皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「兵どもが夢のあと」

テール×テール」のドラキョンさんからです♪
新千頂きましたー(^o^)/

何かここまでくると、新八っさんの√がないのが却って不思議な気がしますねww
いや、でも新八さん√だと、薄桜鬼全編に流れる悲壮感がないのかもwww
何かどんな事でも豪快に笑いとばして、こうと決めたら力づくでも幸せにしてくれそうですよね。

そんな明るさ満載の新千キス物語―――続きからどうぞ♪



挿絵は感謝を込めてドラキョンさんに進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




兵どもが夢のあと



あ~あ、とうとう負けちまったか。
靖兵隊を率いて米沢藩まで転戦してきたが、さっきあの会津が降伏したって
知らせが届いて、皆の士気が一気に下がっちまった。
あの会津公が降伏されたっていうんだ。
もう幕府は終わっちまったも同然だな。
武士の世の中っていうのもこれで終いになっちまうんだろうか。
俺達が戦い続ける理由もなくなっちまった。
これからどうなっちまうんだろうな。

『降伏す 戦闘中止』の伝令が届いた。
薩長連合軍と小競り合いをしていた戦場を引き払い、
城下の陣屋に引き上げてきた俺は、
やけに重たい身体をどさりと地面に落とし、空を見上げながら、
ぼんやりそんなことを思っていた。

「永倉さんっ。」
こんな場所には似つかわしくない声がして、千鶴ちゃんが駆け寄ってきた。
「よう、千鶴ちゃん。」
千鶴ちゃんにだけは心配かけたくなくって、俺はわざと陽気に手を挙げた。
「お怪我はありませんか。痛むところはないですか。」
そう言いながら、俺の身体を眺め、触って確認した千鶴ちゃんは、
俺の身体に目立った傷がないことを知り、大きく息を吐いた。
「相変わらず心配性だな、千鶴ちゃんは。
新八様が、そう簡単にやられるわけないだろう。」
俺のことを案じてくれる奴がいるってことが嬉しくて、
千鶴ちゃんの頭をぐりぐり撫でまわした。
「いつだって心配です。無事に帰っていらっしゃるまで、ずっと心配です。」
「すまねぇな。」
「いいんです。無事に帰ってこられたんですから。」
泣き笑いの表情で、そう言ってくれる千鶴ちゃんは、本当にいい子だよな。

でも、こうなっちまった以上、話さなきゃならねぇこともある。
「すまねぇな。」
先ほどとは違う意味で俺は千鶴ちゃんに謝った。
「謝らないでください。永倉さんが無事なら・・・。」
「そうじゃなくってよ。約束したのに結局綱道さんを見つけてやれないうちに
こんなことになっちまって、すまなかった。」
「いいんです。京にいる時も皆さん、
あんなに一生懸命探してくださっていたじゃないですか。
あれだけ長い間探しても見つからなかったんです。
父様のことは、・・・あきらめもついています。」

「そうか・・・。あと、左之のことも。」
そうだ。千鶴ちゃんがここにいるのは、
左之が『千鶴ちゃんを新選組にゃあ置いとけねぇ』って言って、
連れ出したからだ。
なのにあいつときたら、『江戸にちょっと野暮用だ』とか言って、
千鶴ちゃんを俺に預けたきり戻ってきやがらねぇ。俺達が江戸を離れてすぐ、
上野あたりで大きな戦いがあったって聞こえてきて、
心配しているのに、ちっとも戻ってこねぇ。
左之に限ってと思うが、あちらの武器の威力は
凄まじいものだったからな・・・。
おっといけねぇ。
払っても払っても浮かんでくる胸糞悪い想像を、急いで打ち払う。

「原田さん、絶対に戻ってきてくれますよね。」
不安そうにつぶやく千鶴ちゃんに俺は、大きく首を振った。
「あったりめぇよ。あいつは切腹したって死なねぇ男だぞ。
そう簡単にくたばる訳ねぇって。それに、千鶴ちゃんを待たせているんだ。
這ってでも戻ってくるって。」
俺の心配が移っちまったみたいだ。いかん、いかん。ここからが本題だ。

