皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「嫌よ嫌よも好きのうちという理屈は、現実では通用しません」

Ginger-Leaf」のたってぃさんから
『狂犯(きょうはん)』の続編を頂きましたー♪


あのお話の続編!? どんなお話に―――と思ってドキドキしながら読み進めると…
『狂犯(きょうはん)』とは全く色の違うお話。
うーん、これはもう読んでもらうしかありませんねw

総ちゃん、あんまりオイタが過ぎるとこうなっちゃうんですよ~www
といういい見本であるSSは、続きからどうぞお楽しみ下さい^^


挿絵は感謝を込めて、たってぃさんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。



嫌よ嫌よも好きのうちという理屈は、現実では通用しません

薫→千鶴→←沖田+幹部+鬼 



 恋愛に現(うつつ)を抜かして、御父様を蔑にしてしまった罰があたったんだ…。
 御父様、ごめんなさい。
 親不孝な娘でごめんなさい。
 千鶴はぎゅっと手を握り締めると、両の手に持った手ぬぐいと竹筒の水筒が虚しい感触を返してきた。
 嫌でも脳裏をよぎる、口を吸い合う南雲薫と沖田総司の姿。
 気分が悪くなった薫の為に、近くにある顔馴染みの茶屋で、手持ちの手ぬぐいを湿らせてもらい、女将の懇意で水筒を貸してもらった。
『京は気温の変化が急やさかい、難儀なものやからなぁ』
 女将の言葉がよみがえり、千鶴は視線を剥き出しの土道におとす。
「…ふっ。えぐ」
 どうして良いか解らない。
 二人は今どうしているだろう、まだあの裏路地にいるのだろうか。
 自分の預かり知らぬ所で、愛を囁き合っているのだろうか。
 もしかしたら、本当は沖田と二人っきりになりたいから、気分が悪いと偽ったのだろうか。いや、もしかしたら、本当に気分が悪いのかもしれない。
 いかないと、そして、返さないと。
 だが、千鶴の意思とは別に、体はあてどなく京の町を彷徨い歩き、必死に現実から逃れようとする。
「薫さんは、素敵な女性よね。私なんかよりも。沖田さんが好きになるのも当然だわ」
 何処となく呟く千鶴。
 沖田が、自分と薫の顔が似ていると指摘されて驚いた。
「だって、私が女の恰好してきた時より、ずっと艶やかで美しかったんですもの」
 父が医者という職業柄、化粧や着飾る事を無意識に避けていた。否、周囲の目が、評価が、怖かったのかもしれない。
「………っ」
 栗色の瞳から大粒の涙がぽろぽろ零れる。
 今までの生き方を全て否定されたような、悔しさと、こんな時でも自分のことしか考えていない浅ましさに、脳内と心が膨大な感情の溢水に飽和状態になる。
『逃げようとしたら、斬っちゃうからね?』
 沖田さん…。
 彼の真っ直ぐな生き方に、知らず知らずのうちに惹かれていた。
 病魔に身を蝕まれていても、己を曲げず。まるで殉教者のように刀を振るう彼の力になりたいと、支えたいと願っていた。
 ねぇ。沖田さん。逃げたら、私を殺しに来てくれますか? 私の醜い魂を、貴方に捧げさせても良いですか?
 ふらふらと、糸が切れた凧のように千鶴は歩き出した。
 危うく、だが、明確な意思を持って、京の外へと。
 御父様、ごめんなさい。
