皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「差し出されたその手を私は取らなかった」

桜護雪」の香西香住さんから続けての頂き物♪

前回の「蕎麦の花をくれた人」の別√…不知火さんに付いていかなかったら…のお話になります。


しかし付いていかなかった理由のお相手がこの人だったとは―――w
何でよりによってこの人かな、と思わず失礼な事を訊いてしまった私です^^;
それにしても、香住さんの書く不知火さんは、面倒見のいいにーちゃんタイプですねえw

では続きから
千鶴の選んだ別選択√話をどうぞ♪


挿絵は感謝を込めて、香住さんに進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。



差し出されたその手を私は取らなかった



「俺のこの手を取るなら、救ってやる。ここから拐ってやるし、風間からも誰からも護ってやる。綱道の悪事も止めてやるし、これからお前が感じる苦しみも悲しみも半分受け持ってやる。一生……否、死んでからもお前と生きてやる」
「……不知火さん」
「だけど、この手を取ったら、俺は二度とお前を離してやらねぇ。俺と永久に共に生きてもらうぜ?それでも、お前は、この手を取るか?」

伸ばされるその手を私は

取る
●取らない


『差し出されたその手を私は取らなかった』


私は、不知火さんの差し出してくれる手を取らなかった。

確かに、この手を取れば、私は自由になれるのかも知れない。

だけど、ここには……。

「ごめんなさい。不知火さん。貴方とは行けません」
「……そうか」
「……想い合った人がいるんです」

素直に告げると、彼は顔をしかめた。

「良いのか?人間は弱いぜ?直ぐにお前を置いてくたばっちまうぜ?」
「……それでも、あの人が良いんです」
「……成程な。救いの手は必要はねぇわけか」
「……ごめんなさい」
「後で後悔しても知らないぜ?」

不知火さんは私の髪をくしゃくしゃと撫でて苦笑した。

「俺は、お前が惚れた男だろうが誰だろうが、あいつの敵は殺るからな?」

彼は、そう言って姿を消した。

翌朝から枕元に白い花が届く事はなくなった。

***

そして、私は今、後悔している。
原田さんの制止の声も無視して走っている。
宛もなく走っていると、見覚えのある、蒼い髪の人が視界に飛び込んで来た。

「しら……不知火さん!!!」

叫ぶと彼は、直ぐに振り向いてくれた。
赤い瞳が驚愕に見開く。

「どうした?んなに泣いて……。可愛い顔が台無しじゃねぇか」
「不知火さん!」


カット419差し出されたその手を私は取らなかった


私はそのまま、彼に抱き付く。

「今すぐ、私を拐ってください!!」

勝手だと思う。
だけど、もう、屯所には戻りたくない。
あの人には逢いたくない!

「落ち着け、千鶴。俺は投げやりになったお前が欲しいわけじゃねぇ」

彼は私の髪を撫でて、それから背中を撫でてくれた。

混乱していた頭が落ち着いて来る気がした。

「どうした?何があった?誰がお前を泣かせた?……てめぇか?原田?」

優しかった不知火さんの声が急に低くなる。原田さんが追い付いたのだとわかり、不知火さんにしがみつく手に力を込める。

「ちげぇよ。巡察してたら、急に駆け出して……。どうした?千鶴。しかも、なんて奴に助けを求めてやがる」
「……んじゃ、何かを見ちまったんだな。原田、こいつの恋仲の相手、わかるか?てめぇじゃなさそうだ」
「……永倉新八だ」
「永倉……ああ、あの筋肉ね。お前、筋肉質が好みなのか」
「その覚え方、あまりじゃねぇ?」
「も、もう良いんです……永倉さんは私なんかより、もっと大人な綺麗な女性が……」

さっき、見てしまった。
あの人が綺麗な女性と共に出合茶屋に入る所を。

「千鶴、落ち着け。新八は余所見が出来る程器用な男じゃ無いぜ?分かるだろう?一緒に居たからって恋仲たぁ限らねぇって」
「……出合茶屋に……入って行かれても……ですか?」
「っあの野郎!!」
「待って!原田さん!!」

今にも殴り込みに行きそうな原田さんの背中に抱き付いて止める。

「もう良いんです!私、不知火さんと行きますから!鬼の私があの人と共に生きようだなんて浅はかだったんです!」
「まあまあ、落ち着けよ。とにかく、本人に確かめようぜ?お前の見間違えだったかも知んねぇだろう?原田も一発殴りてぇみてぇだし」
「私は、永倉さんを見間違えたりしません!!」
「ああ……そぉか。とにかく、行こうぜ。俺と来るにしろ、一度は話し合え。でなきゃ後でぜってぇ後悔するぜ?俺と来たら、二度と話せねぇ可能性の方が多いんだからな。もし、話し合っても無理なら、ちゃんと拐ってやるから。な?」

子供に言い聞かせるような声色で頭を撫でてくれる不知火さんに私は頷いた。

「…………はい」
「……意外だな。お前、女の扱い上手ぇじゃねぇか」
「馬鹿言えよ。こんなのガキの扱いだろ?」
「私、子供じゃ、ありません……」
「あー、はいはい。良いから泣き止め」