「千鶴ちゃんも、もう聞いているよな。
会津が降伏して、米沢藩も降伏するらしい。
俺達は、多分あちらさんに捕まっちまったら重い処罰が下るはずだ。
さっき戻る途中で、皆と話していたんだが、
俺達は、ばらばらになって、逃げることにした。
千鶴ちゃんは、なんもしてねぇから、大丈夫だと思うから、
しばらくここに残って、ほとぼりが冷めたころに、江戸の家へ帰ればいい。
俺らは、強行軍になるから、千鶴ちゃんには無理だろう?」
千鶴ちゃんの為に一番いいと思う策を告げたのに、
千鶴ちゃんは首を縦にはふらなかった。

「永倉さんたちに迷惑をかけないようにするので、
一緒に連れて行ってください。」
それどころか、とんでもないことを言い出す始末だ。
「待てって。万が一俺と一緒にとっ捕まっちまったら、
千鶴ちゃんだって処罰されちまうかもしれないんだぜ。
そんなことさせられるわけねぇだろう。」
「嫌です。永倉さんと離ればなれになるなんて。それに・・・。
多分江戸の家は、風間さんたちが・・・。」
言い辛そうにそう言われて俺は思い出した。
そうだった。そうは見えねぇから忘れちまっているが、
千鶴ちゃんは、鬼とか言う奴らからも逃げ回っているんだったな。
あ~あっ、千鶴ちゃんを危ない目になんて合わせたくねぇっていうのに、
いったいどうすりゃいいんだ。

「お願いします。永倉さんと一緒にいさせてください。」
「でもなぁ・・・。」
「お願いします。それに、逃げるというのであれば、
女連れの方がかえって目立たないと思います。
まさか、幕府側の人間が堂々と女連れで旅をするとは
向こうだって思わないはずです。」
渋る俺に千鶴ちゃんは、思いもよらぬ提案と共に頭を下げた。
こんな時だというのに、相変わらず度胸だけはあるんだよな。
しかし、案外いい案かもしれねぇ。

「よしっ。一か八かそれでいってみるか。」
俺が了承すると、千鶴ちゃんは気が抜けてしまったように、
俺の足元に座り込んでしまった。
「よかった・・・。」
よくみりゃあ、胸に手を当て、小さく震えていた。
そうだよな。知り合いもいねぇこんな場所に置き去りにされたら、
誰だって心細いよな。
俺はもう一度千鶴ちゃんの頭を撫でて、重苦しい空気を打ち払うように言った。

「あ~あ、こういう嫌~な気分の時は、酒を飲んで、
綺麗なねぇちゃんの所へ行って、慰めてもらうのが一番なんだがな。
さすがに、この状況じゃあ、それも無理だよな。」
京にいたころのように、千鶴ちゃんが、呆れたように笑ってくれればいいと
思って言ったのに。

「どうやって、慰めてくれるんですか。」
俯いたまま尋ねられたのは、思いもよらないことで。
敗戦で気が抜けて、どこかおかしくなっていた俺は、
つい言わなくてもいいことまで言ってしまって。
「綺麗なねぇちゃんに酌してもらって、抱きしめてもらって・・・。」
「私じゃあ、物足りないでしょうけど・・・。」

千鶴ちゃんが何を言ったのか分からなかった。
目の前一杯に桃色が広がったかと思うと、
俺の頭は千鶴ちゃんの胸に抱きかかえられていた。
子供だと思っていた千鶴ちゃんの胸は、時の流れの中で、
ひっそりと成長を遂げていたようで、思わぬ柔らかさを醸し出していた。
そこで理性を総動員してやめときゃいいのに、調子に乗った俺は大馬鹿野郎だ。
「・・・口でも合わせてもらって・・・。」
流石にそれ以上は、千鶴ちゃんにゃあ聞かせられねぇから言葉を濁すと、
千鶴ちゃんは、俺の頬にそっと手を添えて、
柔らかく口を合わせてくれたのだった。

流石の俺も、はっとする。
「お、おい千鶴ちゃん。千鶴ちゃんがそんな真似する必要ねぇって。」
「いいえ、こんなことで永倉さんが癒されて下さるなら。
私でよければ・・・。」
俺は、千鶴ちゃんを引きはがした。
「千鶴ちゃん、いいか。ねぇちゃんたちは、ありゃあ仕事だ。
だけどよ、千鶴ちゃんは違うだろう。
嫁入り前の娘が、こんなことをしちゃあいけねぇ。」
そうだ、俺は千鶴ちゃんの兄貴なんだ。
そう決めたじゃねぇか。
こんなことを妹分にさせる訳にゃあいかねぇ。
「こういうのはだな、好きな奴とするもんだ。
こんなふうにするもんじゃねぇ。」
俺は兄貴としてきちんと教えてやらねばと、柄にもなく言い聞かせる。

