皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「Kiss of death」

テール×テール」のドラキョンさんから
大鳥さん災難キスへのSSを頂きましたw

大鳥さんって、上司としてはすっごく理想的な人なんじゃないでしょうか。
目標や仕事に邁進して、自分を省みない部下、土方さんにとっては特に―――と、思うんです。
が、上司の立場からすると、土方さんのような部下を持つってのは、苦労しそうですよね^^;

今回は全くの『ふいうちキス』での大鳥さん受難w
はたしてこの後、大鳥さんは如何にしてここを乗り切ったのでしょうwww


ではそんな大鳥さんの災難を、続きからどうぞ♪


挿絵は感謝を込めてドラキョンさんに進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




Kiss of death



昨夜の吹雪が嘘のように暖かな日差しが戻った昼下がり、
ずっと雪に閉じ込められていた兵達が、お天道様の恩恵を得ようと
外へ向かって、廊下へ出た時だった。
とある幹部の部屋から、聞いたものを凍えさせそうな声が漏れ聞こえてきた。
それを聞いた兵達は、好奇心を満たしたいと強烈に思ったが、
それを遂行することは、昨夜の吹雪の中に突入を命令された方が
ましであることを、誰もがよーく承知していたので、
その部屋を遠巻きに眺めるだけで誰も近寄ろうとはしなかった。

その幹部の部屋の中には、煩わしそうに書類を眺める幹部と、
そんな彼を睨み付ける彼の小姓がいた。
「・・・・・・。これで話は終ぇだ。」
「納得できません。」
「お前が納得できてもできなくてもそんなこたぁ、関係ねぇんだよ。」
「そんな・・・、だって大鳥さんが、」
「だっても何もねぇよ。お前の上司は誰だ?俺だろう?
だったらお前は俺の言うことを聞いていればいいんだよ。」
「でも今度の『ぱぁてぃ』は・・・。」
「いいんだよ。いつも通り、俺は目立たねぇように壁際にいるからよ。」
「・・・・・嘘ばっかり・・・・・。」

『ぱぁてぃ』に出たことはなかったが、そこでの話は沢山の尾ひれで飾られて、
千鶴の耳にも届いていた。
こんな辺境の地にあっても美丈夫の土方を、
世の女性たちは放っておいてはくれないらしく、
『ぱぁてぃ』でいつも女性に囲まれているらしい。
そんな噂話が千鶴の脳裏をかすめ、つい拗ねた言葉が漏れてしまった。
「千鶴、なんか言ったか?」
「いいえ。」
「そうか。じゃあ、茶を頼む。
お前と話していたせいで、喉が乾いちまってな。」

カット357Kiss of death

土方は聞き分けのない小姓をようやく説得できた安堵から、
首元を緩め目の前の小姓に目をやった。
いつも通りの二人に戻れたと、その目元は部屋の外にいる兵達では
決してお目にかかれないほど甘く緩んでいた。
ところがいつもであれば、その視線を甘く受け止める小姓は、
目を合わせようともせず、早口に、
「大変申し訳ないのですが、この後、大鳥陸軍奉行に呼ばれておりますので、
お茶がご入り用でしたら、ご自分でなさってください。失礼します。」
そう言い置くや、さっさとドアから出て行ってしまった。
「・・・・・ったく、あいつは何怒っていやぁがるんだか・・・。」
差し出したまま誰も受け取らなかった湯呑みを手で弄びながら、
残された陸軍奉行並は、ひとり呟くのだった。

事の起こりは、蝦夷共和国に舞い込んだフランス士官ブリュネから届けられた、
パーティへの招待状だった。
そこには、私的な集まりなので、是非参加してほしい、と書かれていた。
もちろんそれを断るという選択は蝦夷共和国にはない。
新政府軍にイギリスが付いている以上、あちらに対抗するためには
是が非でも彼らの協力が必要なのだ。
親交を深め、来たるべき時に備える必要がある。
ただ、その最後に加えられていた一文が、問題になった。
そこには、「土方君は是非、あの愛らしい小姓を同伴してほしい」
とわざわざ赤線が引かれていたからだ。
つまり、これはお願いの形をとってはいるが、
千鶴を連れてこいとの命令と同じである。

これを榎本から告げられた土方が、机をバンッと叩いたせいで、
机の上の湯飲みがゆらゆら揺れて、お茶がこぼれた。
「なんで千鶴を連れて行かなきゃならねぇんだ。
あいつは絶対に連れて行かねぇからな。」
と榎本総裁を睨み付けた。
一緒に話を聞いていた大鳥が、
「ま、まあまあ、土方君、落ち着いて。」
とりなすが、土方は頑として首を縦に振らない。
「土方君だって、今の我々の状態はよくわかっているはずだよ。
彼らの助けがなければ、新政府軍と互角に戦うことはできないんだ。
彼らとの関係を悪化させるわけにはいかないってことはわかるだろう。」

