皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「アイシテ、」

うちではお初の「caramel」のハルさんから、沖千SSの頂き物です。
ありがとうございます。これからよろしく^^

ところで、今回はご注意! 
うちでは珍しく、『狂愛』で『流血』です。
苦手な方はご覧にならないで下さいね!

まあ、でも、沖田さんって一歩間違えると、こっちへいっちゃいそうなキャラではありますよねえ^^;
次は甘いお話を是非!


と言う事で、一応注意喚起してから―――それでもよろしい方は続きからどうぞ。


ハルさんには感謝を込めて、挿絵を進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。



アイシテ、



「―千鶴ちゃん、起きて!」


 夜中に突然の部屋へ飛び込んできたのは、沖田さんだった。
 沖田さんは珍しく動揺した様子で私の名前を呼んで、睡眠を貪っていた私をたたき起こした。
「……!?どうかしたんですか!?」
「いいから早く起きて!」
 説明する時間も惜しいとばかりに手を引かれ、私は襦袢姿のまま外へ連れ出される。
「っ私裸足ですよ!?」
 履物は玄関にある。ヒラリと縁側から庭へと飛び降りた沖田さんは履物を事前にそこに持ってきていたようで、普通に立っている。対して私は襦袢姿のまま、髪も結わず下足も履かないまま。状況が飲み込めずに立ち尽くす私を、沖田さんは抱き上げた。
「………!?」

 ―いつもと様子の違う沖田さん―

「まさか、鬼が来たんですか!?」
 屯所はいつも通り静かだったけれど、私が眠りこけている間に何かあったのだろうか。
 けれど焦った私の問いに沖田さんは答えてくれなくて。あまりにその様子が切羽詰っていたから、それ以上私は何も言えずに、戸惑いながらも沖田さんに身を任せた。
「しっかり掴まっててね」
「はい……、って、え?」
 小声で囁くように言われ、訳も分からず沖田さんを見上げた私。沖田さんは私に静かにしているように視線で促し、そして――走り出した。


カット400アイシテ、


静かな夜の京の町を、沖田さんは私を抱えて走る。

 たどり着いたのは、何の変哲もない家。
「……?」
 益々意味が分からなくて、私は縋るように沖田さんを見た。
「どういう事ですか……?」
 沖田さんは横抱きにしていた私をその家の床に降ろして、私の両肩を掴んだ。
「―落ち着いて聞いて」
 大きな身体を屈めて、私と視線を合わせる。綺麗な翡翠の瞳が、私を捕らえた。

「会議で、君を殺すことが決まった」

 冷水を浴びせられたどころではない。心臓が止まるかと思うほどに、私は一瞬にして混乱に陥った。
「、え……?」
 思わず出た声は、消え入りそうな程掠れていた。心なしか、沖田さんの手が震えている気がする。
「少し前から幹部会で話し合いの議題になってた。……君を、このままにしておいていいのかって……。まさか本当に決まるとは思ってなかったんだけど」
 何も、言えなかった。
「千鶴ちゃん。……僕は、君を殺したくない」
「――……」
 あの、優しい皆さんが。
「でも皆は命令には従うって」
 ―私を、コロス?

「ゃ、いや………ッ!」
 混乱のままに、沖田さんの手を拒絶する。目の前の沖田さんが、恐ろしかった。殺したくない、と今しがた言った言葉など、信じられる筈もない。
 毎日のように「殺す」「邪魔」と言われ続けていたのに、この期に及んで都合よく信じられるわけ……無い。
 私を殺すという命令が出た、というのはもしかしたら嘘なのかもしれない。だって、眠りにつくまではいつもと何も変わらない皆さんだったから。だけど……だけど、だとしたらこの状況は、何?沖田さんは一瞬、行き場の無くなった両手を無表情で見下ろして。
 そして、
「違う……僕は君を守るためにここに連れて来たんだよ」
 フワリ、と。
 私を包むように抱き締めた。
「う、嘘……っ!沖田さんはいつも―」
「うん、沢山酷いことを言ったね。でもそれは全部、君の気を引くためだったんだよ……?」

 抱き締められてる、なんて事に反応している暇なんて無かった。
 ただ、何故か沖田さんをさっきのように振り払うことはできなかった。

―自覚していないだけで、私は沖田さんの今の台詞に少なからず動揺しているようだった―

「な、ならなんであんなこと……っ」
「君がずっと好きだったから。君は“皆”に優しかったから……」
 沖田さんが私を好きで、皆さんは私を殺そうとしている……。信じられない事ばかりで、私は考えることを拒絶するように目を瞑る。
「聞いて、千鶴ちゃん」
 すると頬を沖田さんの大きな手が包んで、上を向かされる。
「僕が、君をずっと守ってあげる。誰も君に触れられないように。君を殺せないように」
「おき、」
「大好きだから…………だからお願い……死なないで」
 その言葉から、私の帰る場所は無いのだと理解する。
「ここに、ずっといるのは嫌?」
「ここに……?」
「うん。ここで、僕の帰りを待っていて欲しい。ここは君の為に用意した、僕と君の家だよ」
 甘い言葉が、私の頭を侵していく。
「沖田さんは……私を、殺さない?」
 窓から差し込んでくる月の光が照らした沖田さんは、まっすぐ私を見詰めていた。
「殺さない。君を、愛しているから」


