるそうではないか! まさか、お前はこの俺という者が居ながら破廉恥な衣装を身に纏い、どこの馬の骨ともわからん奴らにその肌を晒し、あまつさえ写真に取らせるつもりではあるまいなっ!」
「違います!」
思わず大きな声で反論して、千鶴は風間の剣幕を遮った。
「買いたいものがあるんです!」
「通販にしろっ!」
「売ってません!」
「なら諦めろっ! このくそ暑い中、そんな人ごみに行く奴の気がしれん。倒れたらどうするんだっ!」
「でも行きたいんですっ!」
キッと精いっぱいの想いをこめて、千鶴は風間を睨んだ。どうしてこう、解ってくれないんだろうと思うとだんだんイライラして思わず泣きそうになってしまう。
 ちゃんと千鶴は解っている。
風間がただ反対しているだけではない事を。けれど今回ばかりは千鶴は己の気持ちを曲げたくなかった。
「だって、だって! 会いたい人がいるんです。だから絶対行きたいんですっ!」
最悪な言い方をした事に千鶴は気付いていない。風間の表情が一変して険しいものになるが千鶴は諦めなかった。
この機会を逃したら、もう直接会う機会はないかもしれない。その想いがいつになく千鶴を必死にさせていた。
「何だと……? この俺に一人留守番をさせてまで、お前がそいつに会いに行かねばならんっ! 気に入らん……さっきからお前が会いたいとほざくは何処のどいつだ!」
風間の剣幕に千鶴は負けじと叫んだ。
「さっちゃんですっ!」

「はっ?」

風間の口から間抜けた声が上がる。
「小林幸子さんですっ! あの、父さまが好きで、それで私も小さい頃からよく聞いていてっ! だからさっちゃんが手渡しでCD販売するって言うのを聞いてどうしても行きたくて! なので行かせてください!」
一息でまくしたてて勢いよく頭を下げた。
「千景さんのご飯は、冷蔵庫にちゃんと用意していますから。買ったらすぐ戻ってきます。折角お休みなのに、我儘言ってすみませんが、その、いいでしょうか?」
顔を見ないようにしながら、千鶴は言葉を続ける。
「……好きにしろ」
ため息と共に風間の低い声が響く。根負けしたようなその声に安堵して顔を上げれば、予想に反して今まで見た事の無い夫の不機嫌な顔が目の前にあった。
「休みが11日のところを、お前に合せて14日にしたのだ。そんな夫の努力も無視し、行きたいと言うなら止めはせん」
親の敵にでもあった様な顔で、風間は片手に握った缶ビールを中味が入ったままぐしゃりと握りつぶして叫ぶ。

「この俺よりも、お前は幸子を選ぶと言うなら、どこへなりとも行くがいい。だが肝に銘じておけ……お前はこの俺を家に一人残し幸子を選んだとなっ!」

カット502夏の思い出


深夜。


「あれ? ……千鶴ちゃんから?」
風呂上り、部屋に戻るとメールの受信を知らせる音楽が流れた。
「こんな夜中にどうしたんだろう?」

お千ちゃん、夜中にごめんね(>_<)

千景さんの機嫌が急に悪くなって……明日のお出かけ無理そうなの。
急にキャンセルしてごめんね。



「……えっ」

暫らく呆れた後、気を取り直して千姫は返事を打つ。

了解(^・^) 無理しなくていいよ。買えたら千鶴ちゃんの分まで買ってくるね。それより風間の機嫌が心配だよ。

打ってすぐに返信が来る。何回も丁重に詫びる千鶴のメールを見ながら、千姫はため息を吐いた。

「幸子にまで焼きもち焼くなんて……」

千鶴が可哀そうだと思いながら、同時に風間の様子が手に取る様に想像できて苦笑いを浮かべる。

「まぁ、仲がいいって事だから許してやるか……」

そのままベッドに横になりながら、目を閉じる。

風間からのメール受信を知らせる着信音に、クスリと微笑んで。

千姫はゆっくりと眠りへと落ちていった。


夢の中の千姫は気付かない。
主が寝ている間に、数百件の風間からのメールを休むことなく受け取り続け、働き者のスマホの充電が切れてしまった事を……








  1. 2014/09/03(水) 17:31:09|
  2. 頂きもの
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コメント

春日亭さんの名前が常に目に入ってたので、(ほぼ)初作品とは驚きでした。
そして、笑わせていただきましたwww(ノ´∀`*)
千鶴ちゃんが夏コミに行きたいっていう発想から、面白くって笑っちゃいました。
でも、旦那様に言えないなんて…なにか言えないようなご本が欲しいのかな///っておもったら、まさかあの人に会いに行きたいとは!まさに今年の夏コミの大目玉ですもんね♪でも、ちー様が許してくれないなんて…・゜・(つД`)・゜・なんならちー様同伴でいったらいいと思います。
ほら、ちー様はあのキンキラの幸子さんも一目置くような着物があるじゃないですかwww(ノ´∀`*)
ひさしぶりの風千、楽しく読ませていただきました♪(*´ω`*)
  1. 2014/09/07(日) 22:24:36 |
  2. URL |
  3. ゆゆき #EYMZMP9E
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