皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「落下流水番外編 氷輪」

桜夢記」のロカさんから、またSSを頂きましたー(^o^)/

こちらはピクシブで連載中の「落下流水」の番外にあたります。
ロカさんがご自分のサイトで連載の同名小説とは、分岐した後のお話です。

ピクシブ版の方の登場人物は、千鶴も原田さんも土方さんも沖田さんも、みーんなちょいと黒くて病んでますがw
私は結構こちらの√のお話が好きだったりします♪
なので、これを読んで興味の湧いた方は、ピクシブ版を読む事をオススメ^^


ではでは
いつものごとく、おまけをつけて―――続きからどうぞ♪



落下流水番外編 氷輪



「千鶴ちゃん! そんな血まみれの糸なんて僕が斬ってあげるよ。その糸は左之さんへの君の恋情、違うか、もう欲情かもしれないね。でも、もうそんなものは持てないよ。左之さんはじきに祝言を挙げるんだからね。近藤さんが嬉しそうに言ってた」
 僕の言葉にあの子の瞳が大きく開かれた。
「うそ……」
 まるでそう否定すれば、自分の願いが繋がるかのように……。
 だから、僕は続けた。
「今日だって、祝言あげたら住むことになってる別宅に行ってるよ。相手のお腹にはもうややこだっているそうだしね」
 絶望してしまえばいい。全てを諦めてしまえばいい。
 そうすれば、君がここにいる意味なんてなくなるね。それが近藤さんの為だし、新選組の為だ。
 だから、僕は続けたんだ。土方さんが僕のことを殺したいような目で見ていたけど、そんなことなんて関係ない。
 僕にとって一番大事な場所を守ることが出来るなら、僕はいくらだってこの手を汚すことなんてできる。
 僕の手を汚すのが血であろうと、悪意であろうと、構わない。だから、僕は真実を千鶴ちゃんに告げた。
 凍りついたように身動きできなくなった生き人形。それがいまの千鶴ちゃんの姿だった。

 あの子が新選組預かりになったのは、僕と一君が羅刹を斬った所を見られたからだ。あの場でこの子の命を終わらせていた方が良かったと僕は今でもそう思っている。
 面倒見のいい近藤さんや、結局は非情になりきれない中身が甘い土方さんの判断で命を永らえてしまったことが、君にとって仇になったね。
 確かに君は僕たちの中で生活していくにつれて、皆の心を動かし始めていたし、平助君なんて君に特別な気持ちを抱き始めてもいたみたい。君は気づいていなかったみたいだけど。
 そうだよね。男ばかりの集まりで、君みたいな子でもいればそれなりに彩にはなる。君が懸命に頑張っていたことも認めてあげるよ。
 でもね――――――。

 そんな君の瞳が一人だけを追いかけるようになったことに、気がついたのはいつごろだろう。
 おそらく君はまだ人を好きになったことがなかったんだね。それはとても不幸だったと僕は思うよ。だから、君はわからなかった。だから、君は自分を見失った。
 それは僕たちにとってあまりに危険で、余りに危うい想い。それを僕は断ち斬らなくてはならないと思った。  だから、君の想いを断ち切ってあげよう。それが新選組の為になるなら、近藤さんの為になるなら。
 そうだよね。だって、君は本当ならとうの昔に命を失っていたはずなんだから、左之さんへの想いを断ち切られて死んでしまうのならまだましだよね。
 ねぇ、納得してくれる?
 だって、千鶴ちゃん。君の想いなんてもう左之さんには届かない。君がどれだけ左之さんを慕っていたって、どんなに左之さんを想い続けても、左之さんがこれから抱くのは別な女なんだよ。
 しかも相手に子供までいるんじゃ、君は太刀打ちできないよね。
 僕は思うんだ。女は男を繋ぎとめておくために子を身籠るのかもしれないってさ。
 僕は絶対に誰かを好きになったりしないし、子供なんて欲しくもないから、よくわからないけど。
 きっと身籠った女の大きくなっていく腹の中には、ややと一緒に男を繋ぎとめておく呪いのような物も育っているんじゃないのかな。怖いよね、本当に。
 でも君だって同じだね。左之さんへの想いがまるで呪いみたいになって、今の僕達に絡みついている。
 君は自分の身体が血に塗れた糸で絡みついて動けないって言っていたけど、それは君が紡いだ糸。君が育てた呪縛。
それに自分から囚われているのに、まるで自分が囚われてしまったような言い方をするのは気に入らないな。
けど、仕方ないのかな。君はいままでこんなことには縁遠い所で幸せに生きて来たんだから、医者の娘。優しい父親。 僕が手にしたこともない幸せの中で生きて来たんだ。だからこそ行方のわからなくなった綱道さんを探しに京まで出て来たんだろうね。きれいごとしか知らない、可哀そうな千鶴ちゃんは。
 でも君は間違えたんだよ。少なくとも、選ぶ相手を間違えた。平助君あたりなら良かったかもしれないね。君に好意を寄せていたのは確かだったからさ。

 ねぇ、千鶴ちゃん。一つだけ聞いてもいいかな……。
 どうして左之さんだったの? どうして左之さんじゃなきゃいけなかったの?
 まるで想いが通じなければ息が出来なくなるみたいに、心の臓が止まってしまうかのように。
 僕にはわからない。わからないんだ、千鶴ちゃん。
 左之さんが女に扱いに慣れてるからかな。それとも君に特別と思わせるようなことをしてもらった?
 それは勘違いだよ。君は僕たちが手に入れた駒の一つ。綱道さんを取り戻すための道具。そんなこともわからないなんて、君は随分おめでたい育ちをしてきたんだね。言葉遣いが悪いって近藤さんに叱られちゃうかな。
 君はそんなに幸せに育ってきたの?
 妬ましいよ。ここでも簡単に居場所を見つけられて、皆からも大事にされて、それがあたり前で……。
 ねぇ、千鶴ちゃん。僕がきっと君を殺すんだろうね。
 君は知らないだろうけど、君が寝ついてから何度も僕は君の様子を伺って、部屋に入った。そこで何度も君の首に手を掛けた。簡単に折れてしまいそうな細い首。わき差しで斬り落としてしまおうかとも考えた。


落下流水番外編 氷輪

 でもね。できなかったんだ。
 どうしてだろう。こんなこと、今までなかったはず……。熱に浮かされて、うわ言を呟く、年下の女の子なんて簡単に殺せるはずなのにね。
 どうしてだろう。僕は君が苦しめばいいと思ってる。
 もっと、もっと、もっとって……。
 奈落の底まで落ちて、誰も助けてくれない絶望に囚われてしまえばいい。そうして、そこで君は選んだ相手を間違えたことを後悔するんだ。
 いつまでも……。
✾ 
 あ。れ。どうしたんだろう。僕は何を考えているんだ。
 千鶴ちゃんの事を考えると、最近はいつもこうだ。
 僕は剣だ。剣は何も考えないでただ斬るだけ。
 それなのに、僕は何を考えている。
 剣は何も考えてはいけないんだ。使い手のいうままに斬ることだけが、僕に許されていること。
 それに――――。
 ここは僕のたった一つの居場所だ。それを奪うことなんて誰であろうと許さない。それが試衛館時代からの仲間だって……。
 だから、僕は待っているんだ。千鶴ちゃんを斬る命が下るのを。
 凍える月のような刃を光らせたままで。
 僕は考えたりしない。新選組の刃はただ人を斬るために在るのだから……。
 誰かへの想いなんて、僕の中にあるはずなんて、ない……。
  1. 2013/03/19(火) 00:33:03|
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