「それとこれとは話は別だ。」
「そんな簡単に割り切れるものじゃないこと、
土方君だってわかっているだろう。
一度くらいいいじゃないか。私的な集まりだっていうんだし、
彼らが雪村君を取って食べようってわけじゃないんだし。
君が雪村君をエスコートしてあげればいいだろう?」
「あんたたちは、あいつをだしにしようっていうのか。」
「そんなこと言ってないよ。ただ、ブリュネ氏は、
随分雪村君のことを気に入っていたからね。
また逢って話したいと思ったんじゃないかな。」

「・・・ちょっと待ってくれ、大鳥さん。
なんでブリュネさんがあいつのことをそんなに気に入っているんだ?
大体あいつとブリュネさんが会ったなんざ、俺は聞いてねぇんだが。」
「あれっ、話したことなかったかな?
ブリュネ氏がここへ来たときなんかに、雪村君が時々、
お茶を運んでくれていたからね。
雪村君も最初は随分緊張しているようだったけれど、最近では、
彼に笑顔を見せてくれるようになっていたから、
それで記憶していたんじゃないかな。」
大鳥が、さらりとブリュネ氏と千鶴の接点を伝えると、
土方の眉間のしわはさらに深くなっていく。

「大鳥さんよ、あいつは俺の小姓だ。
だのになんであんたのとこの客に、茶を出させたりしているんだよ。」
普通の者であれば、土方の不機嫌全開の声に震え上がっているところだが、
そこは腐っても上司、そんなもので怯む様子もなく、
千鶴とブリュネ氏が知り合った経緯を語りだす。
「いや~、たまたま雪村君が来ているときに彼らが訪ねてきてね。
それで彼女が気を利かせてお茶を出してくれたのが最初で・・・。」
「・・・・・・。」

土方の機嫌が、更に下降していく気配を感じて、
流石に言い訳めいた口調になってしまう。
「あ、いや、僕がお願いしたわけじゃなく、
あくまで雪村君が好意でしてくれたことであってだね・・・、土方く・・ん?」
大鳥は、心配そうに顔を覗き込んだ。
「・・・わかっているよ。ったく、あいつのしそうなことだ。」
土方の返事を聞いて、パッと表情を明るくする大鳥。
「そうかい、解ってくれたかい。」
「ああ、事の経緯はな。
だがなんで奴が千鶴を名指しで呼ぶのかが分からねぇ。」
「そんなの決まっているじゃないか。
愛らしい雪村君ともっと仲良くなりたいから・・・。」
最後まで言う前に、ギロリと睨み付けられ、言葉を飲み込む。

「却下だ。」
「ええっ。雪村君はただ、あちらへ行って、
ニコニコしていてくれればいいだけなんだよ。
彼らは紳士だからね。雪村君に不埒な真似をしようなんて
思っちゃいないだろうし。君との関係だって察してくれているみたいだし。
何より君もついて行くわけだし、ねっ。」
「そうだとしても、却下だ。何が仲良くだ。
あいつをほかの男と仲良くさせる必要はねぇんだからよ。」
「いや、でもね、あちらからわざわざドレスまで
用意してくれているわけだし・・・ね。」
「でもねも糞もねぇ。あいつはそのパーティとやらにゃあ、
行かせねぇから。」
それだけ言い置くと、土方は榎本の執務室をあとにしたのだった。

土方が退出した後、残された上司二人は、顔を見合わせた。
「ふうっ。土方君も彼女のこととなると、依怙地だからな。」
「土方君の気持ちも分からなくはないですけどね。
こうなったら、雪村君の方から攻めてみますか。」
「じゃあ、この件は大鳥君に任せたぜ。」
火中の栗を拾うのは御免とばかりに榎本は下駄を大鳥に預けて、
この件から早々に手を引いたのだった。

榎本の執務室から帰った土方の機嫌はすこぶる悪かった。
千鶴がさりげなく訊ねても、はぐらかされるばかりでさっぱりわからず、
困った千鶴はこっそり何があったのか大鳥の所へ聞きに来ていた。
それは、大鳥にはまさに願ってもいない展開だったわけで・・・。
事の顛末を、千鶴に話して聞かせたのだった。
そして、先のパーティの話を聞き、
千鶴は「自分でよければ。」と了承したのだった。
大鳥は、「土方君には言わないで、君のドレス姿を見せて
驚かせてあげればいいよ。雪村君のドレス姿かぁ~。
きっとすごく可愛いんだろうな。」と言っていたが、
千鶴は自分が勝手に引き受けたことに対する土方の反応が気になったので、
了承を得ようと土方の説得を試みた。
その結果、あの兵達に聞こえるような口論になったわけである。