こんな役目の一番似合わない俺が言い聞かすっていうのが、
全然説得力がねぇんだがよ。
「・・・好きです。」
「そうだよ。こういうことはだな、普通は好きな奴とするもんだ。」
「永倉さんが好きです。」
「そうそう。俺を好きな奴が俺にこういうことを・・・。」
は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
今、物凄く俺に都合のいい言葉が聞こえた気がした。

「・・・・千鶴ちゃん・・・?」
間抜けに聞き返す俺に、千鶴ちゃんは頬を染めながらはっきりと言ってくれた。
「永倉さんがずっと好きでした。」
「え、あ、いや、俺は千鶴ちゃんの兄貴分で・・・。
千鶴ちゃんは妹分で・・・。」
「わかっています。永倉さんが私のことをそういう風に見てくれていないのは。
でも、私はずっと好きだったんです。だからいいんです。」
「え、いや、だってほら、千鶴ちゃんは左之と・・・。」
「原田さんは私の気持ちに気がついて、
私を一緒に連れ出してくださっただけです。」

あ、れ?
ちょっと待て。それじゃあ、なにか。
千鶴ちゃんと左之がてっきりそういう仲なんだって思って、
兄貴分って役目に納まろうとしていた俺の努力は・・・なんだったんだ~。
「な、なあ、俺ってもしかして、死んじまっているってことはねぇよな。
夢ってことも・・・。」
「永倉さんはちゃんと生きていらっしゃいます。夢でもありません。」
「千鶴ちゃん、戦に負けちまってやけになっているとか、
誰かの代わりにとか・・・。」
こんな土壇場で俺に起こった奇跡が信じられなくて、
馬鹿みたいに何度も確認してしまう俺は、全く失礼な奴だと思う。

「そんなわけありません。本当の気持ちです。」
ふわり。
もう一度千鶴ちゃんの唇が合わされた。
「永倉さんのかわりなんてありませんよ。」
物わかりの悪い兄貴に困ったような顔をして微笑む千鶴ちゃんを抱え込んで、
今度は俺から唇を重ねた。
柔らかくて、甘い香りがして、華奢な身体を
抱きつぶしちまわないようにそっと。
情けねぇ俺の元から逃げて行っちまわないように、兄貴を脱ぎ捨てて。


カット304


「千鶴ちゃんにばっか言わせるなんざ、男がすたるってもんだ。
俺も千鶴ちゃんがずっと好きだった。
すまねぇ、千鶴ちゃんに先に言わせちまうなんてよ。なさけねぇなぁ。」
「・・・ほ、本当ですか。嬉しい。」
涙を流す千鶴ちゃんと、額を合わせて、今度は俺から先に。
「落ち着いたら、所帯でも持つか。」
「私を、貰っていただけるんですか。」
「おう。もう決めちまったからな。今更嫌だって言われても無理だから。」
言い慣れない言葉に流石に照れくさくなり、頭を掻いた。
「あ、ありがとうございます・・・。」
声を詰まらせながらお礼を言ってくれる千鶴ちゃんは、
今までで一番綺麗に輝いて見えて、その眩しさに俺は目を細めた。

「そうと決まりゃあ、急いで江戸へ戻らねぇとな。」
「江戸、ですか?」
一番警戒の強いであろう江戸へ向かうという俺の言葉に首を傾げる千鶴ちゃん。
「おう、こんな可愛い嫁さんを貰うことになったんだ。
何としてでも、俺は生きなきゃなんねぇだろう。
親たちにも、千鶴ちゃんを紹介しねぇといけねぇしな。
左之の奴見つけて、自慢してやらねぇと。
左之の奴、羨ましがらせてやるんだ。」
千鶴ちゃんと生きていくためだったら、土下座だろうが、なんだろうがやれる。
情けねぇ奴だって後ろ指差されることになったとしたって、かまうもんか。
生きていてこそ、だろう。
なあ、みんな。


カット326兵どもが夢のあと




  1. 2013/08/28(水) 00:11:34|
  2. Kissシリーズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

永倉さんはやっぱり永倉さん!