***

「ほぉ……ここか」
「確かに、さっき通った場所だな。確かに新八だったのか?」
「はい、間違えありません。あれは永倉さんでした」
「よし。確かめに行くか」

そう言って、不知火さんが抱き寄せたのは私ではなく原田さんだった。

「そうだな……って俺とお前で入るのかよ!?知り合いに見られたら嫌なんだけど!?」
「姫さんに入らせて良い場所じゃねぇだろうが!」
「そりゃそうだけどよぉ!何が悲しくて野郎と出合茶屋なんかに!そもそも入れんのか!?」
「あっ……!」

永倉さんが出合茶屋から出てきた。
深い緑の着物が良く似合う、女の人と共に。

「やっぱり!」
「……っ!新八の奴!」
「不知火さん!やっぱり私を拐って……」
「いや、ちょっと待て。ありゃ男だ」
「は!?」
「え!?」

不知火さんの言葉に、原田さんと声を合わせて驚いてしまった。

「良く見ろ。原田。ここからじゃ、ちぃと分かりにくいが、女にしちゃ、ちょっとゴツいだろう。肩幅とか」
「あ……ああ。そう言われてみりゃあ、確かに……」

私には解らない。

「布なんかで誤魔化してるんだろうが、間違えなく男だ。あの特徴のある前髪……この距離じゃ、ちぃと自信がねぇが、監察方の山崎烝だろう」
「え!?」

や、山崎さん!?

「何か調べてるだけじゃねぇの?まあ、忍ぶ恋って可能性も残っちゃいるが……だとしたら、姫さんは囮だな」
「そ、そんな!」

永倉さんと山崎さんが恋仲!?

「新八と山崎が?まさか!待ってろ、千鶴、確かめて来てやる」
「あ、原田さん!!」

駆けて行く原田さんを慌てて追い掛けた。

***

「よぉ。新八」
「おう。左之」

気軽に声を掛ける原田さんに、それに笑顔で答える永倉さん。

「随分な美人と一緒じゃねぇか」
「くく。だろう?美人だよなぁ」

からかうように話す原田さんに、永倉さんは隣の人を見ながら笑う。
その笑顔に後ろめたさは見えない。

「お前も大変だな。山崎」

隣の深い緑の着物の人の顔を覗き込む原田さん。

「……いえ、これも仕事ですから……」

山崎さんの声!
それに仕事だって!

「だとよ、良かったな」
「永倉さん!!」

不知火さんに背中を押されて、私は彼の胸に抱き付いた。


カット410


「な、ち、ち、千鶴、千鶴ちゃん!?」
「ご、ごめんなさい!私、私!」
「ど、どうした!?千鶴ちゃん!よしよし」

慌てながらも、私の大好きな大きな手で頭を撫でてくれる。

「お前が出合茶屋なんて似合わねぇ場所に入るもんだから、すっかり誤解して、危うく屯所を飛び出す所だったんだぜ?前以て言っておいてやれよ」
「え……あ……ごめん、ごめんな!千鶴ちゃん!俺、何も疚しい事は……!」
「俺も保証しよう。疚しい事などされていない。させる気もない」
「し、信じられなくてごめんなさい!永倉さん!!」
「さてと。俺はもう行くぜ。原田ぁ、今夜夜這いに行くから一杯付き合えよ」
「また堂々とした誘いだなぁ……って何でだよ!」
「……今夜は一人で呑みたくねぇんだよ。嬢ちゃんの脱走阻止に協力した礼くらいしやがれ」
「……まあ、良いけどよぉ……」
「不知火さん!!」

永倉さんから離れて振り向いた時には、不知火さんはもう背を向けて、手だけ振っていた。

私は、その背にお礼を込めてお辞儀をした。

不知火匡さん。

私に小さな白い花を贈り続けてくれた人。

確かに、新選組の敵なんだろう。

だけど、きっと、本当は優しい人なんだと思う。

今夜はこっそり、お酒のおつまみを作って原田さんのお部屋にお邪魔しよう。

今日のお詫びとお礼に、お酌位、させてくださいね?


END
  1. 2014/02/27(木) 18:58:06|
  2. 頂きもの
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<「ねこの寝ごころ」 | ホーム | あれから一週間~>>

コメント

おもしろい♪

蕎麦の花をくれた人シリーズは
大好きです!
不知火さんのことはあんまり興味なかったんですけど
この話を見て好きになりました!
これからも楽しみにしています(*^^*)
  1. 2014/02/27(木) 19:49:26 |
  2. URL |
  3. 雅 #-
  4. [ 編集 ]

香住→雅様

コメントありがとうございますvV
何時の間にかシリーズになってますね(ーー;)ちょこ様のサイトなのに良いのかしら?(^_^;)

あくまで、香住の妄想の不知火さんですが、好きになって頂けて嬉しいですvV
  1. 2014/02/27(木) 20:32:58 |
  2. URL |
  3. 香西香住 #PBl13R7o
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kougethuan.blog.fc2.com/tb.php/539-cb38b8e0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)