土方の執務室を飛び出した千鶴は、先ほどまでの勢いが消えて、
俯きながら廊下を歩いていた。
憂い顔の千鶴とすれ違った者達は、もちろん手を差し伸べ、
慰めてあげたいと思うのだが、その後自分に降りかかるであろう火の粉を思い、
躊躇していた。
あの土方の大事な小姓に近づいたと知れたら、どんな仕打ちがあるのか・・・。
ブルブルッ、誰だって自分の身は可愛いのだ。

結局他に行くあても思いつかず千鶴は、再度大鳥の執務室を訪ねたのだった。
沈んだ千鶴の顔を見ると、大鳥は眉を下げ、部屋へ招き入れた。
千鶴をソファーへ座らせると、その前に紅茶を差し出す。
「その様子じゃあ、土方君は承知してくれなかったみたいだね。」
千鶴は膝に手を置いたまま、コクリと頷いた。
「本当に土方君は君の事となると、過保護だよね。
まっ、わからなくはないけどさ。」
「で、でも私、少しでも土方さんの、あっ、皆さんのお役に立ちたいんです。
私にできることがあるなら、やりたいです。」
千鶴が顔をあげて大鳥に訴えた。

「うん。君の気持ちは嬉しいよ。
でもね、僕も男として、土方君の気持ちも分かるんだよね。」
手にした紅茶を飲みながら、大鳥はにっこりと笑った。
「私は皆さんのように戦うことはできないけど、気持ちだけは、
ここにいる皆さんと同じです。だから・・・・・・。」
「ありがとう、雪村君。君がそう思ってくれているなんて、嬉しい限りだよ。
・・・うん、決めた。明日は、君は僕の小姓としてパーティに出ればいいよ。
彼らは土方君の小姓じゃなくて、君に逢いたいわけだからさ。
うん、そうしよう。」
大鳥は、とてもいいことを思いついたというように、
ニコニコと千鶴の顔を覗き込んだ。

千鶴は、困ったような顔で見返した。
「土方さんは怒らないでしょうか?」
「大丈夫。だってこれはもう決まったことだったんだし。
それを土方君が駄々をこねているだけなんだから。
それに、彼もう怒っているし、ね。」
「でも・・・。」
「雪村君、心配かい?僕これでも土方君の上官なんだよ。
土方君の小姓は、僕の小姓ってことでいいんじゃないかな。」
「理屈では分かるんですが・・・。」
「そんなに難しく考えなくていいんだよ。一応仕事だけど、
彼らの方はあくまでも私的なものだって言ってきているんだし。
こんな可愛い小姓さんをエスコートする機会を棒に振ろうなんて、
土方君も詰めが甘いよね。」
「・・・・・・。」

自分の思いつきに酔い痴れている大鳥には、
千鶴の心配はどうやら届かないらしい。
「さあ、そうと決まったら、明日のパーティで困らないように、
予習をしておかないとね。えーっと、あの本はどこに置いたっけなぁ?
あ、あった、あった。」
楽しそうに脇机の上から本を取り上げた大鳥の笑顔に、
僅かばかりの心配を脇に追いやり、千鶴は頭を下げたのだった。

「えーっと、至らない点が多いと思いますが、よろしくご指導願います。」
「うんうん。大丈夫だよ。君はニコニコしていてくれればいいからね。
雪村君は、パーティは初めてかい?」
「はい。皆さんからお話はお聞きしたことはあるんですが、
実際に行くのはこれが初めてです。」
「そっか。じゃあ、まずは挨拶からだね。
一般的には、握手だね。あー、でも君は女性だからなぁ。
手袋をはめた手を差し出せばいいのかな?」
「?」
「君の手をとって、彼らがキスをするみたいだね。」
「あ、あのう、『きす』ってなんですか?」
「えーっとね、キスっていうのは、口を寄せる行為だよ。
君も、土方君としたことくらいあるでしょう?」
大鳥からさも当然のことのように問われて、
千鶴は何と返事を返せばいいのか困ってしまい、
顔をこれ以上ないくらい赤くして俯いてしまった。
「うんうん、若いっていいよね。こんな初心な反応をされちゃあ、
土方君が君を外に出そうとしないのも分かるよな~。」
「・・・・・・。」
一人納得して大鳥は次の項をめくった。

