皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「ばかみたい」

テール×テール」のドラキョンさんから
風間と千姫のキスSSを頂きました♪

と言っても、風姫じゃないんですねー
なのに、あのキスシーンへと行く、ドラキョンさんの話運びに脱帽ですw
お千ちゃんってばカッコイイ~!

このお話の幼少編は本家でUPされてます。
可愛いお話なので、気になった方はそちらも是非お読み下さいね^^


では、ちー様よりオットコ前なお千ちゃんをw 続きからどうぞ♪


挿絵は感謝を込めてドラキョンさんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




ばかみたい



あ~、もう苛々する。
手にした扇をパチリと閉じると、それを真っ直ぐに突きつけた。
「ねえ、ちょっと。いい加減にしてちょうだい。
いつまでここでそんな仏頂面でお酒を呷っているつもりよ。
あなたの顔を眺め続けるなんてまっぴらなんですけど。」
こっちをこんなに苛つかせているというのに、あいつときたら、
顔色一つ、表情すら変えず杯を口に運び続けている。

「ふんっ。ならばこちらを見なければよかろう。
そんなに嫌ならばおまえが部屋から出て行けばよいこと。」
俺様だ、俺様だと常日頃から思っていたけれど、なんなのこの態度。もうっ。
「言っときますけどね。こ・こ・は、私の部屋なのよ。
私の屋敷なの。なんで私が出て行かなきゃならないのよ。
出て行くのはあなたの方でしょ、風間。
いきなり私の部屋にやって来たかと思えば、勝手に酒を飲み始めて。
飲むなら自分の部屋で飲みなさいよ。
大体、そのお酒だってうちの台所から勝手に持ち出したものでしょ。
ずうずうしすぎるわ。」
私の文句を聞いているのかいないのか分からないのは、昔っから変わらない。
その態度がますます私の怒りに油を注ぐ。

「この部屋が一番上等なのでな。わが屋敷には及ばぬが、致し方ない。
素直にこの部屋を明け渡せ。」

駄目だわ。こちらが婉曲に退出を促している理由なんて、
わかりきっているくせに。
こいつにははっきり言うしかないらしい。全く面倒なやつ。
「ねえ、あなた何しにここへ来たのよ。千鶴ちゃんが心配なんでしょ。
だったらこんなところでお酒なんか飲んでいないで、
さっさと千鶴ちゃんの所へ行きなさいよ。
・・・私としては、非常に不本意なんだけど、
千鶴ちゃんの想い人はあなたなんだから・・・。
千鶴ちゃん、あなたが迎えに来てくれるのを待っていたし・・・。
さっさと謝っちゃいなさいよね。」

そう。風間と共に薩摩へ向かっていた千鶴ちゃんが、
その途中で私の所へ寄ってくれたのは、先日のこと。
仲睦まじい二人の様子に安堵していたのに。
夕方、仲良く買い物に出かけていたはずの千鶴ちゃんが、
泣きながら戻ってきた。
部屋に籠って泣いていた千鶴ちゃんから話を聞いて、私は呆れてしまった。
西の頭領ともあろうものが、こんな些細なことで臍を曲げるなんて・・・。
「俺は何も悪くない。なぜ俺が頭を下げねばならん。」

馬鹿じゃないの。
子供の頃の話じゃない。
子供の頃、千鶴ちゃんが男の子におでこに接吻された話を聞いただけで、
なんで千鶴ちゃんを責めるわけ。
その子が千鶴ちゃんと結婚の約束をしたからって・・・。
そんなの・・・昔の事じゃない。
・・・可愛い思い出じゃないの。
そんな昔の事でも許せないなんて・・・。
・・・どうせその男の子だって、そんな子供の時の約束なんて
すっかり忘れちゃっているわよ。
忘れちゃってる・・・。

私はそんなことにこだわっているあいつの態度に無性に腹が立って、
気がつけばあいつの胸ぐらをつかんで唇を押し付けていた。

カット300

ふんっ。あいつの驚いた顔が見られただけでも、良しとしなければ。
失礼にも、あいつときたら袖口で口を拭っていた。

「・・・何の真似だ?」
下降していた機嫌がさらに下がったようで、私に向けられる視線は、一層鋭い。
・・・やっぱり馬鹿。

「ここまですれば思い出すかと思ったんだけど、まだ思い出せないようね。
お忘れになっているようですから、言わせていただきますけどね。
あなた、子供のころ私に接吻したわよ。」
「なっ・・・。そんなこと・・・。」
・・・ほらね、忘れちゃっている。

「私はよーく覚えているわよ。初めて会った奴に、訳も分からないうちに、
いきなり初めての接吻をされちゃったんですもの。
あの屈辱忘れられるわけがないわっ。」
「・・・お、覚えがない。誰かと間違えているのではないか。」
・・・そんなことだと思っていたけどね。

