皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「心ここにあらず」

テール×テール」のドラキョンさんから
土菊キスへSS頂きましたー♪


今までこの絵には何本かお話をもらいましたが、
中でも今回のドラキョンさんのものは、私が当初妄想しながら描いていたシチュに一番近いものですね。
毎回毎回、私が描いた時の心情まで推し量ってSSを書いて下さるドラキョンさんには脱帽です。

あ、勿論他の方の、私には思いつかなかった想像を形にして下さるSSにも、いつも脱帽です^^
要するにどの作品も素晴らしくて、私はいつも頂く度に賛嘆の溜息を零している、ということですがw

ではそんな素敵な作品群にまたひとつ―――続きからどうぞゆっくりご堪能下さい♪



挿絵は感謝を込めてドラキョンさんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。


心ここにあらず



ふうっ、皆さんに誘われるまま、こんな所まで付いて来ちゃったけれど、
やっぱりここは男の人たちが楽しむ場所。
女の私が踏み入れてもいい場所じゃあ、なかったな。
目の前に置かれた、優美な器と、それに見目美しく盛られた料理。
お酒の匂いと美しく着飾った女性の白粉の香り。
それは普段屯所では決して見られない浮世離れした情景。
近藤さんや、永倉さん、原田さん、平助君も、
いつもより賑やかにこの時を楽しんでいるようだ。

見渡せば、幹部の皆さんの脇には、それぞれ芸子さん?だろうか、
が付いてお相手をしている。
あの沖田さんも時折笑顔を浮かべているし、斎藤さんも満更でもない様子だ。
私なんて、物の数にも入らない身だから、
時折女性がまわってきてお酌をしてくれる程度。
それも飲めないと断ったから、今は放っておかれている。
近藤さんと一緒に上座に座っている土方さんは・・・。

皆さんの様子を見るために部屋を見渡した、なんて本当は嘘。
私が知りたかったのは、ただ一人。
知りたかったけれど、やっぱり皆さんと同じで楽しそうにしていたら、
と思うと胸が痛むから、見ないふりをしてしまった。
けど、どうしても気になって、そちらを確認してしまった私は、
後悔する羽目になる。

土方さんの隣には、多分この座敷の中でも格が上とわかる女性が付いて、
酌をしたり、話しかけたりしているのが目に飛び込んできたから。
ああ、そんな風に土方さんにしな垂れかかって・・・。
土方さんにそんな風に笑いかけるなんて・・・。
『土方さんのお世話は、小姓である私の仕事です。』
そう言って、その女性を押しのけられたのなら・・・。
土方さんにそんな風にしな垂れかかったり、
笑いかけているのが私だったならば・・・。
そんなありえない想像が、私を苦しめる。やっぱり見なければよかった・・・。

なお悪いことに、土方さんの方もその女性に笑いかけたり、
楽しそうに話しかけたりしていて。
あんな風に笑いかけてもらったこと今まで一度も・・・ない。
見れば見るほど、絵草子から抜け出てきたかのような二人は、
何ともお似合いで。
私の心は・・・・・・。
二人の姿から離れようとしない視線を、無理やり引きはがし、
膝の上のかさついた手に落としたのだった。

浮世に浸れぬまま、ぼそぼそと箸で料理をつまんでいたら、
隣の席の斎藤さんに袖を引かれた。
のろのろと顔をあげると、斎藤さんに小声で、
「雪村、今副長が席を立たれた。すまぬが、店の者に頼んで、
隣の部屋に茶を持って行ってくれ。副長は、あまり酒を好まれぬ故。」
頼まれた。
そう言えば、土方さんは、お酒があまり強くなかった。
屯所でも皆さんが呑んでいらっしゃると、少しお付き合いで口にされる程度。
そのあと必ずいつもお茶を申し付けられる。

今夜だって、皆さんの手前お酒を手にされたけれど、
きっと酔い覚ましにお茶が欲しいと思っているに違いない。
私はあの隣についた女性が知りえない土方さんの癖を思い出して、
鬱々としていた気分が晴れていく気がした。
私は酒宴をそっと抜け出すと、お店の人にお願いして、
いつも土方さんが好まれるやや濃いめの熱いお茶を用意する。
運んでくれるというお店の人を断って、私が土方さんの所へ運んでいく。
土方さん、喜んでくれるだろうか。
「気が利くじゃねぇか。」って珍しく褒めてくれたりして。
そんな思いを巡らせながら、隣の部屋の前に来た時だった。