「それで、次は、ハグだね。」
「・・・『はぐ』というのは?」
「うん。軽い抱擁だね。」
「ほ、ほ、ほ、抱擁?!」
あまり親しくもない相手と抱擁だなんて・・・、と動揺した千鶴の脳裏を、
新選組の屯所での数々の抱擁が走馬灯のようによみがえる。
み、皆さん、案外西洋のことに精通されていたんだな~、
などと的外れな感想が浮かぶ。
「うん、ま、でも相手の体に手を回すくらいでいいからね。」
「は、はあ・・・。」
「で、その時、相手の頬に、自分の頬を寄せて、キスをする。」
「え、ええーっ?!私からするんですか!
む、無理です。そんなことできませんっ。」
「う~ん?でもこの本によると、これはあちらでは子供たちもするような、
ごく簡単な挨拶みたいだよ。
確かに慣れていない僕たちから見ると、とんでもない行為だけどね。」
「は、はい。そうですよね。」
俯き、考え込んでしまった千鶴に、大鳥は優しく言った。

「うん。いいよ、雪村君。無理することないよ。
握手だけして、君は僕の傍で笑っていてくれればいいから。」
大鳥からそう言われると、自分から引き受けたくせに、
やっぱり役に立てないんだという気持ちが湧き上がってくる。
千鶴は、未知なるものへ怯える己の心を鼓舞すると、大鳥を見返した。
「い、いえ。やります。子供でもできることなら、私だってできます。」
拳を握って、何かを決意したように見上げる千鶴の目の力に、
大鳥は圧倒されてしまった。
「あ、ああ。そうかい?でも本当に無理しなくてもいいんだよ?」
「大丈夫です。仕事ですよね。えーっと、こんな感じでいいでしょうか?」
千鶴は大鳥の肩に手をのせると、爪先立って頬に唇を寄せた。

ガチャリ
「大鳥さん。あんたが千鶴に余計なことを・・・。」

カット289


暖炉では、薪の爆ぜる音が聞こえているというのに、ドアが開いた途端、
僕の部屋の温度は、一気に氷点下まで下がっていった。
どうやら僕の部屋の暖かい空気まで、僕を見捨てて逃げ出したらしい。
僕は、温かさと一縷の希望を求めて、
傍にあった雪村君の身体を抱きしめようと手を伸ばしたのに、
無情にもその身体は僕の手の届かないところへと遠ざけられてしまった。


ご、ごめんよ。
絶対に君の元へ戻ると約束したのに・・・
どうやら僕はここで終わりを迎えることに・・・なりそうだ。

天女からの祝福を得た、と思ったのに、どうやらこの天女は、
強力な冬将軍を従えていたらしい・・・
それとも天女と思っていたのは雪女、だったのかな・・・
僕は背後から襲ってきた絶対零度の冷気の中、立ち尽くした。




  1. 2013/10/16(水) 20:30:24|
  2. Kissシリーズ
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コメント

二人の表情が…

おはようございます。昨日の台風、大丈夫でしたか?台風一過の今朝、ちびキャラ二人の表情に、ニヤニヤしてしまいました。すまし顔の土方さんに、のちの展開を知る身としては、ちょっと同情しつつ、千鶴ちゃんの珍しいすね顔にキュンとして。恋する二人の犠牲になった大鳥さんは、多分千鶴ちゃんに救われることでしょう。(土方さんが聞く耳を持ってくれれば、ですけどね)こんなお話を提出しておいてなんですが、大鳥さんと千鶴ちゃんの組み合わせは、こなかったんですね。二人を見て耐える土方さんのお話、誰か書いてくれないでしょうかね。(期待!)それでは、いつも通りありがたくイラストは頂いてまいります。今回も可愛いイラストをありがとうございました。
  1. 2013/10/17(木) 08:08:33 |
  2. URL |
  3. ドラキョン #-
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ドラキョン様♪

おはようございます。
こちらは前の台風程の被害もなく、大した事なく過ぎ去りました。そちらは大丈夫でしたか?
今回もギャグタッチの絵になってしまいましたが、お受け取り頂いたようでほっとしました。
珍しいちーちゃんの『すね』は、ドラキョンさんの文章あってのこと^^
私も描けて楽しかったです。たまにはちーちゃんも聞き分けがいいだけの子じゃなくて、すねたり怒ったりしてほしいですものねw
しかし大鳥さんと、ですか~ 彼も近藤さんと同じく一応妻帯者ですからねえ、書くとなるとどんな話になるのか。でも私のあのイラストがイラストですから、真面目な話になりようがないでしょうwww
ではでは、次回作も期待してまーす(o´∀`o)ノ
  1. 2013/10/17(木) 10:49:55 |
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  3. ちょこ #-
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