私は息を整えると、
「わかったかしら。あなたがこだわっていることは、その程度の事なのよ。
誰が子供の頃の他愛もない約束を覚えているのよ。
その男の子だってあなたと同じで忘れちゃってるわよ。
千鶴ちゃんだって、そんなこと気にしていないからこそ、
子供の頃の思い出としてあなたに話したんでしょう。
それに悋気するなんて、馬鹿馬鹿しすぎるわ。」
「・・・・・・。」
「大体、あなた、今までい・ろ・い・ろと遊んでいるわよね。
それを棚に上げて、千鶴ちゃんを責めるなんてどういう了見なわけ?
責められこそすれ、責める資格ないでしょう。
・・・いっその事、昔私としたことも、今のことも千鶴ちゃんに話して、
千鶴ちゃんと・・・わ」
「それはありえん。」
あいつは私の言葉を遮ってあっさりと言い切った。

・・・そう言うと思っていた。
あいつは、立ち上がると私に目を向けることなく、離れへ歩いて行った。
これで私のおせっかいは終わり。

ため息を一つつくと、私は部屋の外に控えている菊に声をかけた。
「向こうの離れは、声がかかるまで誰も近づかないように
皆に言っておいてちょうだい。」
「すでに伝えてあります。」
「そう・・・。あとは・・・。」
「御酒でございますね、姫様。」
音もなく障子があいて、現れた菊の手元には、
杯二つとやや大きめの徳利が数本載った盆が置かれていた。
・・・出来過ぎる傍付というのは・・・。

私は苦笑を浮かべて、菊を部屋へ招き入れた。
「姫様、お疲れ様でございました。」
菊が慣れた手つきで私の盃を満たしてくれる。
「・・・本当に、手間をかけさせてくれるわよね。」
「・・・・・・。」
本当によくできた傍付きだ。今の私に、相槌はいらない。
程よく酒のまわった頭の中に、幼い子供の声が近く、遠くこだまする。


・・・お前、俺の嫁になれ・・・
・・・鬼の約束だ・・・


先ほど自分で言った通り、昔の、幼い子供の約束・・・
何も知らなかったからできたひだまりの約束・・・
『鬼は・・・』っていうけれど、
流石にこんな約束で縛ることはありえない・・・
こんな約束に囚われているものなど居る訳がない・・・
ようやく約束の呪縛から解放される・・・
今の私にとって二人は大切な友であり、同志・・・

・・・これでいいのよ。
・・・二人ともお幸せにね。
心地よい酔いに、私は身をゆだねた。

カット367ばかみたい



  1. 2013/11/02(土) 11:08:34|
  2. Kissシリーズ
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コメント

お千ちゃん素敵過ぎる~(〃д〃)

やばーい、何これ素敵(〃д〃)きゃ~♪お千ちゃん、かっこいいよおお。
千鶴ちゃんの子供の頃の約束にヤキモキしてる男として小さいwちー様と、それを「だからなんだって言うのよ!!」って心にしまって前に進もうとするお千ちゃんが対照的ですね。
でも、ちー様・・・そんなホイホイ結婚の約束して歩かないで下さいwお千ちゃんが・・・その約束を覚えていたって事は、彼女にとっては大事な約束だったって事ですよね。なのに、それなのにちー様ったらやきもち焼いた挙句に、その相手に叱咤されるとか、もう本当にっ!!(゛ `-´)/ コラッ、君はもっと女心を分かりなさい。
潔く、君菊さん以外には誰にも知られずに身を引くお千ちゃんがかっこよかったです。
月9ドラマのワンシーンみたいでした~ほろにが~い(*ノノ)素敵なお話ご馳走様でした~。
  1. 2013/11/04(月) 13:24:19 |
  2. URL |
  3. ゆゆき #EYMZMP9E
  4. [ 編集 ]

ゆゆき様へ

お千ちゃんのお話、気に入っていただけたようで嬉しいです。今回の目標は、いつもよりちょいと大人テイストのお千ちゃんでした。、ほろ苦い、言っていただけたのでほっとしています。お千ちゃんが二人の結婚を喜んでいるのは間違いないんですよ。千鶴ちゃんが京に現れなかったら、お千ちゃんにちー様のお世話確実に回ってきていましたよね。某俺様の厄介払いができて清々している気持6割、払った先が大好きな妹分ってところを心配する気持ち3.5割、昔の約束が心の棘0.5割って感じでしょうか。器の小さいちー様を見ていて、『あなただって忘れてるじゃないの!』と心の棘が疼いてしまったんだと思います。二人の記憶の差は、決してお千ちゃん(女)の方が執念深いとかじゃないはず・・・です(多分) ちー様は、これからいろんな人から駄目出しされて、女心を知って行けばいいな~と思いつつ、それより先に千鶴ちゃんが、ちー様限定男心を知ってしまいそうだと思ってしまうのは、頭領ちー様に失礼でしょうか(笑)
  1. 2013/11/06(水) 00:30:07 |
  2. URL |
  3. ドラキョン #-
  4. [ 編集 ]

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