皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「託された命」

桜護雪」の香西香住さんから
近藤×千鶴のキスイラストへの頂き物です^^


近千キスSSと聞き、頭の部分を読んだ時は、いつもの香住さんと違って、ディープな展開!?
と、ちょっと危険な香りを勝手に想像して、ドキドキしましたがw
いつもの香住さんテイストでほっとしましたww
(歳くったオバサン発想ってしょーもないですねー^^;)

しかし、深読みすれば色々と読み取れそうな―――そんな素敵な掌編を続きからどうぞ♪


挿絵は感謝を込めて香住さんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




「んー……目が、似てるかな?」

産んで綺麗にしたばかりの赤ちゃんをマジマジと見つめる。

「千鶴?どうした。お産を終えたばかりなんだから、安静にしてろ」
「歳三さん。この子に近藤さんに似てるところがあるか探してるんです」
「は!?俺じゃなくてか!?」
「実は……」


託された命


「近藤さん!一緒に逃げましょう!誰かが犠牲にならなくても、皆で逃げられる方法がきっとあるはずです!」

涙でボヤける中、私は必死にその人を見詰めて、説得する。
今、正に命を捨てる覚悟で進もうとしている、あの人が誰よりも大切に想っているこの人を。
あの人に恋い焦がれて早数年。
あの人の事はそれなりにわかっているつもりだ。
もしも、自分達の命と引き換えに、この人の命が消えてしまったら、きっとあの人は壊れてしまう。あの人の心は凍えてしまうだろう。

「そうだ、私が……私が囮に!私は鬼です!心臓さえ無事ならば生き延びれます!貴方達を逃す時間位は作れるはずです!」
「馬鹿者!そんなことが出来るか!」
「っ……!」
「っ……すまない。怒鳴ってしまって。確かに、君は鬼かも知れない。だが、その前に娘だ。娘を囮にして逃げるようでは、侍として……否、男として失格だ」

近藤さんは、私を落ち着かせるように、肩を掴んだ。

「それにな。俺は君を娘のように想っている。娘を囮にして逃げるようでは、親失格だ」

「近藤さん……」
「……うむ。……雪村君。君は、トシを愛しているな?」
「な、な、何故、それを!?な、何故、今!?」

戸惑う私に、近藤さんは嬉しそうに笑った。こんな風に笑うこの人を、私は久し振りに見た気がした。

「やはりそうか!いや、雪村君、俺は嬉しいよ!どうか、トシを支えてやってくれ!俺が情けないのが原因だが、トシはああ見えて誰よりも優しい男だからな。全てを背負ってしまう」
「そんな……出来るなら、私も土方さんをお支えしたいですが、私に出来ることなんて……」
「ただ、側にいてやってくれればいい。ただ、トシを信じ、最後まで味方として、トシの側にいてやってくれ。それだけで、あいつの支えになるはずだ。君は」
「そう、でしょうか?」
「ああ、間違えない」
「ですが、私に、近藤さんを喪った土方さんの心の隙間を塞げるとは思えません!どうか、土方さんと共に……!」

「生きてください!」と叫ぶ前に、唇を塞がれた。

カット317


「……っ……!」

深い深い口付け。

長い時間に感じたけれど、本当は短い時間だったのだろうか。

「……はぁ!こ、こ、近藤さん!?」
「ふぅ。今、君の中に、俺の魂を注ぎ込んだぞ」
「はい!?」
「これで、例え、この身が腐ってしまおうとも、俺の魂は君の身体の中で生きる!」
「……っ!近藤さん!」
「だから、どうか、泣かないでくれ。娘に泣かれる事程辛いことはない」

近藤さんは、広い腕で強く強く抱き締めてくれた。
出逢った頃のこの人だ。
理想の父様のような、強い包容力を持った人。

ごめんなさい、土方さん。
私にはこの人を止めることが出来ません。

この人は、もう、一人の侍として、自分の最期を決められてしまったんだ。そんな人にまだ小娘の私が何を言えよう。

「わかりました。私は何があっても土方さんの側を離れないと誓います」
「ありがとう。そうだ。もし、君とトシの間に子が出来たとしたら、俺はその子の中に入ろう」
「え?」
「君とトシの子として生まれ変われればそれは強い子になれるだろうからな。ほら、トシが戻って来る。早く行きなさい。達者でな」

大きな手に背中を押された。

「近藤さん!」
「何、きっとまた逢える。きっと、な」

最期に見たあの人の顔は、初めて逢った頃の優しい笑顔だった。


***


「……と、言うことがありまして」
「ほぉ。つまり、こいつぁ、近藤さんの生まれ変わりってわけか」
「わかりませんけどね。もし、そうなら素敵じゃないですか」
「そうだな。じゃあ、名前は『勇』に決定だな。強い男に育ちそうだ」
「ええ!」
「とりあえず、丈夫になってきたら決闘を申し込むか」
「はい!……って、何でですか!?」
「どさくさ紛れに千鶴の初めての接吻を奪いやがって。例え近藤さんでも許せねぇ!」

「あ、あれは、数の内に入りません!私の初めては全部歳三さんです!」
「そうか……それならいいが……」
「もぅ……。本当に近藤さんの生まれ変わりかわからない自分の子供に何しようとしてるんですか」
「俺は、残りの人生をお前に捧げると決めたからな。お前の事に関しては余裕を無くしても問題ねぇだろう?」
「歳三さん……」

近藤さん。私、歳三さんと生き抜いて、子を産みましたよ?貴方は、今、私の中ではなく、私の腕の中にいらっしゃいますか?

カット392託された命

END
  1. 2013/12/19(木) 10:40:34|
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