開け放たれた部屋の奥、衝立の向こうに誰かがいる気配がして、
きっと土方さんだと声をかけようとした時、風が甘い花の香りを運んできた。
見えなくとも、それとわかる湿った音に、
私は金縛りにあったかのように動けなくなった。


カット283


「・・・土方はん・・・。」
「・・・・・・・。」
土方さんの姿が無くなったあの席に、あの女性もまた姿がなかったではないか。
斎藤さんに言われて、喜び勇んでこんな場面に踏み込みかけるなんて・・・。
そしてまたあの音が聞こえて・・・、私はそっと襖の陰にお茶を置くと、
逃げるようにその場をあとにしたのだった。

「・・・土方はん。相変わらずどすな。何遍床を共にしたかて、
ちぃともうちに心見せてくれはらしまへんのどすな。」
土方に覆いかぶさるように唇を重ねてきた君菊は、
妖艶に微笑みつつ顔を覗き込んできた。
「金は払ってるんだ。問題ねぇだろう。」
島原でも名のある君菊から口づけされたというのに、顔色一つ変えず、
淡々と答える土方。
他の客が見たら、代わってほしいと懇願されてもおかしくないくらいの
破格の待遇である。
「・・・そう言うあっさりしたお客さんの方が、
うちらかて気ぃ楽なんはありますけどなぁ。
でも、土方はん、金をはさんだ関係とはいえ、心を込めて尽くした相手に、
全く反応を返してくれはらしまへんのは、いけずなんとちゃいますか。」
そういいつつ、部屋に来るときに持ち込んだらしい杯を土方に差し出した。

「それが俺なんでな。悪いが今更変わらねぇよ。」
土方は、差し出された盃を手にすることなく、月を見上げる。
「なんや月を眺めてはる土方はんが、機嫌良う見えたんで、
迫ってみたんやけど、やっぱりいつも通りなんどすなぁ。
なんぞええ事でもありましたん。」
君菊の方も、土方のそんな態度に物申した割には、さほど気にした様子もなく、
淡々と応じていた。
「いいことなんざ、あるわけねぇだろう。
機嫌よく見えたっていうんなら、多分、俺が待っているからだろう。」
「うちを・・・、なわけありまへんよな。」
「俺が待っているのは、・・・なんだろうなぁ。
強いて言えば・・・、春の月だな。」

「春の・・・って、土方はん、今秋どすえ。
お月さんゆうたら、秋が一番とちゃいますか。」
あまりに突飛な答えだったせいか、君菊はくすくす笑い出した。
「・・・俺にもよくわからねぇんだから仕方ねぇだろう。
聞かれたから答えただけだ。」
気まり悪げに早口で答える土方に笑みを零すと、
君菊は、つと立ち上がった。
「土方はんがいわはる春の月がなんなんかは、ようわかりまへんけど、
どなたか来はったみたいどすな。」
襖の陰にひっそりおかれた湯呑みを持ってきた君菊を見て、
土方は笑みを零した。

「春の月じゃねぇが、そりゃあ、待っていたもんの一つだな。」
君菊の手から湯呑みを受け取ると、くるりと湯呑みをまわして
揺れる緑に月を映しこんだ。
「どなたが持って来たもんかも、何が入ってるかもわからへんのに、
土方はん飲みはるんですか?」
「この茶は、あいつにしか入れられねぇよ。」
そう言うや、土方は上手そうに茶を飲んだのだった。


カット354心ここにあらず


「随分と、信頼してはる方のようどすな。」
君菊の言葉に答えることなくまた月を眺め始めた土方を嫣然と見つめつつ、
君菊は主に報告すべき情報をまた一つ加えた。


  1. 2013/10/08(火) 17:41:40|
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  1. 2013/10/08(火) 23:50:37 |
  2. |
  3. #
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ドラキョン様♪

毎回毎回お褒めの言葉ありがとうございます^^
今回もどの場面を絵にしようか、悩んだんですが。やっぱり、月見てまったりしている土方さんがしっくりすると思ったもので―――公式スチルにもありますが、月見てる土方さんは穏やかなのが似合いますよね。
しかし、次の土方さんはまた眉間に盛大に皺を寄せていそうですねw ノリからいくとコメディタッチの絵になりますか。どうなるか、お待ち下さいね。
ではでは今回も、こちらこそありがとうございました^^
  1. 2013/10/09(水) 10:24:20 |
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  3. ちょこ #-
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