皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「もういちど」

夢幻泡影」の浅夢さんから、風姫SSを頂きました♪


以前から、風間と千姫のカップルなら、きっと口げんかカップルだろう、と言っていた私の勝手な妄想通りのカップルがここにw
多分これはこれでお似合いなんだろうなーと、充分思わせてくれる浅夢さんの文章力ににやにやさせて頂きました^^
この後の二組の夫婦のその後が楽しみ。つい彼等の子供達の事まで考えてしまいました。
だって“わかれてしまったもの全部もう一度一つにする”って事は…ねえ? ww


では続きから、幸せな二組のカップルのお話をどうぞ♪


挿絵は感謝を込めて、浅夢さんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




もういちど





「・・・」

 八瀬の里。一番奥にある離れに居座る男は、今夜も一人杯を傾けていた。

 西国、風間家頭領。名は千景。

 江戸から明治へと時代は変わり、それまで培ってきた文化も生活様式もなにもかも急速に西洋化が進む昨今、ここだけがなにも変わらない気がするのは、自分の中の時間が「あの時」のまま止めてしまっているからだろうか。


 ───私は、貴男達とは一緒に行きません!

 ───こいつは今、新選組が預かっている。他人のものに手を出すんじゃねぇ!


 自分が鬼だとわかっていながら、人と鬼は相いれないものと薄々わかっていながら、それでもあの男達について行った雪村本家の生き残りの娘。いずれ頭領につくはずであったろう、「千」の名を戴いた「雪の華」。彼女の足取りは仙台で途絶えたまま、戊辰戦争は蝦夷の地で終結を迎えた。


 ───たとえ自分の両親が人間に殺されたからといって、彼らを恨む理由にはなりません。


 十数年前に起こった、雪村滅亡の話を聞いてもやけに冷静だったのは、「記憶がない」といいつつもどこかに欠片があって、自分なりに当時のことを昇華させたからだろうか。

 「『武士に、男に二言はない』と言った皆さんは、その言葉通りの行動を私に見せてくださいました」と言い切った千鶴の顔はそれまでのどんな表情より凛としていた。

 気まぐれであいつらの前で雪村の話をしたはいいが、妙に負けた感じがしたが、気のせいではないだろう。

 結局、千鶴の身柄の確保は、自分の意思と八瀬の姫によりしないことにした。

 「千鶴ちゃんなら何があっても彼らについていくでしょうね」

 「彼ら」と言いつつ、一人の男を示したような口ぶりでそう言ったのは、許嫁、もとい婚約者の千姫だ。

 戊辰戦争が終わって、諸々がようやく落ち着いた今。ようやく二人の婚儀が行えると浮足立つ周囲をよそに、俺と千姫はあることしていた。


 「千景、入るわよ」

 人の返事も聞かずに部屋に入ってくるその人物こそ千姫なのだが。

 「人の返事も聞かずしてよく部屋に入れたな」

 「もともとここは私の里よ。どの部屋にどんなふうに入ろうと私の勝手。第一なんだってこんなところに居座ってるのよ。本邸でいいじゃない」

 「あんな騒がしいところで酒なんぞ呑めるか」

 「・・・酒云々はどうでもいいけど、確かにうるさいわね」

 最近の八瀬は、二人の婚儀の準備と、西国への移動の準備とで夜遅くまで作業が行われている。

 「八瀬姫が西国に来るなら、その里の者も一手に引き受ける」

 風間のこの一言で、八瀬の里に住む者も、婚儀が終われば西国に里を移すことになった。

 それ故に、連日遅くまで明かりが灯っているのだが。

 「当事者二人は何もしなくていい」と言われ手持ち無沙汰となったがために、ようやくできたことがある。


 ───土方歳三、一本木上松に向かう途中、被弾し死亡。遺体見つからず。


 仙台で足取りの途絶えた千鶴といい、土方といい、あの二人がそう簡単に死ぬはずがない。

 風間も千姫も同じように思ってはいたものの、あの混乱の中、自分達の思うようには動けず、足取りを追うことさえできなかった。

 それが今じゃ、何もすることがないおかげでできる。実際自分達が動くわけにはいかないが、部下を使って徹底的に調べさせていた。


 「まずは千鶴ちゃん。彼女、最初は土方さんにおいて行かれて仙台にいたそうだけど、陸軍奉行の大鳥という人物がだした辞令のおかげで蝦夷に渡って、陸軍奉行並に選ばれた土方さんの小姓になったそうよ」

 「・・・土方のあとを追ったか」

 「で、その土方さんだけど」

 千姫は一度言葉を切ると、震える声を押さえて言った。

 「被弾したのは事実だけど、なんとか生き延びて今は千鶴ちゃんと隠れて暮らしているらしいわ」

 「なんだと・・・!?」

 死体のない死亡などありえるかと思っていたが、本当に生きていたとは。

 「二人の生存が確認できたか・・・」

 「嬉しい?」

 「・・・」

 千姫の問いに風間は答えなかったが、その胸中にはさまざまな思いが去来しているのだろう。風間が新選組を襲撃していたのは、何も千鶴の身柄の確保だけが目的ではなく、彼らの中にそれまで風間が見てきた人間とは違うものを見出したからでもあった。