こんばんは!
お話素敵でした。
敗戦した場面なのに、永倉さんはやっぱり快活!ほっとさせてくれます。
そして千鶴ちゃんからのキスというのにビックリ!でも鈍々永倉さんならそれくらい積極的じゃなきゃあ、ですよね。
前向きで明るい未来を感じらせるラストが読んでいて嬉しかったです♪
  1. 2013/08/28(水) 20:52:47 |
  2. URL |
  3. MaKI #rmVwF9pA
  4. [ 編集 ]

実際、彼は夫向きですね♪

こんばんは、お邪魔しまーす。
何かとても元気の出るお話をありがとうございます。
中盤、せっかく千鶴ちゃんが告白しているのに噛み合ってない会話の場面、
いつもながらのドラキョンさんのユーモアあふれる描写が心和ませてくださいます。
永倉さんは頭もいいし男前、頼りになって、本来は一家に一人いてほしい人。
私の中では、年上なら永倉氏、同い年婚なら共に成長していける平助君との結婚が長持ちして現実的な選択かと(←私見ですよ私見(*_*; )
後の4人は世話が焼ける焼ける(笑)愛と苦労と疲労の連続(4人のうちの2人と性格そっくりな家族がいる実体験より(笑))  さあさあ、ちーちゃん、江戸でお幸せに!(^^)!

(追加絵の千鶴ちゃんが、なんだかやたら可愛いいんですけどww)
  1. 2013/08/28(水) 22:04:04 |
  2. URL |
  3. 酔狂元乙女 #-
  4. [ 編集 ]

ドラキョン様へ

やっぱり新千はいいですねー。ただ、千鶴ちゃんの一言があるまで千鶴ちゃんが優しい左之さんを利用していたかと。千鶴ちゃんはそんな子じゃありませんよね!良かった…
  1. 2013/08/29(木) 19:04:02 |
  2. URL |
  3. 香西香住 #PBl13R7o
  4. [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2013/08/31(土) 00:01:55 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

遅くなってしまってごめんなさい!

コメントを寄せてくださった皆様、お返事が遅くなってごめんなさい。
MaKI様
新八さんは、負けても前を見て進んでいきそうですよね。実際彼が生きて新選組のことを記録にとどめてくれたから、みんなのこともいろいろと知ることができているわけですし。ご指摘の通り、鈍い新八さん相手じゃ、千鶴ちゃんが動くしかないですよね。ずっと面倒は見てくれるけど、『千鶴ちゃんもそろそろ嫁に行かねぇとな。誰か好いた奴とかいねぇのか。』みたいなこと言って、千鶴ちゃんをがっかりさせちゃうんだろうな。そのおかげで、私が提出したキスシリーズの中では、一話の中で一番多くキスしている(と言っても3度ですが・・・)人になりましたけどね(笑)


酔狂元乙女様
わかります。確かに新八さんは、買いですよね。恋愛関係の察しの悪さを除けば、頼りになって、一番夫にしたい人かもしれないですね。多分女遊びも、嫁がいればおさまるでしょうし(笑)誰かさんたちのように、モテ過ぎてやきもきしなくてもよさそうですしね。新八さん、平助君は、千鶴ちゃんが手綱を取っていきそう。他は…無理だろうな~。


香西香住様
左之さんルートかな?と思っていただけるように書いたので、千鶴ちゃんが左之さんを利用しているように見えるかもしれませんね。左之さんだったら、利用されたふりをしてくれそうですが・・・。これで江戸に戻って、左之さんに出会えたら、『ったく、ようやく気が付きゃあがったか。おせーんだよ。』とか言われて、『千鶴、本当にこいつでいいのか?今からでも遅くねぇ。俺にしとけ。』なんてからかわれるんだろうな~。香住様のお話でも、キスから一気に結婚まで話が進んでいましたが、新八さんは、途中を飛ばして、一気に結婚しそうな勢いがありませんか?

遅くなったうえ、皆様まとめてお返事することをお許し下さい。コメント、とても励みになりました。ありがとうございました。
  1. 2013/08/31(土) 01:14:25 |
  2. URL |
  3. ドラキョン #-
  4. [ 編集 ]

ドラキョン様♪

ご旅行でしたか? お帰りなさいませ^^

新八さん√がもしあったとしたら、他の連中のような悲壮な想いや覚悟などない、鈍感な二人がいつ恋に気付くか!?的なほのぼの恋物語になっていそうwww
でもこの二人がくっついたら、主導権は絶対千鶴ちゃんですよねw

さて、一息入れたところでwドラキョンさんの新作、待ってますよ~^^
  1. 2013/08/31(土) 10:49:09 |
  2. URL |
  3. ちょこ #-
  4. [ 編集 ]

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