皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「気配と視線 ~恋の手解き、謎の紐解き、愛の帯解き~沖田編」

酔狂元乙女さんからの頂き物です♪

「気配と視線」テーマのSS―――今回は沖田さんver.ですね。
それも今回はストレートに甘いお話♪

最初は意地悪ないつもの沖田さんでいくのかと思ったら…
デレてますよー
こんな沖田さんを読むのは珍しいかもw

どうぞ皆さんも素直に恋する沖田さんを、続きから堪能して下さい^^


挿絵は感謝を込めて酔狂元乙女さんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




気配と視線 ~恋の手解き、謎の紐解き、愛の帯解き~沖田編



それはある晴れた春の一日。
いつも何かしら騒がしい屯所にも、今日ばかりは穏やかな時間が流れていた。
 
僕は中庭に迷い込んできた仔猫と遊んでいた。
日差しは温かくて心地よい風が吹き抜け、最高にいい気分。

部屋の障子を開け放して気持ちよさげに昼寝をする人。
同じように部屋の障子を開け放して熱心に刀の手入れをする人。
それに眉間に皺を寄せて、一句捻り出そうと頑張る『おっかない』人もいる。
その『おっかない』人の前には、畏まって座っているくせに、何故か笑いを堪えて肩と長い後ろ髪を揺らす『口煩い』人もいた。
つまりはさ、巡察中の平助や左之さんを除いて、屯所に残った人達は皆のんびりと思い思いの時を過ごしていたんだ。
 
でもさ、こうして呑気に遊んでいても、自分に向けられる視線や人の気配にはすぐ気が付くんだよね。
今もほら、あの子が僕を格子窓から見ている。
遊びたいのかな。こっちへ来ればいいのに。ついでに猫にあげる餌でも持ってきてよ。
僕はそんな事を思いながら、ふと振り返って反対側を見る。
そこには、先程から部屋の真ん中に座って刀に丁子油を塗る一君の姿。
ふうん、そうなんだ。君の視線は、猫と遊ぶ僕を素通りして、向こうの彼を捉えていたわけか。
 
ツマラナイ、ナ。ナンダカ、ツマラナイ。
 
僕は胸に抱いていた仔猫を一君の部屋に、否、彼自身に向かって投げつけた。
ごめんよ、猫ちゃん!僕と出会ったのが運の尽き。
途端にあがる猫の悲鳴とあの子の悲鳴。
ああ、さすがだね。惨劇は避けられた。 手にしていた刀で飛来物を薙ぎ払うことはせず、君はちゃんと見切っていたわけだ。
仔猫はくるりと身を翻して彼の膝の上に着地すると、そのまま一目散に逃げて行った。
一君は動じることなく、ただ僕を睨んでいる。
 
「総司、何の真似だ」
 
嫌だなあ。
静かに放たれたその言葉は僕に対してだけれど、視線は僕の肩越しにあの子のほうに向いているよ。 まるで心配いらぬ、と宥めんばかりにね。
 
「うん、君が僕の心を傷つけたから、仕返しに猫に引っ掻いてもらおうと思って」
「お前の云う事は訳がわからん」
「判らないままでいいよ。どっちみち謝る気はないからさ」
 
そこへ「こら総司、何やらかした!」と、おっかない人の雷声。
くわばら、くわばら。
そそくさとその場を立ち去る時に、うっかりと、格子窓から覗く千鶴ちゃんと目があった。
困惑の表情を浮かべた彼女はすぐに目を逸らす。
そして心配そうに一君を見て、また僕を非難がましい目で見た。
 
ツマラナイ、ナ。トテモ、ツマラナイ。
 
僕はその足で彼女の元へと向かった。
 



 
格子窓にすがりつくようにしてまだ外を眺める彼女を見つけると、僕はそっと忍び足で近づいた。
何がそんなにも君の瞳を惹きつけているの?僕の気配にちっとも気が付かないで。
 
サア、ニガサナイ、ヨ。
 
僕は両手で格子を握って、千鶴ちゃんの背に自分の胸をくっつけて、後ろから閉じ込めるようにした。 華奢な君の体はすっぽりと僕の腕の中。
 
「ねえ、さっき何を見てたのさ」
「きゃっ、お、沖田さん!?」

いきなり話しかけられて驚く君。
恥ずかしそうに俯いて、僕と顔を合わせようとしない。
熱いなあ。僕の頬に当たる君の頭から、どうやら湯気が出ているみたいだ。

カット431

「ほら、早く白状しないと、ぺちゃんこになるよ」
 
そう云いながら、じわじわと壁に押し付けるように彼女の体を僕の体で追い詰めた。
あれれ、僕の胸と腹に、君の背と腰とが合わさって、次第に妙な気分になってきた。
 
「一君に見惚れていたの?」
「い、いえっ」
「隠さなくてもいいじゃない。彼の事、好きなんでしょ」
「ち、違います!そうではなくて……そうではなくて……」
 
ダッタラ、ナニ?イライラ、スル。
 
「一君に喋っちゃおうかな、君の気持。彼、女の人には興味が無さそうだから、どんな迷惑顔をするかな」
「止めてください!違うんです。お願いします。お願いします!」
 
ようやく君は振り向いて僕を見た。必死に懇願するその姿は、恋する女の子そのもの。
僕は益々つまらなくなって、彼女を解放した。
 
「仕方がない、黙っててあげる。そうだ、手解きしてあげるよ。後で僕のところにおいで」
「え、どういうことですか」
「だから、恋の手解き。後学の為に、男について色々教えてあげる」
 
