皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「ガーターリングトス騒動記 番外編 斎藤一の場合」

どこからどんな風に始まったのかw
結婚式イラストがいつのまにかガータートス話になって、とうとうそれを受け取った人の話が私に戻ってきました^^

無欲の一君がガーターを手にしちゃったらどうなるのか―――とつい零した一言を、掬い取って下さった「桜夢記」のロカさんには感謝!
とっても素敵なほのぼのあったかSSになりました♪

この所、仲良くしてもらってる二次小説サイトの皆さんから、私の好きな一君を題材にしたSSを続けてもらっていまして、大変ありがたく思ってます。
自分だと、好き過ぎてなかなか描けない、というワケのわからない状態にいるものでw 挿絵を描かせてもらって一君不足を補わさせてもらっています。

そんな訳で今回も蛇足の絵を付けて♪
続きから、一君、歳の差婚なるか!?をどうぞw

本編「ガーターリングトス騒動記」を読みたくなった方はロカさんのサイトへGO!




ガーターリングトス騒動記 番外編 斎藤一の場合



 千鶴の手からガーターリングが放たれた。空を舞ったそれは独身男性の中でフワフワと舞い、半ばお手玉状態になった。

「あ!」

 まさに薫か沖田がガーターリングを手にしようとした時、二人の手が偶然にもガーターを弾いた。

 そして、それは見事な曲線を描いて、照れくささのあまりに固まっていた斎藤の元へ辿り着いたのである。

 おそらくは無欲の勝利であった。

                         ❀

「おーー! 見事にガーターをゲットする栄誉を手にしたのは斎藤か!! 次の花婿は原田と同じ試衛館仲間の斎藤一に決まりだぁー!!」

 不知火の悪乗りした司会っぷりに、原田が僅かに眉をひそめた。

『斎藤の奴、完全に固まっちまってるじゃねぇか』、と。(いや、固めたのは君たちでしょう……、絶対)

 おそらく斎藤自身は己の元へ飛んできたものを条件反射的な運動神経で取っただけで、そこに深い意図などない。

 だが、不知火の大声に己が手にしているのがガーターリングだと云うことにようやく気が付いたのだろう。

「や、や、や、山崎、こ、これは……」

 斎藤には事情がまるで読めていないようだ。顔を通り越して首まで赤くなり斎藤はあたふたとしている。

「斎藤先輩、取りあえずは落ちついてください!」

 挙動不審な斎藤と宥めるのは山崎である。取りあえずはと、グラスに入ったミネラルウォーターを呑ませて、ポンポンと背中を叩く。焦って気管に水が入らないようにするためである。もちろん、その間ガーターリングは斎藤が手にしたままである・

 シルクの青いリボンに千姫曰くベルギーから取り寄せた特別なレースを使ってオーダーされたガーターリングをしっかりと掴んでいる己の手……。

 その事実に改めて、ピキリと全身が固まるのを斎藤は感じていた。

「おや、良かったですね。斎藤君が次の花婿だということですか。おめでたいことは続くと言いますから、次にお嫁さんをもらうのは本当に斎藤君かもしれませんねぇ」

 なんてことのないように言ってのけるのは山南である。

「さ、さ、山南さん、そのような、……」

「斎藤君、なにもそのように照れずとも……。司会の不知火さんも言っているではありませんか。あなたは千鶴さんが投げたガーターを受け取るという栄誉を手にしただけですよ」

 にっこりとほほ笑む山南の笑顔の底が見えない。

「おー、良かったなぁ。斎藤君」

 まるで自分がガーターリングを受け取ったかのように、近藤が斎藤の傍までやってきて言ってのける。

 硬直しながら、頭の中でこの事態をどうしたものかと、ぐるぐると走りまわって混乱している己がいることを、斎藤は自覚していた。

 迷惑、などでは無論ない。どちらかといえば幸せをお裾分けして貰い、うれしい、のだ。

「まぁ、受け取ったのが斎藤なら、落ちつくとこに落ちついて一安心ってとこだな」

 そう言って胸を撫で下ろしているのは土方だ。

 薫か、沖田か……。それとも試衛館とは全く関わり合いのない招待客の手にガーターが渡った時のことを案じていたのだろう。

「で、ですが、……。土方さん……」

 傍目から見ても気の毒なくらいに慌てふためく斎藤に、どこからか、

「あそこで薫ちゃんが邪魔するから」

「それはこっちの科白だ! 沖田!」

 と言い争う声が聞こえてくる。

「ったく……。あいつらはこりてねぇなぁ。やれやれ、説教しに行ってくらぁ」

 正装姿だと言うのに、がりがりと頭を掻きながら、土方が二人のじゃれあいを止めるためにそちらへと向かう。それと入れ替わるように原田と千鶴の二人が斎藤達の元へとやってくる。