 “アイシテル”
 その言葉が、麻酔のように私の頭を痺れさせた。
 熱に浮かされたように身体が熱くなって、私は両腕を沖田さんの首裏に回して、沖田さんの胸に顔を押し付けた。
「沖田さん……」
「私を、アイシテください」
 その言葉で、何かが音を立てて壊れた。
 それは私の感情だったのかもしれない。
 それは、沖田さんの理性だったのかもしれない。
 けれどその時私が考えていたことはそんな事では無かった。

 背中に感じる、冷たい床の温度。
 私の両手首を掴む、沖田さんの手の力強さ。
 唇に押し付けられた、少し乾燥した沖田さんの体温。
 合わさった唇の隙間から侵入してくる沖田さんの熱い舌。
 沖田さんの、甘い熱を湛えた綺麗な瞳。

 私の感覚の全部が沖田さんで埋まった時、私は意識を手放した。





 揺蕩う意識の中、刀が鞘から抜かれる、もう聞き慣れてしまった金属音が聞こえた―。

 私は意識を一気に覚醒させる。
「―――っ!」
 目を開けた私の目の前には、刀を手にした沖田さん。さっきまでは何も纏っていなかったのに、彼は既に衣服を纏っていた。冷えていく思考の中、思う。
 やっぱり沖田さんは私を……。
 絶望に染まっていく私の瞳を覗き込んで、沖田さんは困ったように微笑んだ。
「違う……、君を殺すわけじゃない」
「じゃあなんで刀なんか……ッ!」
「土方さんは、ただ僕が“千鶴ちゃんは始末した”って報告しても信じないよ……。君を殺したっていう、何か証拠が無くちゃいけない」
「証拠……?」
「少し、君の血をこの刀に頂戴?」
「血……」
「うん。刀は人を斬った後油とかが付くものなんだ。他の誰か……そこら辺を歩いている不逞浪士を斬ってもいいんだけど、流石にそれはバレるかなって。……ごめん、君を傷つけたいわけじゃないんだけど」
「――……っ」
「少しだけ、我慢して」

 視界が沖田さんで埋まって、沖田さんに酔いしれたばかりの私の頭は何も考えられなくなる。
「……ん、」
 合わさった唇の隙間から声が漏れた時、沖田さんの手が動いた。
 ―刹那、燃えるような激しい痛みが左足首を貫いた。
「――…く………ッ!」
 反射的に身体が拒否反応を起こして、沖田さんの背中に回した手が爪を立てる。痛みを逃がそうと思わず噛み締めた歯が、沖田さんの唇を傷付けた。足首が激しい痛みに疼いているのに……、血が、私から流れ出た血が布団を汚しているのに、私が真っ先に思い浮かべたのは、沖田さんに私が付けた傷の事。

 その証拠に、唇が離れて私が最初に発した言葉は沖田さん、という縋るような声。沖田さんは怯えるように震える私を抱き締めて、痛かったね、と小さい子供をあやす様に囁いた。
「じゃなくて唇……、」
「唇?ああ……こんなの気にしなくていいよ」
 沖田さんの指が私の足を伝って、傷の近くに触れる。
「君の痛みに比べたら、これくらい」
「ごめんなさい……」
「君は謝らなくていい。我慢してくれて、ありがとう」
 優しい沖田さんの言葉に黙って首を振る。
「私はもう、沖田さんのモノですから。これくらい……我慢できます」
「……なら僕だって、君のモノだよ。君を守れるのは僕だけだし、君の視界に映るのも僕だけだ」
 沖田さんが今までで一番優しく微笑んで、もう一度私に口付けを落とした。

 沖田さんはその夜中に、もう塞がりかけた私の足首の手当をして屯所へ帰っていった。
 ―もう、私には沖田さんしかいない。微かに沖田さんの香りが残る布団に顔を埋めて、私は眠りについた。

カット229


 こうなって嬉しい、と思う歪んだ自分がいる。
 ずっと心の中だけで慕っていた沖田さんが私に好きだと囁いてくれて、私のモノになって。ここで私を囲って、いつでも私の事しか考えられなくなった。

 ねえ沖田さん。




 大好き、です。

  1. 2014/01/14(火) 22:50:05|
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  1. 2014/01/15(水) 00:54:05 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

ハル様♪

イラストお受け取り&そちらでのUPありがとうございました!
こちらこそ気に入って頂けて、ほっとしました。
また何か降ってきましたら、是非^^
支部の方でのUPも楽しみにしていますね。

どうぞこれからよろしく!
  1. 2014/01/15(水) 23:52:54 |
  2. URL |
  3. ちょこ #-
  4. [ 編集 ]

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