皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「夢の逆流」

本日、町内会のどんど焼き終了!
今年は町内会の役付きになってしまい、年始から連日いろいろな事に駆り出されるハメになり、少々バテておりますが―――年末に頂いた「朱夏」のみゃう様からのSS、今日やっとUPさせていただきます(ノ∀`;)


私の『眠れない夜』という漠然としたリクエストに、とっても素敵な『呟き』を書いてもらいました!

誰の『眠れない夜』話になるのかとわくわくしていましたが、私の予想は全くはずれw
こうくるとは……さすがみゃう様^^

ではでは、いつものごとく、蛇足のカット挿入ですが、それでもよいという方は、続きよりみゃう様の言の葉で癒されて下さいませ♪



夢の逆流


学校で自転車の鍵を落とした。
予備は自宅の鍵につけて在るので帰宅には困らない。
ただ先月の春休み。幼馴染みの藤堂と出かけた遊園地で、揃いで買ったキーホルダーがついていたから、それだけは無くしたくなかったのだ。
「今日届いた落とし物はこれだけだが……。自転車の鍵はねぇな」
放課後、千鶴は職員室を尋ねてみたが届けられてはいなかった。
「ありがとうございました。もう一度、よく探してみます」
「あぁ、でも遅くならねぇうちに適当に切り上げろよ。駄目なら誰か手の空く奴に送らせてやるから」
「はい。でも予備は在るので大丈夫です。ただ大切なキーホルダーが付いていたから諦められなくて」
「そうか。後から届く事もあるからな。また見に来い」
見つからなかった事は残念だったが、応対してくれた教師の気遣いに感謝しながら職員室を出た。
自転車置き場から玄関。そして教室。
渡り廊下。さらに学食。保健室…。
今日一日の行動を辿りながら、入学早々で不慣れな校内を俯きながら歩く。
小さな物だから、誰かが気付かず蹴飛ばしたかも知れない。
諦め切れない気持ちで壁の端々にまで目を凝らすけれど、それでも見つからない。
思い付く場所を探し尽くした頃には、校内に人の気配が無い。
仕方なく諦めて。
疲れた足で鞄を取りに教室へ戻った。

「何だ、こんな時間までまだ残っていたのか。早く帰れよ」
帰宅準備をしていた千鶴に近づいて来るのは、担任の原田だ。その手に握られた光って揺れる物に千鶴の目が留まる。
「先生、それ。そのキーホルダー!!」
原田が持っている、それは。自分が落とした物に間違いない。
「ん、これか。可愛過ぎて笑えるけど平助のだ。教務室に落ちてやがったから、明日にでも渡してやろうかと思ってよ」
「違います、それ。私のです。探してたんです。あって良かったぁ」
「お前の?。前に平助が持っているのを見たから、てっきり…。だったら悪いことしたな。遅くまで随分と探させちまった」
すっと差し伸べられた手が、ぽとりと千鶴の頭上に落ちた。そのままさらりと何度か撫でる。
初めて、親しく触れられて。
気恥ずかしさに思わず俯くと、原田の掌があやす様にポンポンと軽く弾んだ。
優しい…懐かしい…温かい。
溶されるようなうっとりとした感覚が、心に染みて落ちる。


夢の逆流

どうして?。
判る筈が無い。
知らない。
こんな柔らかで、和やかな甘さ。
それまでの。
担任と生徒。千鶴の中で大人と子供の壁が揺さぶられて弛んだ。

「…先生」
呟きを抗議と感じたのか。原田は慌てて千鶴の頭から手を退ける。
「あぁ悪かったな。子供扱いして。ちゃんと恋人も居るってのに」
「恋人なんて…いません」
「隠す必要なんか無いぜ。無理するな。皆には黙っててやるから」
ほら。
原田は千鶴の手を取ると、キーホルダーをぎゅっと握らせる。
「大事なキーホルダーだろ、もう落とすなよ」
見つかって嬉しい筈なのに。
返されたキーホルダーが、千鶴の掌の中で重く重く沈んで感じる。

玄関まで原田に見送られ。
自転車置き場まで来たところで、携帯が鳴り出した。
「はい」
「お前、いま何処?」
藤堂が切羽詰まった声で問い掛けてくる。
「学校だけど」
「俺より先に帰った筈なのに、未だ帰らないって聞いたから」
「ごめん。探し物してたの。見つかったから帰るところ」
暗いから迎えにいくという申し出を、待っていたら更に遅くなるからと説き伏せ、千鶴は帰路についた。

深夜、ベッドの中。千鶴は幾度となく寝返りを打つ。
疲れている筈なのに、今夜に限ってなかなか寝付けない。
幼馴染み。藤堂はいつも千鶴の隣にいて、沢山の思い出を分け合って来た。
今だって困った時には直ぐに助けてくれて、嬉しい時には一緒に笑ってくれる。
かけがえの無い,大切な存在であることは確か。
でも…。
揃いのキーホルダーを持つ意味を、原田は恋人の証と受け止めた。
自分に。確かな気持ちがあるのだろうかと千鶴は自問する。
原田に触れられて。一瞬とはいえ、キーホルダーの存在すら忘れてしまったのに。

堂々巡り。
思考が、感情が。逆流して交錯する。

朝になれば、藤堂が時間通りに迎えに来てくれる。
担任である以上、校内で原田を避ける事は出来ない。
二人と顔を合わせる。その時々に。自分はどんな顔をしているのだろう…。

眠らなければ…そう判っているのに。
目を閉じる力は強くなるばかりなのに ー 眠れない。

  1. 2012/01/10(火) 00:03:24|
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