「今日はいらして下さってありがとうございました。ガーターを受け取ってくださったのは、斎藤さんだったんですね」

 丁寧な仕草で斎藤に頭を垂れる千鶴の頬にほんのりと朱が挿している。まるで桜の花のようだと斎藤は思った。

 そして柔らかで優しい笑みがいつもよりきれいに見えるのは、きっと幸福が形となって表れているからだろう。

「……。あ、いや、こちらこそ、ありが、とう……」

 どう返事を返したものか、眼の前に居るのは二人の幸せそうな姿をとても嬉しく思うのに、どうしても口が上手くまわらない。

「斎藤! 土方さんが薫と総司を大人しくさせにいったから、今の内にガーターリング、しまっちまえ!」

 土方に説教されている二人を遠目に見ながら、原田がせかせるようにそう促す。

「そう、だな」

 朱色ががった髪を今はオールバックにしているせいか、見慣れないロングコート(と薫に教えてもらったのだが)を身につけているからだろうか、少しだけ感じの違う原田に戸惑いながら頷いてみせた。そんな斎藤の様子に、それまで千鶴が後ろ手にして隠していた物を取り出した。

 身につけているドレスと同じ生地で作ったのだろう。クリーム色のシルクの生地に丁寧な手仕事でレースが縫い付けられた愛らしい巾着のようなポーチだ。口のところを縛るようにしてあるのはガーターリングに使われているのと同じ青いシルクのリボンだ。

「これを使ってください」

「これは……」

 受け取って良いものかと迷って、原田に問いかけるような視線を送った。そんな斎藤に笑いかけると原田はこう言った。

「受け取ってやっちゃくれねぇか。千鶴がな、ガータートスをすることになった時の為にって、自分で作ったんだぜ」

「自分で……」

 斎藤は驚いた。勿論、千鶴は道着の繕い物などを得手としていたが、シルクなどは綿物と違って扱いづらかったろうに……。

「ブーケなら良いですけど、ガーターリングじゃ受け取る方が入れるものがないと困ると思ったんです」

 確かにこのまま持ち帰れと言われても困る。だが、一針一針気持ちを込めて作ったものだろうに、受け取って本当に良いのだろうか……。

「シルクなんて扱いなれてないから、あんまり上手にできなかったんですけど」

 にこりと笑って肩をすくめる。その肩に原田の手が廻された。それに恥ずかしそうではいながらも、嬉しそうに微笑む千鶴の姿。

 あゝ、と斎藤は思った。千鶴は本当に幸福なのだと。

 同時にその幸福を分かち合う機会を感謝したいと思った。

「感謝する。これは頂こう。ありがとう。それから聞き飽いたかもしれぬが、あらためておめでとう左乃、千鶴」

 千鶴からその小さなポーチを受け取ると、斎藤は優しい手つきでガーターリングをその中へ大切に収めた。二人の幸福な姿の記憶と共に。

                         ❀

 その帰り道……。

 千鶴の同級生だろうか、同じホテルの引き出物が入ったと思しき紙袋を持った女子高生の集団と斎藤は同じ帰路をたどっていた。

 千鶴も友人といるときはこうなのだろうか。まるでキラキラとしたものが周囲に舞うようにおしゃべりに花を咲かせている。

 その中の一人がポロリとこぼした一言が、斎藤の心の中に長くとどまることになった。

 千鶴は元より、試衛館の人間の皆も、そのことを知るのに三年の年月が必要だったのだが……。

                         ❀

 三年後……。

 原田家には一つの大きな出来事があった。

 千鶴によく似た色白で、瞳が大きく、きれいな黒髪をした愛らしい贈り物がやってきたのだ。

 千雪、と名付けられたその原田家の長女は既に皆の大事な宝物状態だった。

 千鶴と千雪が病院から自宅へと戻ってくる今日は、あのガーターリングを廻って大騒ぎをしたあの日のようだった。原田家に試衛館メンバー全員と近藤夫妻に雪村の父母が揃っている。

