皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「蕎麦の花をくれた人」

桜護雪」の香西香住さんから、不知火×千鶴のSSを頂きました♪

いやー、指定されたイラストから、てっきり平千から派生の不知火艶話だとばかり思っていたのに
頂いたものが、真面目に(←)不知火×千鶴だったのでびっくりw
失礼な言い草でごめんなさい(ノ∀`;) けど、相変わらず香住さんは私の予想のナナメ上を行って下さって、いつも予告から頂くまでが楽しみでww

さて、この2枚の絵で、どうしてこうなった!?という、題名からは香住さんらしさを感じるSS―――続きからどうぞ^^


挿絵は感謝を込めて、香住さんに進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




蕎麦の花をくれた人


カット134


湯から出て部屋に戻ると、ぐっすり寝ていたはずの彼は、私が置いていった襦袢をそのままにお酒を飲んでいた。

「よぉ、おはよう」

片目を閉じて私に微笑みを向けてくれた。

「おはようございます。朝からお酒ですか?」

髪の毛を拭いながら、彼の側に腰を下ろす。

「少しだけだぜ?寝起きの一杯。それより、身体は大丈夫なのかよ?優しくしたつもりだが、初めてだろう?痛くて動けなくてもおかしくねぇんだけどな」

彼の長い指が私の毛先で遊ぶ。

「大丈夫です。不知火さんがとても優しくしてくださったので」

いつもの乱暴な振る舞いが信じられない位に、昨晩の彼は優しかった。

ずっとこのままでいたい、と思う程に。

「名前で呼べよ。もう、他人じゃねぇんだ」
「……匡さん」
「なんだ、千鶴」
「もう、お蕎麦(そば)のお花はくださらないんですか?」

そう問いかけると、彼は、頬を染めて自分の顔を隠すように私を抱き締めた。

「ちゃんと、救ってやっただろう?今度は護ってやるよ。一生な。……つーか、花を贈り続けるとか、俺には似合わねぇだろ?柄じゃねぇ」

恥ずかしそうに話す彼に思わず笑ってしまう。

「確かに、「お蕎麦の人」が不知火さんだったなんて、びっくりしちゃいました」
「その呼び方はやめろ!ったく、一目惚れなんて初めてしたもんだから、おかしくなってたんだよ。もう忘れろ」
「嫌です。「お蕎麦の人」は私の支えだったんです。忘れてあげません」

お蕎麦の人。

何時の頃からか、朝起きると私の枕元に小さな真っ白な蕎麦の花が置かれているようになった。

お蕎麦の花の花言葉は
『あなたを救う』

誰かが私を護ってくれてる気がして、私はその人を「お蕎麦の人」と呼ぶようになった。

どんなに辛いことがあっても、その花を見ると、私を想ってくれてる人がいると思うと元気になれた。

その「お蕎麦の人」が、この人だとわかったのは昨日。



『蕎麦の花をくれた人』



昨日は、平助君の八番隊に同行させて貰っていた。
少しだけ離れて父様を捜索している時に、彼に逢ったんだ。

「お。姫さんじゃねぇか」

通りすがりに腕を掴まれた。

「し、不知火さん!」
「そんなに固くなんなよ。こんな真っ昼間の往来で人拐いなんざしねぇよ。それより、どうだ?一緒に蕎麦でも食わねぇ?奢ってやるよ」
「………お蕎麦?」

今、思えば、あれは匡さんなりの助言だったのかも知れない。

「ああ、蕎麦を……」
「テメェ!!千鶴から手を離しやがれ!!」
「へ、平助君」

カット382

何かが解るような気がしたのに。

「おっ。今日はガキんちょと一緒か。なら、余計に俺様と来いよ、可愛がってやるぜ」

いつもの不知火さんに戻ってしまった。

「ガキんちょじゃねぇし!千鶴を渡すわけねぇだろ!?」
「不知火。嫌がってる子を強引に誘うのは良くないぜ?」

刀を不知火さんに向ける平助君に、一人の男性が私から不知火さんの手を離してくれた。

天霧さんや風間さんじゃない。初めて逢う人だ。

「……高杉」
「それにしても、お前が娘子を蕎麦に誘うたぁね。驚いたぜ。あ、わかった!この娘か。お前の「蕎麦の花の君」は!」
「……え?」

蕎麦の花の……君?
蕎麦の……花!