すると、泣き出しそうな顔で僕を見上げていた君が、破顔一笑。
「はい!」と嬉しそうに応えた。
その笑顔が―――僕の心に、苦い痛みと共に焼き付いた。
 
 

 
 
僕の部屋で、千鶴ちゃんは頬を染めて僕に膝枕をしていた。
 
「あの…沖田さん…?」
「いいから、いいから」
「でも……」
 
あれから僕は、妙な気分の所為で火照った体を沈める為に水浴びをした。
浴衣に着替えてさっぱりとしたところで、彼女が部屋にやってきたわけだ。
僕は彼女を上手い具合に言いくるめて、濡れた髪を拭いてもらったり、こうして膝枕してもらったりと、やりたい放題だった。
 
「あのさ、まずは男心ってものを知らなくちゃね」
「おとこごころ…ですか…?」
「そう。男ってさ、大抵は女の子にこうしてもらうのが夢なんだよね」
 
ただ自分がやって欲しかっただけ…その言葉は呑み込んで、僕は一君に先んじて彼女の膝枕を独占できたことに溜飲を下げた。
 
「それは沖田さんも…ですか」
「僕?僕も、嫌いじゃないよ。相手が好きな子ならね」
「沖田さんに…好きな人が……」
「何、その目。僕が人を好きになるなんて可笑しい?」
「い、いえっ!そうではなくて…沖田さんは近藤さん以外の人は目に入らないのだと思っていましたから…」
「確かに、ね」
「だから…好きな女の人なんて……いない、ですよね?」
 
普段は控えめな君が、どこか探るような視線を向けてくるのが意外に思えた。
 
「それは、わからないよ。僕だって一応男だし。綺麗な人は気になるよ」
「綺麗な人…」
 
君は寂しそうに、口の中で小さくその言葉を繰り返す。
 
「沖田さんも、芸妓さんの様な大人の女の人が良いのですか」
「まさか。僕は白粉臭いのは苦手なんだ。でもそれで女嫌いとは決めつけられないでしょう?」
 
そう云うと、千鶴ちゃんはほっとしたような困ったような複雑な表情を見せた。
 
「他の方のように島原に出かけたりなさらないので…てっきり……」
「“あっちの趣味”だとでも思ったんだ。ねえ、どうしてそんなこと聞きたがるのさ。君が気にしているのは他の男でしょう?それとも僕がどんな女の人が好きか気になるの?」
 
すると千鶴ちゃんは首まで赤くなって眼を逸らしてしまった。
 
ソウナノ?キミガ、スキナノハ……?
 
「ねえ、さっきは本当に何を見ていたの?教えてよ」
 
僕は出来るだけ優しい声で訊いてみた。
 
「怒りませんか……?」
「大丈夫」
「あの…なんだか可愛いくて、抱っこしたいなって…」
「なんだ、やっぱり猫と遊びたかったんだ」
「それも、そうなんですけれど…他に……」と、消え入るような声。
 
不思議だ。急に目の前が明るくなった。
確かに、君みたいな年端もいかない女の子に『可愛い』なんて云われるのは、僕ら新選組の男にとっては心外だよね……。
でも。それでも―――。
 
「あのさ、君が好きな男、当ててみようか?」
「えっ!?そんな人いませんてば!」
「好いた男がいるから、わざわざ教えを受けにこの部屋に来たのでしょう?今更、隠さないでよ」
「だ、だから…」
「君が好きなのは――― 」
「きゃあ、駄目です!言わないで!!」
 
慌てて君は僕の頭を持ち上げると、胸に僕の顔を押し付けて黙らせた。
 
「く、苦しいよ…離して…」
 
僕のあえぎ声でようやく腕の力を緩めると、千鶴ちゃんは小さく「意地悪……」と呟いた。
その拗ねた可愛い顔は、先ほどの僕の心の痛みを瞬く間に癒してくれた。
 
「仕方が無いなあ、今度も黙っていてあげる。だから…」
 
しばらくこのままで―――。
 
カット406
 
腕が痺れるのも厭わずに、千鶴ちゃんは僕の頭を抱えて優しい安らぎを与えてくれた。
君に恋の手解きなんて馬鹿げていたね。だって僕自身、手解きが必要だったから。
 
なんだか「恋の手解き」の筈が「謎の紐解き」になっちゃった。
その明確な答えは君の口からは訊けなかったけれど……僕だって偶には自惚れてもいいいよね?
そしていつか「愛の帯解き」なんて事になれば……素敵だね。
 
あーあ、君の柔らかな気配や優しい視線をいつも感じていたのに。
その心の内までは見抜けなかったなんて。
近藤さん、僕はまだまだ修行が足りなかったようです。
 
「おいで、交代しよう」
 
僕は起き上がって胡坐をかくと、恥ずかしがって逃げる千鶴ちゃんを無理やり膝に乗せて、ぎゅっと抱きしめた。
すぐに体を強張らせた君だけど、やがて観念して僕の胸にそっと体を預けてきた―――。
 
 

 
 
「無粋だね、山崎君……」「生憎、俺はそういう男です」
 
土方さんの用で僕を呼びに来た仏頂面男の手で引き離されるまで、僕らはそうして抱き合ったまま、静かな時間を楽しんだ。
 
 
 
(了)
  1. 2014/04/16(水) 23:13:01|
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