 「あんな莫迦な連中は嫌いではないが、相見えるのは二度とごめんだ」

 口では憎まれ口をたたきながらも、その口元には珍しく笑みがのっている。

 だからというわけではないが、千姫の心にもなにかしらの感情があったのだろう。一瞬の隙だった。


カット300


 「・・・!」

 そう。それは、一瞬の隙。

 まさか、千姫のほうからこういうことをしてくるとは全く思いもしなかった。

 「・・・新婚旅行は蝦夷、いいえ、北海道がいいわ」

 「何・・・?」

 「婚儀が終わったら北海道に行きましょう。行って、土方さんと千鶴ちゃん捜して見つけて、それで、いままでのことたくさん話すの。お互いのこれまでのこととか、これからのこととか、それから、千鶴ちゃんが知らなかったこと全部。そして言うの。もう一度初めからやり直すことにしたって。やり直して、わかれてしまったこと、わかれてしまったもの全部もう一度一つにするんだって・・・っ!」

 涙でときどきつかえながら話す千姫の唇を、今度は風間から塞いだ。

 「・・・行くぞ、北海道」

 たった一言。それで十分。

 動乱に揺れに揺れた時代。遠回りしながらも手元に還ってきたものがいくつもある。それは風間と千姫だけではなく、土方と千鶴にも言えることだろう。


 願わくば、花散らん。



 「おい本当にこの辺であっているのか」

 「あなた、自分の部下だった天霧の言葉が信じられないというの?」

 口げんかをする男女が、周囲には緑しか見えない道を歩きながら何処ぞへと向かっている。

 やがて道が途絶えると、一軒の小ぢんまりとした家が見えてきた。

 「あれじゃないかしら?・・・あら、誰かいる?」

 そのまま近づいて確信した千姫は、声を張り上げた。

 「千鶴ちゃーん!」

 「・・・お千ちゃん!?」

 「な・・・風間!?」

 驚いた顔をしたのは一瞬。次に見せてくれたのは。

 ようやく咲かせた、大輪の華。


カット360もういちど



了  
  1. 2013/10/19(土) 11:29:20|
  2. Kissシリーズ
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  4. | コメント:2
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コメント

こんにちは、浅夢です。

先ずは、ちょこ様。
今作含め3つのSSに計6枚の挿絵を付けてくださり、ありがとうございます。ありがたく自サイトに飾らせていただいてます。最近はデジタルが多いけど、私は手描きのほうが暖かみを感じられて好きです。

今更ですが、以前「漢方薬のトラウマ」についてコメントしてたので、種明かしではありませんが、ちょっとその話をば。

小学校3年生頃だったと思うんですが、何らかの理由で漢方薬を飲むことになったんですが、それが、小学生にとっては飲めるものではなく、泣きながら飲んだ、という話です。

あれから全く飲んでないので、今飲めるかどうかはわかりません^^

大分前に「お千ちゃんと土方さんって意外と合うんじゃ」なんて言ったばかりに波紋を広げてしまった気がするんですが、あれからどうもなってないですよね?なってないことを祈ります^^

ちょこ様、目は大丈夫ですか?私はコンタクトしてるので、3ヶ月に1回、眼科に行ってます。目って結構傷つきやすいですから、もしかしたら、傷ついて、なんてこともあるかもしれません。不安なら病院を変えてみてはいかがでしょう?普通は原因不明、なんてないんですが。

なんだかんだで人間、体を壊しやすい生き物ですから、皆様も体調にはお気をつけください。

ちょこ様、イラスト本当にありがとうございました。
  1. 2013/10/20(日) 14:59:42 |
  2. URL |
  3. 浅夢 #-
  4. [ 編集 ]

浅夢様♪

挿絵お受け取り&そちらのサイトでのUP、ありがとうございます^^

デジタル全盛になりつつある現在、それでもアナログ絵に親しみを感じてくれて、感謝!です。
描きたい話が詰まっているせいで、今更デジタルを勉強し直して時間を取られるのも何なので、このまま手描きで突っ走ろうと思っていますw
なので、今後もどうぞお付き合いよろしくお願いしますね。

目のご心配も、ありがとうございます。
眼鏡女子なものですから、ぶつけたか、手で目をこすった際に何か入れたか、ってとこらしいんですが、何の心あたりもなく; でもまあ目薬で何とかなったみたいですので、もう大丈夫です。
浅夢さんも気をつけて下さいね。

ではでは、また薄桜鬼でお話を思いついたら、是非読ませて下さい^^
そちらのサイトにもまた遊びに行かせてもらいます♪
  1. 2013/10/21(月) 20:11:06 |
  2. URL |
  3. ちょこ #-
  4. [ 編集 ]

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