 もちろん、その中心に居るのは千鶴と千雪だ。

 千鶴が結婚式に身に着けていた騒動を引き起こしたドレスは、仕立てなおして千雪のベビードレスになっている。

 仕立てを請け負ってくれたのは、あのドレスをオーダーしたブライダルショップだと原田から聞いていた。

 すっかり赤ん坊仕様になっている室内に、意外に原田は子煩悩だったのだなと斎藤は苦笑した。千雪を抱きあげる仕草もすっかり父親のそれだ。

「ほら、ゆきちゃん。斎藤さんですよ」

 遠慮するようにリビングの片隅で幸せそうな皆の姿を見つめていた斎藤に、千鶴が千雪を抱いて連れてくるとその顔を見せる。

 甘いミルクの匂いのする千雪が大きな青みががった瞳で斎藤をじっと見つめていた。

「え、あ、俺はどうすれば……」

 千雪をだっこさせようとしているのだと気づいて斎藤は慌てた。こんなに小さい子を斎藤が抱きあげたりしたら怪我でもさせてしまうのではないかと不安になる。

「大丈夫ですよ。首が座っていないから、それだけ気をつけて下されば……」

 説明しながら、千鶴が斎藤の手に千雪を渡す。恐々抱きあげた小さな命はとても柔らかくて暖かだった。

「あ、忘れていた……。山崎、すまないが俺の鞄の中に入っている包みを左乃と千鶴に渡してもらえないだろうか?」

 少しでも動いたら泣きだしてしまうのではないかと斎藤は心配で身動きができなかったのだ。

「斎藤先輩、これですか?」

 山崎が取り出したのはどう見てもあまりきれいに包装できているとは言い難い物だ。

「ありがとう。左乃、千鶴、これは俺からだ」

 確かにそれだと山崎に礼を言い、そうして彼の手から二人の元へその包みが渡された。

「もしかして、それがお祝い? 一君って意外にケチ……?」

 成人並みはある大きなぬいぐるみを祝いの品として抱え込んできた沖田がぼそりと呟いた。それを聞きとがめた土方に睨まれていたが……。

「これ、」

「こりゃあ……」

 渡された包みの中身を見て、原田と千鶴は互いに顔を見合わせて懐かしそうに、それでいてとてもうれしそうに微笑んだ。

 それは結婚式の日に斎藤が手にしたガーターリングだった。

 大切に保管していてくれたのだろう、それは全く色あせることなどなく千鶴と原田の手に再び戻ってきた。

「これが祝いというわけではないのだが……」

 そう前置きすると斎藤はあの日に帰りに知り、今まで黙っていたことを打ち明けた。

「俺は結婚式の帰りに、本当ならこれは2つで一組だと聞いた。一つはガータートスをして、残った方は赤ん坊が生まれた時にヘアバンドとして使う。そうするとその子は幸福になれるそうだ」

 しかし千鶴は一つしかガーターリングを用意してなかったはず。

 だから斎藤はその話を耳にしたときに、このガーターリングを預かっておこうと思ったのだ。

 二人の間に新しい命が生まれたら、その子に幸あらんことを願うために……。

「ありがとうございます、斎藤さん」

 僅かに涙ぐんだ声で千鶴が礼を述べる。その言葉に斎藤は嬉しそうに微笑んだ。

 そうして己の手の中にある小さな命に語りかけた。

「皆がお前の幸福を願っているのだ。誰よりも幸せになれ、千雪」

 斎藤の囁きに、ふぁりと千雪が笑ったように見えた。そして、小さな指で斎藤の髪をしっかりと掴んだ。まるでここに幸福があるのだと云うように……。

 優しさと暖かさの中で育まれて、こうして命は繋がれていくのだろう。

 そこにこそ、幸いあれ、そう斎藤は願った。

                         ❀

 それはまだ千雪が斎藤を一ちゃん、一ちゃんと呼んで後を追うようになる前のほんの少し前の話……。


ガーターリングトス騒動記 斎藤一の場合


おしまい
  1. 2012/11/05(月) 12:06:10|
  2. 頂きもの
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<今日は立冬ですか | ホーム | 「腐女子のススメ」おまけ♪ 副長編>>

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2012/11/05(月) 20:04:53 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

みゃう様♪

こんばんは!
何かどっかで見た構図だな~と思ってたら、ゲーム内の原田家族の絵と重なってしまいましたね;
まあ、でもあれを一君でできた、という事で自己満足w
それにしても歳の差婚したら、一君は原田さんを『お義父さん』と呼ぶのかしら――などと、しょーもない事考えてしまいました。
みゃうさんは平ちゃんで!? うわーロカさんがどんな料理をしてくれるか楽しみ!
それにしても、ホントに最近一君で話が作れなくて困ってます;
頭の中には理想の一君がいるのに、いざ描くと違う…って。なぜなんでしょうね。
原田さんだといくらでも描けちゃうのに…(実はまたひとつ新しい原田さん話がもやもやとw どうしましょうww)おかげで、うちに来て下さる最近の方には、私が原田さん最愛だと思われてるようで^^;

今日の雨はまた冷たい雨でしたね。
みゃうさんもくれぐれもご自愛の程を。
  1. 2012/11/05(月) 22:35:43 |
  2. URL |
  3. ちょこ #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kougethuan.blog.fc2.com/tb.php/286-3e0bd1f1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)