皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「炎天花~if~ ver.SS」

茶々姫」のMURAさんから、「if炎天花」の続編を今回頂きましたー♪

以前頂いた、私の「炎天花」の別ver.のオトナ展開SS―――アレのその後です。
あの後、3人の関係はどうなったのかなーと思っていましたが…やっぱりそう簡単に千鶴が割り切れるはずないんですよね。
でも原田さんにこんな風に迫られたら、私なら簡単にオチそうだwww

私の考えてる「炎天花」の続編はちょっとサスペンスなんですが、描ける日が来るのかなあ…(^^;


ではでは―――またまたこの後が気になってしまう続編―――続きからどうぞ^^


挿絵は感謝を込めてMURAさんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




炎天花~if~ ver.SS



「千鶴、今日も巡察に同行しねぇのか?。」

「あ…はい。すみません。少し用事が……。」

ふいに背後から原田に声をかけられ、小さく跳ねるその肩。

ぎこちない笑顔に、気を使って貰いながらも、同行出来ない事に対して申し訳ないと思っているように見えるだろうか……?。

不安に揺れるその心。

そんな千鶴の心境を気付いているのか、いないのか。

原田はいつもと同じ様な笑顔で千鶴の肩にぽんとその手を置いた。

「そうか。ま、気にするな。それよりその用事っての、俺でよければ手伝うが?。」

「い…いえ、そんな……っ!」

慌てて首と両手を大きく横に振っては一歩下がる千鶴。

あからさまに避けていると取られても仕方の無いその行動。それでも原田は何も言わない。


「そうか、それじゃぁ行ってくる。」

「あ、はい。お気をつけて……。」

頭をぺこりと下げる千鶴を一瞬、原田がどんな目で見下ろしていたのか、千鶴は知らない。

いや、気付いてはいけないのだ。

気配が遠のいてゆく。颯爽と去ってゆく原田。

千鶴が頭を上げた頃にはその姿はすでに無かった。

「………。」

自然と小さな溜息が零れ落ちた。

このままではいけないと言う事くらい、千鶴にも解ってはいる。

けれど、どうしようもないこの状況。

どうすれば良いのか、何が正しいのか、千鶴自身が解らなかった。


 平助が島原に泊まった夜、千鶴は原田と一晩を共に過ごした。

その翌日から千鶴は平助と原田の顔を見られなくなってしまったのだ。

平助に対しては罪悪感を、原田に対しては複雑な感情を抱いた千鶴。

先に裏切ったのは平助の方だと原田は言ったが、千鶴にとってはそれよりも、自分が平助を裏切るような行為をしてしまったのだと罪悪感が重く圧し掛かっていた。


―――お前は悪くない。


幾度も幾度も言われたその言葉。

そんな事は無いのだと解ってはいたのに、その言葉に縋りついてしまった。

傷付いた千鶴に対して、原田は優しかった。

その優しさについ縋り、甘えてしまった自分は何て愚かなのだろうとも思っていた。



 平助の方はまだ良かった。

千鶴が平助を避けるように、平助の方も千鶴を避けているようだったからだ。

勿論、食事などと言った皆と一緒にいる場所では顔を合わすが、一応互いに何事もなかったかのように振舞ってはいる。

だが、視線も合わさず、交わす言葉も必要最低限なものだけだ。

ぎくしゃくとしたそんな気まずい空気の中でも、何とか平助とは普通にしていけてはいた。


だが、原田は違っていた。

あの夜から、原田が千鶴を見る目が明らかに変わってしまっていたのだ。

交わす言葉も態度も人前では以前と変わってはいない。

けれど、何気ない仕草、動作の中で触れられる度に千鶴は熱を感じ、そして戸惑っていた。


二人っきりにならないように、千鶴は細心の注意を払っていた。

けれど、そんな日々が続く筈もなく……。


土方は近藤と共に出かけ、残る幹部達はある者は巡察に、ある者は稽古に励み、珍しく千鶴の周囲に人がいなかった時。

 (原田さんは確か、お出かけになられた筈……。)

