皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「誘い月」

今回のKissシリーズの中で、このSSは、ちょっと違った経緯で頂いたものです。

山千キスのシチュが浮かばないよ~と、吠えていた時
「月下では?」とアドバイスを下さった後、ご自分でもそのシチュで書いて下さいました。
ただ残念ながら、ご本人も山南さんが千鶴と…という所まで想像がいかなかったそうでw

という事で、今回は新たに別ver.山千キスを描いて、ついでに色をつけてみました。
(何だかいいように弟を使ってますね、私^^;)

我思花空」の図書巻様、助言して下さった上、SSありがとうございました^^
挿絵は進呈いたしますので、よろしければお持ち帰り下さい。(他の方はご遠慮下さいね)


では、続きから―――こっちの方がありえそうな山千キス話を、どうぞ♪


  

誘い月


「散歩ですか?」
「!」

闇から不意に声をかけられて、千鶴はぴくりと身体を跳ねらせた。

「山南さん…」
「こんな夜更けに出歩くとは関心しませんね」
「……」

最近は緩みがちだとはいえ、自分は監視対象である。
勝手な行動は慎めと咎められているようで、思わず俯く。

「…まぁ、こんなに見事な月ですから。誘われて、というのも肯けますが」

思いがけない柔らかな口調を耳にして、千鶴は顔を上げる。
そこには月を見上げる山南の姿があった。
月光に白く照らし出された、その瞳は優しい。

「眠れないのですか?」
「あ、はい」
「…何か心配事でも?」
「いいえ。ちょっと目が冴えてしまっただけです」

お気遣いありがとうございます、と微笑むと、山南も口元を更に和らげる。

「山南さんもお散歩ですか?」
「ええ。私は日の下を歩ける身ではありませんからね。こんな時間でもないと外の空気も吸えません」
「……」
「人と非ざる身のなったのですから仕方ありませんね。それでも後悔はしていませんよ。あのまま、刀も振るえない役立たずにも関わらず『総長』という役職に縋り付いているなんて真っ平でしたから」
「…山南さんが羅刹にならなくても、皆さんは役立たずなんて思っていませんよ。ずっと…頼りにされていました」
「そうですか」

千鶴の顔を覗き込む。
その瞳は真っ直ぐで、一欠片の偽りや慰めなど存在しなかった。
山南はふわりと微笑む。

「君は優しいですね」
「そうでしょうか」
「ええ。ただその優しさに付け込もうとする輩も多いのですから、用心せねばなりませんよ」

そう。彼女が、彼女自身も自覚が無いまま、想いを寄せている相手がいることを知っていながら、思わず彼女の持つその温かさを欲してしまいそうになる。

「そんな…皆さんとても親切にしてくれています。私なんて何の役にも立ちませんのに」

自分の価値を気づかないまま、困ったように眉を寄せる姿も可愛らしいと思ってしまう。
そんな己の感情に、山南は内心で苦笑する。

「ふふ。そういうところが危ないのですよ」

これは忠告ですよ。
そう心の中で呟いて、山南はそっと手を伸ばすと、千鶴の前髪を掻き分けてゆっくりと触れるだけの口付けを落とした。


カット295誘い月


「さ、山南さんっ?!」
「…もう子供は眠る時間ですよ。おやすみなさい」

真っ赤になって慌てふためく千鶴に穏やかな笑顔を残して、山南は立ち去って行った。






  1. 2013/07/10(水) 23:44:24|
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