「高杉!」
「おっと、悪い悪い」
「蕎麦食いに行くんだろっ!じゃあな、姫さん、邪魔したな!」

不知火さんは男性の背を押して行ってしまった。

「待って!」
「待ちやがれ!!」

平助君と同じ台詞を叫んでしまったけど、きっと意味合いは違っていただろう。

蕎麦の花……!

まさか、あの人が!?

***

ずっと逢ってみたかった『お蕎麦の人』。

私は今夜こそ彼を捕まえる事にした。

罠、と言っても、何でもないこと。

狸寝入りだ。

月明かりが入るように少し障子を開けたままに、じっと待っていると、枕元に突如気配を感じた。

気が付かれないように、薄目を開けると、見覚えがある刺青が映った。

ああ……。やっぱり、貴方だったんですね。

離れて行く、彼の手をそっと握る。

「っなっ……!」
「こんばんは。不知火さん」

驚く彼に微笑みかける。

「っ……起きていやがったのか」
「昼間、沢山助言を頂きましたから。確かめずにはいられませんでした」
「……で?どうするつもりだ?誰か呼ぶか?仮にも女の寝床に毎晩不法侵入してたんだしな」

彼は、自分を欺く様に笑った。

「まさか。そんなことはしません。『お蕎麦の人』は、私の支えだったんですから」
「『お蕎麦の人』だぁ!」

叫ぶ彼の口を慌てて押さえた。

「叫ばないで下さい!本当にどなたか来てしまいます!」
「なんだよ、その間抜けな呼び方!」
「そちらこそ、『蕎麦の花の君』なんて呼んでたじゃないですか!」
「俺が呼んでたわけじゃねぇよ!それに、『お蕎麦の人』よりはずっと風流があってマシじゃねぇか!」

小声で彼と言い合う。

「……それで、『私を救って』くださるんですか?」

そう訪ねると、彼は色黒で逞しい手を私に差し伸べて来た。

「俺のこの手を取るなら、救ってやる。ここから拐ってやるし、風間からも誰からも護ってやる。綱道の悪事も止めてやるし、これからお前が感じる苦しみも悲しみも半分受け持ってやる。一生……否、死んでからもお前と生きてやる」
「……不知火さん」
「だけど、この手を取ったら、俺は二度とお前を離してやらねぇ。俺と永久に共に生きてもらうぜ?それでも、お前は、この手を取るか?」

伸ばされるその手を取らない理由は私にはなかった。

ごめんなさい、皆さん。
お世話になりました。

私は、この人と生きます!

***

それから、私は、この匡さんの家に連れてこられて、綺麗な着物を贈られ、そして、抱かれた。

匡さんこと

「風間の奴はあれで結構潔癖でな。奴が欲しいのは、真っ白な穢れのないお前。つまり、俺の色に染まっちまえば、お前はあいつに取って、ただの女鬼になる」

らしい。

匡さんの色に染められたからって、穢されたなんて思わないけどな。

こんなに、幸せなんだし。

「……千鶴」
「は、はい!」

幸せから覚醒して、彼の胸にくっ付けていた顔をあげる。

「身体が大丈夫なら、出掛けられるか?ずっとこうしてお前を抱き締めていてぇのは山々なんだがな」
「は、はい!勿論です!どちらへ?」
「……お前を逢わせておきたい奴がいる」
「……え?」
「高杉晋作。俺の親友だ」
「高杉……。ああ、昨日の!」

私に最大の助言をくださった方だ。

「ああ、俺が認めた数少ねぇ奴だ」
「是非、逢わせてください!お礼を言いたいです!」
「……ああ。……間に合って、良かったぜ」
「……え?」
「何でもねぇ。ゆっくりで良いから支度しろよ。……なんなら手伝ってやろうか?」
「結構です!!」

彼の言葉の意味を知るのは、数ヵ月後、涙を流さずに泣く彼を抱き締めた時。
その後、兄と父を亡くし、新選組の最期の姿を前に、嘆き悲しむ私を彼が心ごと包み込んでくれることになる。

お蕎麦の花言葉は

「貴方を救う」
「懐かしい思い出」

そして……。

「喜びと悲しみ」

これから、生きて行く中で沢山の喜びと悲しみを味わう事になるだろう。

それを私は、きっと匡さんと分かち合って生きて行く。

お蕎麦の花を届け続けてくれたこの人と。

昨夜、この人の手を取った事を後悔する日は、きっと永久に来ないだろう。

私は、本当は誰よりも人情味溢れて優しいこの人とずっと歩み続けます。


END
  1. 2014/01/23(木) 12:20:59|
  2. 頂きもの
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
<<冷蔵庫がカラです(T-T) | ホーム | ちまちまと更新中>>