「雪村君! 雪村君じゃないかっ!」
「…なっ。一人でフラフラで歩いて、アイツら何やってんだっ!」
「あ……」
 なんで、こんな時に。
 千鶴は眼を見開いて固まる。
 目の前に近藤と土方がいたからだ。会合に行った帰りなのか、二人とも洒落た黒羅紗の羽織を着ている。
「ひでぇツラじゃねぇかっ! 一体、何があったんだ」
「雪村君。何でもないは、通じぬぞっ! 今日は総司と使いを頼んだ筈だが、もしや、総司が君に何かしたのか」
「…ち、違いますっ。私が、勝手に」
 だが、千鶴の様子から原因は沖田にあるのが明確だった。
 常に頬笑みを絶やさない愛らしい顔立ちが、悲しみに歪み涙で濡れた様子は、踏みつぶされ、蹂躙された白花を連想させた。
 突き上げる感情のまま、土方は千鶴の手に持っている手ぬぐいを奪い涙を拭う。
 目が合う菫(すみれ)の瞳。千鶴の視線を真っ直ぐに見つめ返す、土方の眼差しはとても優しく、千鶴は死を望んだ己を恥じた。
「私…、馬鹿でした。沖田さん、好きな人が居たんです」
「「なっ」」
 観念して身に起きた事を正直に話すと、近藤はただ純粋に驚いて、土方は苦虫を噛み潰した表情で、千鶴の話を聞く。
「そそそそ、それで、南雲薫君という女人(にょにん)と、総司が口を吸い合っていたというのだな」
「はい。この目でしっかりと」
「が、がっつりと、ちゅーしていたのだなっ」
「はい。がっつりちゅーをしていました」
「で、御前さんは総司に惚れていて、二人が口を吸っている場面に出くわして面喰っちまったわけか」
「はい」
 動揺し興奮する近藤とは対照的に、冷静に話を促す土方。二人の真摯な姿に、千鶴は心が次第に軽くなっていくのを感じた。
「ななななななっ…。ゆ、雪村君は、総司に惚れておったのかっ」
「はい、お慕い申し上げて」
 良い終わらないうちに、千鶴の白い頬が涙で濡れる。
 近藤は茫然と立ちすくみ、土方は自然な動作で千鶴を引き寄せる。
「駄目です。御召しものが」
「良いから、黙って大人しくしていろ」
「……」
 力なく身を預けるように、土方の肩に顔を埋めて、身を震わせる千鶴。
 近藤は申し訳ない表情で千鶴に言った。
「雪村君。総司が済まなかった」
「いえ、謝らないでください」
「だが、言わせてくれ。君が総司に惚れていたという言葉を聞いて、俺は嬉しかった。身内びいきかも知れないが、薫と言うお嬢さんよりも、君の方が総司の嫁に来て欲しいくらいだ」
「ですけど、それを決めるのは沖田さんです。私はお二人の為に身を引こうと思います」
 にっこり。
 土方から身を離して、千鶴は微笑んで頭を下げる。
 自分を守る為でも、強がりでもない、ただ二人の幸せを願う笑顔。何気に、彼女の背中から金色の後光が差している気がする。
「ゆっ、雪村君~」
 感激に目を潤ませる近藤。土方は思案顔で、沖田の行動を推理する。
 千鶴も近藤も気づいていないが、沖田が千鶴にベタ惚れなのは紛れもない事実だった。
 おかげで、沖田の悪戯の標的が千鶴一本に絞られて、仕事が思った以上に捗り、毎晩毎朝千鶴の部屋に向かって、拝み倒しているのが土方の日課になっていた(なにその生贄の儀式)
 好きな子に意地悪したい、拙くて幼い愛情表現。だが、どこをどう拗らせたのか、他人を巻き込んで千鶴を傷つけた。これは、もう行き過ぎだ。
「おい、千鶴。ちょっと良いか」
「はい?」


