皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「紫陽花」

泡のあるしあわせ」の碧さんから、斎千カラーキス絵にSSです♪


こちらはまたシリアスな二人―――と言うより
碧さんの書く千鶴は、他の方の書く千鶴とはまた違って、しっかりした大人の女性のイメージがあります。
好きな人を常に死線に送る、というのは、多分相当な覚悟がいることでしょうから、
恋を自覚した瞬間から、千鶴ちゃんはすっごく成長しただろうと想像もできます。

そんな千鶴に合わせて、大人な斎藤さんも、どうぞ続きからご覧下さい^^



挿絵2枚は碧さんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




紫陽花



「綺麗ですね」

境内いっぱいに咲く紫陽花にふと二人は足を止め、しばしそれを言葉もなく見つめていた。


雨に濡れた紫陽花は花のないこの時期目を楽しませてくれる数少ない花だ。
ふと足を止めた二人は、しばしそれを言葉もなく見つめていた。


「摘んで帰るか?」

斎藤の言葉に千鶴は小さく首を振った。


「綺麗ですけど、この花を持ち帰りたくはありません・・・。この花は・・・」


花のないこの季節に咲く数少ない花。だからだろう、墓に手向ける花として重宝されるがゆえに寺に多く植えられている。
その花を屯所に飾る気にはならなかった。

千鶴は紫陽花の花に溜まる雨を指で弾くと、斎藤に向き直った。


「私に紫陽花を手向けさせないでください」


まっすぐに斎藤を見つめる瞳は、怯えたものでも不安の色を湛えたものでもない。
言葉は願いを告げているのに、千鶴自身の決心のように響いて斎藤に届く。

――何を馬鹿なことを、と笑い飛ばせるならばどんなにいいだろう。
命を覚悟しない戦などない。
この命を惜しいと思ったこともない。覚悟はいつも持っている。

斎藤の手に千鶴の手が重なった。

カット312紫陽花

「どれだけこの手が血に濡れたとしても・・・だから・・・」
「そんな顔をするな。簡単なことだ、オレは死なん」



覚悟もしている。惜しむつもりもない。
それと同じ重さで悲しませないと、とうに誓っている。


傘を持つ斎藤の手に重なる、小さな手。
その白い肌の下、規則正しく流れる血があるからこそ暖かい。


「だから、待っていてくれ。オレの帰りを」
「はい。待っています」

重ねた手を倒す。通りからは千鶴を隠すように。
―――紫陽花には見えるように。


先に待っているだろう、厳しい戦に彼女が前線に巻き込まれぬよう・・・自分が約束を守れるよう。
誓いの印を千鶴の唇にそっと落とす。

千鶴は静かに目を閉じて受け取り、柔らかく口元を緩め・・・・一筋雨とは違う雫を流した。

カット294

約束を守ってみせよう。
それが--新撰組の誠を守り抜くことにも繋がるはずだ。



傘を上げると、千鶴の表情も空の色も晴れ渡っていた。



―FIN―
  1. 2013/08/05(月) 20:10:19|
  2. Kissシリーズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

こんにちは。碧様、初めまして。小萩と申します。
皆様とは違う「紫陽花」に萌えました。
千鶴ちゃんの「私に紫陽花を手向けさせないで下さい」の言葉にじーんと来ました。
一さん、必ず生き残るって約束してくれましたよね。きっと一さんならと、信じています。
素敵なお話をありがとうございました。
  1. 2013/08/06(火) 05:27:04 |
  2. URL |
  3. 小萩 #-
  4. [ 編集 ]

碧さま& ちょこ様

碧さま、はじめまして。酔狂元乙女と申します。
短くシンプルな文章の中に、二人の心情のみならず、置かれた状況、背景などが込められていて素晴らしいなと思いました。
簡潔で大人な文体、もう大好物です!
碧さまのお話も台詞がほとんど無くて・・・本当にこのイラストは言葉を必要としませんね(笑)だからこそ、逆にいろんな素敵なお話が次々と生まれてくるのかもしれませんね。
ロクなコメになってなくてすみません。素敵な時間をありがとうございました。

ちょこ様
見つめ合う二人の追加イラスト、萌えさせていただきました!
今回の紫陽花イラにはまだSS控えていますか?あと何パターン拝読できるかなあとワクワクしてしまいます。皆さまの想像力に乾杯です。ああ、総司君のカライラSSも一杯読みたい(笑)
  1. 2013/08/06(火) 14:44:37 |
  2. URL |
  3. 酔狂元乙女 #-
  4. [ 編集 ]

ああ、またすばらしい作品がっ!

キャラクターって既存の性格があるはずなのに、書き手さんによってだいぶ個性変わってきますね。
碧さんのお宅の一君は、「一君」というよりは「斎藤さん」って感じがしますね。
千鶴のあこがれる大人の落ち着いた男性・・・うちの「一君」とは雲泥の差なのはなんでだろう・・・(^^;
ちょこさんの紹介文でもあるとおり、千鶴も女の子というよりは、愛する人を待つ立派な女性として描かれていて・・・特別説明的な文とかないのに、そう感じるのは、やっぱり書き手の碧さんの技量ですね(*´∇`*)
危険な任務の場合、行く方も送り出す方もただならぬ決意がないとできそうもありませんが、この二人なら乗り越えられそうです。
素敵なお話、ご馳走様でした~。
  1. 2013/08/06(火) 21:42:37 |
  2. URL |
  3. ゆゆき #EYMZMP9E
  4. [ 編集 ]

酔狂元乙女様♪

追加イラスト、お褒め頂きありがとうございます^^
今の所、斎千SSはここまでです。今後また来る事を期待しつつ、次は全く新たなCP話です。
沖千もいくつか来てますので、そちらのパターンもお楽しみに♪
  1. 2013/08/06(火) 23:27:06 |
  2. URL |
  3. ちょこ #-
  4. [ 編集 ]

ありがとうございます♪

読み逃げばかりなのに、コメント頂けてすごく嬉しいです。
ありがとうございます。
初書きのはじめくん、ファンも多く素敵な書き手さまに混じるのは大丈夫かと心配でしたが、
優しい言葉を頂いてホッとしております。

>小萩さま。
全てが新撰組(副長)の為の人生より、自分の為にも生き抜いて欲しいと思いました。
まっ、この話は同居している義母との「家に紫陽花を植えたらアカン!」という激論の末から生まれたものですが^^

>酔狂元乙女さま
短くシンプルな文章は、行間とセリフを埋めることを放棄して皆様の脳内妄想に頼り切った文章なんです(苦笑)
ちょこさまのカラーイラストから受けた最初の印象は「千鶴が幸せそう~」から「もしかして、泣いてる?」に変わりました。
一枚で印象をいくつも持たせてくださるちょこさまのイラストは本当にいろいろ想像させられます。
今回も追加イラストで全てを語って頂いた気分です。

>ゆゆきさま
本当に一枚のイラストから生まれる世界がこんなにも沢山あるなんて!と書き手の一人しても感動します。
私の場合は思い浮かんだシーンのみで話を含まらせる悪癖があって、SSだと前後の時系列も考えずに勢いだけで書いてしまうので
褒めて頂くと嬉しいやら申し訳ないやらで、でも画面の向こうでニマニマしてます。

>ちょこさま
今回は初めての、斎藤さんにチャレンジだったのですが、素敵な追加絵をありがとうございます。
この後、我が家でもUPさせて頂きます♪
いろいろなお話を堪能させて頂きました!
  1. 2013/08/07(水) 13:48:26 |
  2. URL |
  3. 碧 #wF.aV77g
  4. [ 編集 ]

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