コメント

香西香住様、こんばんは。
素敵な不知火さん×千鶴ちゃんのお話をありがとうございました。
「お蕎麦の人」は、千鶴ちゃんにとっては心の支えだったのでしょうね。
不知火さんがカッコ良くて艶っぽくてたまりません。
不知火さんなら、きっと千鶴ちゃんを守りきって幸福にしてくれるでしょう。
末永く二人がラブラブでいられますように。
すごく萌えるお話をありがとうございました。
  1. 2014/01/30(木) 20:13:20 |
  2. URL |
  3. 小萩 #-
  4. [ 編集 ]

香住→小萩様

小萩様、お久しぶりです。コメントありがとうございました♪嬉しいですvV このお話、拍手を一杯頂いてしまって……。ぬいさんファンの方、多いのかも知れませんね。香住も一番好きです。
きっとぬいさんは一途だと思いますよ。
でも、毎朝毎朝枕元に置かれる白い花。

怖い!

と思う人もきっといるだろうなぁ、と思いながら書きました(笑)

小萩様が萌えて下さって嬉しいです。コメントありがとうございました♪
  1. 2014/01/31(金) 00:07:02 |
  2. URL |
  3. 香西香住 #PBl13R7o
  4. [ 編集 ]

香西香住様、こんばんは。大変ご無沙汰しておりました。
いつも丁寧なお返事をありがとうございます。
拍手の多さに、ファンの皆様の愛を感じますね。晋作の親友って
だけでもポイント高いのに、あの「雪華録」での不知火さんの
さりげないカッコ良さ。惚れてしまいますよね。
「どうして攻略出来ないの−!!」と叫んでしまうくらいに。

毎朝お花がもらえるって、すごく素敵じゃないですか。
千鶴ちゃんも喜んでいましたし。

鬼は「約束を必ず守る」。不知火さんもそうですよね。
晋作の最期に、間に合ったんですよね?
不知火さんは、千鶴ちゃんを、「自分にとって大切な存在」
として、晋作に会わせることが出来たんですよね?良かったです。
そして、不知火さんは約束を守ってくれて、千鶴ちゃんを
救ってくれました。ありがとう、不知火さん。

これから、お蕎麦の花を見る度に、きっとこのお話を思い出すと思います。
不知火さん、千鶴ちゃん、どうか幸福になってね。


  1. 2014/02/06(木) 18:20:42 |
  2. URL |
  3. 小萩 #-
  4. [ 編集 ]

香住→小萩様

お返事ありがとうございます♪
ですよね。不知火さんはちゃんと約束を護り、千鶴ちゃんを護ります。『今世』は。
高杉さんの最期にも勿論間に合いましたよ。
そして、『来世』は違う型で千鶴ちゃんを愛します。そのお話はもうちょこ様に預けてありますので、次回をお楽しみに♪もう1つの愛し方はどうだったか、また感想を頂けたら光栄です♪このSS台無しにしてないといいな(^-^;)
光栄ですが、香住、蕎麦のお花はあまり見たことないです。小萩様はありますか?
でも、ぬいさんの言う通り、毎晩自分が寝ている間に忍び込まれてるわけなので……(笑)
  1. 2014/02/06(木) 19:19:34 |
  2. URL |
  3. 香西香住 #PBl13R7o
  4. [ 編集 ]

香西香住様、こんばんは、またお返事ありがとうございます。
「来世」があるのですか?それはまた楽しみな。ドキドキします。
その折には、是非感想を書かせていただきますね。

お蕎麦の花、私は写真でしか見たことがありませんが、
小さくて白い花がいくつもいくつも咲いていて、可愛いですね。
夏から秋にかけて咲く、可憐なお花です。
現在、生産量が一番多いのは北海道だそうです。
確かに寝ている間に忍び込まれるのはちょっと怖いかも(笑)。
  1. 2014/02/06(木) 20:31:33 |
  2. URL |
  3. 小萩 #-
  4. [ 編集 ]

香住→小萩様

早々とお返事ありがとうございました(^-^;)
私も写真ではあって、可愛いなと思うのですが……。後、幕末にも絶対あっただろうと思い……。幕末のお話だとその辺も考えないといけないので気を使います(笑)
ね?そう考えると怖いですよね(笑)
  1. 2014/02/06(木) 20:38:26 |
  2. URL |
  3. 香西香住 #Na//oj5c
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kougethuan.blog.fc2.com/tb.php/521-0c8246a3
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)