 ちゅっ…。ちゅ…。
 艶めかしい水音が裏路地に響く。雪村千鶴に嫌がらせをしてハァハァする暗黒愉悦部二人。千鶴が足を踏み入れたタイミングを見計らって、濃厚な口吸いを繰り返して彼女の傷口に塩塗ろうと見せつける。
「あの、沖田さん、薫さん」
「あれ、千鶴ちゃん居たんだ? 気付かなかった」
「あらあら、無粋な殿方ですわね。今、良い所でしたのに。それにしても、水とかを持ってくるにしては、かかりすぎですね。どこで、油を売っていらっしゃったのかしら。だけど、それも見当たりませんね。手ぶらで帰ってくるなんて、ちょっと常識を疑いますわ」
※水筒は土方さんが、責任を持って返しにいきました。
「まったく、君は本当に、使えなくてトロいからねぇ。いや、グズって言われても仕方がないかも。そこらへんの子供でも、すぐ終わる使いなのに、いつまでかかっているんだか。今度、そんな醜態をさらしたら君の指一本一本切り落としていくからね」
「まずは足の小指から、歩けなくなっては困りますから、切り落とすのは小指と薬指まで、その次に手が良いですね」
「そうだね。だけど、君の唯一の取り柄は料理だから、優しい僕は手も小指と薬指で勘弁してあげる」
「だけど、それでも駄目なままなら、その可愛い耳を削ぎ落としましょう」
「耳の次は目の片方。大丈夫、もの凄く痛く感じるように抉ってあげるから」
「……………」
 あれ?
 千鶴は、沖田と薫の口撃をにこにこと微笑んで聞いている。
 なんだろう、彼女の背中から金色の後光が溢れ出て見える。
 彼女の周囲から漂い出すまるで清流のような空気の流れに、なんだかとても嫌な予感がする。
「申し訳ございませんでした。それにしても、御二人は本当に仲がおよろしいんですね。息がぴったりですので驚いたと同時に嬉しいです。御二人なら、素敵な夫婦になれると思いますっ!」
 え。ち、千鶴さん。夫婦ってなにそれ。
「近藤さん、見ましたかっ! 御二人の熱烈振りをっ! これは、もう文句がないと思いますっ!」
「あ…あぁ」
「えっ。こ、近藤さんっ…」
 気まずそうに、姿を現した近藤に沖田は悲鳴を上げる。
 近藤は沖田と視線を合わさず、薫の方に歩み寄り一言。
「総司の事を宜しく頼む」
「なっ」
 予想もしなかった言葉に、薫も固まった。可哀想なくらい打ちひしがれた近藤は、なにもない空間にぶつぶつ何かを呟いている。
「俺は総司の親代わりと自負していたんだが…女子にこのような無体な言葉を投げつけるとは…おミツさんになんと申し上げれば良いか…あ、式の手配をしなければ……多摩の道場にはなんと手紙を…雪村君の方が良かった……出来れば、婚姻式は華やかなものが良いが…ぶつぶつ」
「ちょっ、近藤さん違うんですうぅ! これは、誤解なんですうううぅっ!!!」
 沖田は叫びながら近藤の肩をがくがく揺さぶるが、沖田の誤解と言う単語に近藤の右眉が跳ねる。
「何が誤解だというのだっ! 俺はしかと見たぞ、あの女人と唇を吸い合う姿をっ! まさか、遊びだと言うのかっ!!!!」
「………」
 めずらしく沖田は言葉に詰まった。普段のどうでも良い相手ならば、はい。遊びでした(テヘペロ)と済ませる事が出来るが、近藤相手になると自分が近藤からどう思われるのか…。考えただけで死にたくなる。
 しかも、千鶴ちゃんの事が好きすぎて嫌がらせをしました☆ …なんて、理屈は通用しないだろう。
「近藤さん、落ち着いてください」
 ひるむ沖田に、千鶴はやんわりと近藤の間に入る。
「ち、千鶴ちゃん」
 なんて、良い子なんだ。
「こんな、不意打ちのような真似をして、心穏やかでいられるはずがありません。きっと、動揺して心にもない事を言っているのです」
「えっ?」
「これが、多分今流行りの“つんでれ”なんですっ! 沖田さんは、薫さんを愛していらっしゃるから、誤解なんて心にもない事を言っているんですっ!」
「なんと、それが、つまり“つんでれ”というものなのかっ!」
 違います。
「そうか、そうか。納得したぞっ! 総司っ!!!」
 納得しないでください。
 良い笑顔の近藤に、沖田は陸に上がった魚の如く口をパクパクさせているが、そんなことはおかまいなし。憑き物が落ちた笑顔で「HAHAHA」と笑い、そして、菩薩のような笑顔の千鶴と手を取り合ってキャッキャウフフしつつ爆弾発言を投下する。