そう思って油断してしまった千鶴の前に原田がその姿を現せたのは偶然なのだろうか?。

「!」

原田の姿を見た千鶴は咄嗟に近くの茂みに飛び込んだ。

抱え込んでいた洗濯物の入った籠がどさりと落ち、その中の数枚が千鶴の腕に引っかかっていた事にすら気付かないままに千鶴は走り続けた。

そして屯所の裏側の方へとなんとかたどり着いた。

周囲を見回しても人気は無く、しんと静まり返っており、ほっと安堵の吐息を漏らした。

今はその静けさが心地よく感じられた。

けれど……。

「千鶴。」

「!」

背後から、ふいに呼びかけられ、息を呑んだ。

原田だ。

千鶴の後を追って来たのだろう、原田がすぐ背後の茂みから姿を現せたのだ。

反射的に千鶴は逃げようとしたその鼻先を原田の腕がかすめた。

走り出そうとした千鶴を、鍛え上げた逞しい原田の腕が遮ったのだ。

咄嗟に反対側へと振り返ったその目の前を、再び反対側の原田の腕が行く手を遮る。

「あ……」

背後は屯所の壁。

左右は原田の腕が、そして真正面には原田がいる。

揺れる琥珀の瞳を、顔を見られなくて、千鶴は慌てて原田に背を向けた。


カット437


「千鶴。」

耳をかすめる熱い息と甘い声。

心臓がぎゅっと締め付けられる。

「なんで、逃げる?。」

「………。」

返事が出来ない。

耳朶をくすぐるその吐息に背筋がぞくりと震えた。

「後悔、しているのか?。」

「………。」

後悔しているのか、していないのか。それすら解らない。

羞恥や罪悪感といった様々な感情が入り混じり、千鶴を混乱させた。

「俺は、後悔なんざしてねぇよ。」

「!」

ぽつりと落とされる原田の言葉。

「お前がどれだけ嫌がろうとも……」

「………。」

それ以上聞きたくないと、聞いては駄目だと思わず首を横に振る千鶴。

だが、原田はそれを許さなかった。

「逃がさねぇ……。もう、逃がしてやれねぇんだ。悪ぃ、な……。」

どこか苦しそうに、吐き出すかのようなその言葉に、息が止まった。

頭上から感じられる原田の気配。

 今、どんな表情をしてるのだろうか。

 何を想って千鶴を見下ろしているのだろうか。

背を向け、俯く千鶴にそれを確かめる勇気は無かった。

原田の気配が少しだけ揺れた。

少し屈みこむようなその気配。それと同時に後頭部にやわらかな温もりを感じた。

「…っ!」

一瞬、心臓が跳ね上がった。

身体は硬直したかのように固まり、そして緊張のあまりふるりと震えた。

自然と薄く開いた唇から何か言葉が毀れそうになったが、喉の奥に張り付いたようで結局何も出なかった。

その言葉が何なのか、千鶴自身にも解らなかった。

その時だ。

がさり、と茂みが音をたて、そちらに気を取られた原田の腕が少しだけ緩んだ。

その隙に千鶴は転げるようにその腕の中から飛び出した。

そして……

そこから一歩も動く事が出来なかった。

「千鶴……?。」

「平助く……」

茂みから出てきたのは平助だった。

汚れた洗濯物を手にしている事から、先程千鶴が落とした洗濯物を拾い、そしてここに辿りついたのだろう。

大きく目を見開いた千鶴の二の腕を力強く握り、そして強引に引き寄せる原田。

「あ…っ!」

思わず驚きの声を上げるが、原田はそんな事を構う事なく、難なく千鶴を背後から強く抱きしめた。


カット442炎天花if


「……よぉ、平助。」

「左之さん……。」

どこか挑発するかのような低い声が、千鶴のすぐ耳元から聞こえる。

背後から痛い程の力で千鶴を抱く原田。

突然の事に、身体を強張らせる事しか出来なかった。

「……逃がさねぇって言ったろ?。」

「!」

千鶴にだけ聞こえるように耳元で、少し掠れた声で囁かれ、くつりと喉の奥で笑われ、思わず目をぎゅっと強く瞑った。

薄い笑みを浮かべる原田と、困惑する平助の視線が絡みつく。

あんなに、実の兄弟以上に仲の良かった二人が今は……。

自分のあさはかさを呪い、そして哀しげに千鶴は唇を噛みしめた。



  1. 2014/04/22(火) 22:37:31|
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