皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「愛し君に数多の倖を」

またまたまたSSを頂いてしまいましたー(^o^)/
今度は、先日の残暑見舞いの鬼夫婦のカットに、「雨夜桜」の雨夜様から甘~い二人の話を♪

それにしても、私などの絵から、皆さんどうしてこんなに素敵なお話を思いつかれるのでしょう。
こちらは、ちょっとした思い付きから描いたものなのに…いつも私の絵にお話をつけてもらう度、そこからまた世界が広がるような素晴らしい贈り物をもらう気分です。

本当にいつもいつも皆さん、ありがとうございます!


ではでは
蛇足のおまけをつけさせてもらって―――うちでは珍しい風千を、続きからどうぞ^^




愛し君に数多の倖を



熱い……
暑い、のではなく、照りつける日差しがジリジリと肌が焼かれるように熱い。
西の鬼の里がいくら山奥とはいえ標高が高いこの地は、照りつける太陽の光も平地の江戸とは比べ物にならない程強い。

鬼の頭領風間千景の妻千鶴は、庭で洗濯物を竿に干しながら、止め処なく額を流れる汗を手ぬぐいで拭う。

風間は、「頭領の妻が家事雑用等する必要ない」と口では言うが、「せめて愛する夫の事は自分でやりたいのです」という千鶴を「よくよく雑用が好きな奴だな」等と憎まれ口をききながらも、結局は口端を上げ許可してくれるのだが……


「………千鶴…」

ふと千鶴の背後から、耳傍で呟かれる溜め息混じりの不機嫌そうな声が聞こえてきた。

「っ、ち、 千景さん!?」

くすぐったさに首を竦めてはっと振り返れば、些か不機嫌そうに眉をしかめた風間の姿が目に入る。
家事を許可した建前上、炎天下で洗濯物を干す妻に文句を言おうにも言えず……といった所だろうか。


カット155

「……今帰った…」
「お帰りなさい!予定よりお早いお帰りですね。またご無理されたんでは……」
「無理という程の事はない……仕事が早く終わっただけだ……」
「なら、良いのですけど……」

風間は昨日朝より関東の隠れ里の火急の用件により里を離れていて、帰宅は早くとも明日になると聞いていた為、突然の帰宅で些か驚く。

一見冷酷非道と思われがちな風間だが、いざ鬼の中に入ってみれば他の鬼の誰よりも同胞想いで、嫌な顔をしつつも頭領としての執務をこなし、風間の里の民にも慕われていた。

千鶴と婚姻を結ぶことで過去に分断された鬼の東西統一を成し、名実共に東西鬼の頭領となった風間は、今や西の鬼達だけでなく東の鬼達にも頼られる存在となり執務も多忙を極める。
故に一月に数回家を空けることもしばしばだが、しかしどんなに遠かろうと風間は大抵予定を早めて里に帰って来ていた。
天霧曰く、道程途中で宿を取ると言っても不要だと断られてしまうのだとか……早く千鶴の元に帰る為に……。

そして今も目の前で千鶴を見つめる風間は、例によって宿も取らず仮眠すらせず、千鶴に会いたいが為、一晩中関東から駆けてきたに違いないのだ。
そんな風間を思うと、千鶴はほのかに胸の内が熱くなり自然と頬が緩む。

「関東までお仕事お疲れさまでした。さぞお疲れでしょうからすぐに湯殿の用意を……、あ、それとも朝餉がまだでしたら先に」というと、「いや……」と風間が千鶴の言葉を遮る。

「夜から駆けてきた故多少疲れた…暫し休む……千鶴、膝を貸せ」
「あ、はい」

丁度洗濯物が終わった千鶴は、一旦部屋に入り団扇を持って来て縁側に座ると、膝にコテンと風間の頭が乗ってきた。
午前中縁側は日陰になっていて、炎天下の庭に出ていた千鶴の火照った肌がスーッと冷えていくのを感じる。

膝に心地よい重みを感じながら、見た目よりも柔らかくしなやかな彼の金の髪を指で梳き、すこしでも疲れが癒えるように、すこしでも心地良く眠れるようにと、緩やかな風を団扇で扇ぎ送る。

膝を枕に寛いだ風間が片足を曲げると肌蹴た衿下から白い素足が覗き、千鶴は思わず恥かしそうにわずかに頬を赤らめて目を逸らす。
そんな千鶴を見ながら、風間は満足げに目を細めて微笑んだ。

「フッ、幾百と夜を共に過ごしてきた夫にまだ初心な反応するものだな……千鶴」
「っ!……」

髪に触れていた千鶴の手を掴み胸の前まで持ってくると、滑らかな白魚のような千鶴の手指をスルリと撫でる。
その艶やかな触れ方が、千鶴の頬ならず顔面を朱に染めた。

「……千鶴、そろそろ子を作るか」

そう言いながら風間は優しげに微笑む。

千鶴は、てっきり風間が婚姻後すぐにでも子供が欲しいものと思っていたし、千鶴自身自然と子が授かるならそれでも良いと思っていた。
しかし、風間は婚姻後二人で過ごす時間を……と、今まで子を成さずにいた。

「夫婦二人というも良いが、俺が留守の間お前一人でいるのは寂しいだろう?」
「ふふ、そうですね……暫し二人だけというのも良いですけど……家族が増えたら楽しいし、赤子が生まれたらきっと可愛いでしょうね」
「あぁ…そうだな…」



出会った頃は、ただひたすら恐怖でしかなかった風間。
彼と共に新選組を追い、北の地で彼らの最後を見届けた……
そんな幕末の波乱を越え、今や唯一無二の存在となった夫風間。

頭領としての自覚か、幼少の頃より自分以外の者には決して心を許さない彼が、唯一千鶴の傍らでは獣のような警戒心を解き、力を抜いて身を預けてくれる。
そんな他愛もないしぐさ一つが、千鶴は愛おしい。

そして近い未来、愛する大切なものが一つ二つと増えていく…
そんな幸せを大切に守ってくれる最愛の夫を見つめながら、千鶴はふわりと微笑んだ。
END


カット152
  1. 2012/08/17(金) 23:34:17|
  2. 頂きもの
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<たまにはこんな組み合わせ^^ | ホーム | たまには平ちゃんにも>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kougethuan.blog.fc2.com/tb.php/245-8a3061ef
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)