カット366嫌よ嫌よも好きのうちという理屈は、現実では通用しません

「二人の門出の為に、盛大で良い式にしようなっ! 雪村君っ!!!」
「はいっ! 近藤さんっ!!! 私、腕によりをかけて料理を作りますっ!!!」
「「………」」
 沖田と薫は茫然と立ちすくんだ。どうしよう、このままでは本当に結婚させられる。
 なんで、こんな罰ゲームを受けなければならないのだ。
 そうだっ!
「千鶴さん、いえ、千鶴。俺の話を聞いてくださいっ!」
「えっ」
 びりっ。行き成り自分の着物を引き裂く薫は、平な胸を外気に晒した。
 目を見開く千鶴は薫の平坦な胸を凝視し、ぽつりと「そこまで、私と似なくて良いのに」と零す。
 菩薩のような笑顔が失せて、変わりに能面な表情に切り替わり、華奢な体から圧倒的な負のオーラがドバドバ溢れ出る。
「え、だから、俺は御前の…」
「私と同じ顔で平べったい胸…。そうですか、やっぱり私に女の魅力がないから、沖田さんは薫さんに」
「ちょっと待て、千鶴っ!」
「良いんです。公式で、つまめる程度しか胸がないんですから。ないないのツルペタ結構です。貧乳はステータスです。やはり、選ばれた理由は、女の魅力なんですね」
「だから、俺は男なんだってばっ!!!」
「男なのに、沖田さんが好きなのですか。そうですよね。愛があれば性別なんて些細な問題ですよね…。沖田さんが、あんなに熱心にチューしていたのですから、大丈夫ですよ。そうなんですか、薫さんが男だと言うのなら、私には女の魅力以前に人間的な魅力すらなかったんですね…。なるほどそうですか、私は道端のペンペン草と同等…いえ、ペンペン草は七草粥に使えますから、それ以下の…」
「千鶴ちゃんっ! なんで、そんな自己評価が低いの!?」
 オマエラのせいです。
「そうだぞっ! なんでそこまで卑屈なんだ千鶴っ! ハッ。もしかして、日ごろから沖田や他の奴らに苛められているのか。そうだよな、沖田みたいのが居るのなら、同じ群れに三十匹位いるよなっ!」
 どうして、この二人はそこまで自分を棚上げにできるんだろうか。
「いえ、良いんです。御二人でバラんバラんな世界を築き上げてください」
「…あー。総司。確認の為に訊くが、御前にそんな趣味があったのか?」
「違いますっ! 僕は、千鶴ちゃんが好きなんですううううっ!」
「だから、俺は御前の生き別れた双子の兄なんだってばあっ! 沖田の事なんて、どうでも良いんだよおおおぉぉぉっ!」
 耐えきれなくなり、沖田と薫は絶叫した。
 一瞬の間。
 ようやく思考が追いつき、きょとんとした表情になる近藤と千鶴。
 本当に不思議なものを見るような、摩周湖よりも澄んだ目で、沖田と薫を見て一言。
「「だったら、なんでそんなことをしたのですか?」したんだ?」
 グサッ!
「「……」」
 二人は撃沈した。

 その頃。新選組屯所。
「良いか。式は盛大に行うぞ。逃げ道のないほど、徹底的にな」
「ククク…。資金面は風間家が全面協力してやろう。ありがたく思え」
「副長、招待客の一覧表が出来上がりましたので、後で目を通してください」
「土方さん、俺は何をすれば良い?」
「ちくしょー。総司の奴、千鶴を泣かせやがって~」
 土方主導のもと、沖田ルートのフラグを完全にへし折ろうと、幹部達+鬼が京の治安そっちのけに動いていた。



【了】
  1. 2013/10/30(水) 18:13:12|
  2. 頂きもの
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

ありがとうございますっ!

 ちょこ様ありがとうございますっ!
 そして、プチな近藤さん&千鶴ちゃんカワユス。
 二人の幸せオーラが完璧に再現されていて、視界に入るだけで至福すぎる…。
 思わず頬が緩んでしまいました。
 これじゃあ、薫も沖田さんも立ち入ることはできませんね。

 素敵イラスト、本当にありがとうございましたっ!
  1. 2013/10/30(水) 19:51:29 |
  2. URL |
  3. たってぃ #-
  4. [ 編集 ]

たってぃ様♪

イラストお受け取り、どうも!
こちらこそ、SSをいつもありがとうございます!
たってぃさんのギャグ作品は大好きなので、今回も笑わせてもらいました^^
まさか、前回のアレから、こうもってくるとはw
近藤さんが特にいい味出してて、その上天然ちーちゃんもついてちゃあ、流石に総ちゃんも負けますよねww
また、そちらでの新作も楽しみに、遊びに行かせてもらいますね。
  1. 2013/10/31(木) 10:17:06 |
  2. URL |
  3. ちょこ #-
  4. [ 編集 ]

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