皓月庵

乙女ゲーム中心の趣味に走ったアナログ二次創作ブログ。マンガと小説のごちゃまぜ^^;

「夢見の迷宮~If~」

「夢見の迷宮」は、あまり反響がなかったので、うちでは受けのよくない系統のお話かと思っていたのですが(^^;

茶々姫」のMURAさんから、続編を書きたいとのお申し出を頂きました!
すっごく嬉しかったです~o(≧ω≦)o
あんな所で終わってるお話をどう続けて下さるのかと、読者気分でどきどきわくわく♪

そしてまずはMURAさん的な新展開を期待させる一話目を頂きましたー(^▽^)/
是非、続きから読んで下さいませ^^
そして一緒に続きを待ちましょう!


挿絵は感謝を込めてMURAさんへ進呈します。
他の方はご遠慮下さいね。




夢見の迷宮~If~



柔らかい風に葉が揺れ、葉が静かに揺らめいた。
閉ざしていた瞼に木漏れ日を感じ、何気なく開いた瞳に初夏の日差しが差し込んでくる。
その眩しさに思わず目を細めやり過ごす。
青い空に浮かぶ白い雲。夏はもうすぐそばまでやってきているこの季節。
どこまでも澄んだ空を瞳に映す沖田の心はそれとは真逆なまでに曇っていた。

―――もう、いい加減に私を見てくれたっていいじゃない!

似たような言葉を言われたのは、もう何度目だろうか?

(今度こそ、好きになれるかも……)

告白を受ける度に何度も、そう思った
頬を染め、俯く女子の姿は確かに愛らしいものだ
だが、そんな事よりも沖田の意識は自然とその髪型に向けられる
告白をしてくる子は、みんなポニーテールをしている

 高く結い上げた髪
 はにかみ俯くその姿

その姿に言い様のない親しみと
懐かしさを感じてしまうのだ

―――沖田さん

そう、呼ばれるたびに
心臓が小さく跳ね上がる

(もっと、呼んで欲しい)

そう、願っているのに
親しくなればなるほど、その呼称は変えられてしまう

「総司君。」
「女の子からそう呼ばれるの好きじゃないんだ。」
「え……」

驚き、そして傷ついた顔
酷い事を言っているとの自覚はある
けれど、罪悪感は何故か微塵も感じられない

哀しみに歪むその顔を、冷めた目で見下ろす
酷い、と呟き涙を零されても胸が痛む事すらない

「自分にウソをつくのは苦手だし……」
「そんなっ、どうして!?」

 あぁ、まただ
 また、同じ事の繰り返しだ……
 こんな事がしたい訳じゃない
 そんな姿が見たい訳じゃない

 ただ…
 ただ、笑っていて欲しいだけなのに……

哀しげに涙して俯くその姿
頭上から見下ろすのは何故か苦手だった
俯き揺れるその髪型を、見たくは無かった

―――沖田さん、
―――意地悪 言わないで下さい……

だから、優しくした
優しい言葉をかけ
目の前にいるその娘(こ)に気を使う

自分らしくないと、少しは思うものの、
それでも笑ってくれるのならばとすら思えた

 高く結い上げた髪を風に靡かせ
 「沖田さん」と笑顔で呼んで欲しい

ただ、それだけなのに
なのに、こんなちっぽけな望みが叶う事は無い

最初はずっと同じだった髪形が、何度目かのデートでは変わってしまう
「沖田さん」と呼んでいた筈なのに、それもいつの間にか「総司君」と呼んでいた
その度に、何かが胸の奥で 違う と、叫ぶ

その声に気付かないフリをして
何でもないフリをしようとしても
 目に映る『姿』
 耳に響く『言葉』
それらが全てが 違う と拒絶する

「ごめん。ポニーテールじゃない君には全然興味が湧かない。」

煮え切らない態度に痺れを切らすのは大抵、『彼女』の方だ
泣きながら走り去る、その後ろ姿
悪い事をしたなとは思うものの、それでもやはり胸はちくりとも痛まない
きっとあの娘の髪形がポニーテールだったのなら、また違っていたのだろうなとは思うけれど

何度も何度も期待して
幾度も幾度も裏切られた

その度に、もう止めようと思った
なのに、
無意識にその視線は夢の中の『彼女』と同じ髪形を探してしまう

探すまい、意識すまいと思えば思うほどに
夢の中の『彼女』を探し求めてしまう己に、もはや嘲笑すら浮かばない



昨夜も『彼女』の夢を見た

 優しい声
 細く白い腕

洗濯物を干しているその後ろ姿

―――沖田さん

振り向く『彼女』
赤い結い紐で高くくくった髪がふわりと風に靡く
ピンクの着物に白い袴がやけに眩しく感じられた

 君は誰?
 僕の何なの?

何度も何度も、そう問うたけれど
答えが返ってくる事は一度も無かった

幾度も幾度も
手を伸ばそうとした
けれど、その伸ばした指先が『彼女』に届く事は無い

あの姿を見る度に
胸が、心臓が変になる
痛くて、苦しくて、哀しい
なのに、それでも『彼女』の姿を見ると嬉しくなる
例え、これが夢なのだと解っていても……

夢から醒める度に、心が軋む
最初は純粋に楽しかった筈なのに
最近では、現実との『違い』に苦しめられるばかり

 そっちから呼びかけてくるくせに
 なぜ、こちらの声に応えてくれないの?

 勝手に人の夢に出て呼びかけてくるくせに
 こちらの声には、ただの一度すらも応えてもくれない 

 夢に出てこなければ
 もしかしたら、忘れられるかも知れないのに
 もう、こんなに苦しむ事は無くなるかも知れないのに

 伸ばしても伸ばしても、届かない手
 幾度も幾度も呼びかけたけれど『彼女』が応えてくれる事は無い

 もう、止めたい
 『彼女』の面影を追い続ける事に疲れ果ててしまった
 何度も何度も、今度こそはと期待し、そして裏切られる

 見えない糸にぐるぐると雁字搦めに縛られて
 いい加減にして欲しいと、もがき足掻くけれど
 それでも『彼女』はその手を伸ばしてはくれない

 何度も伸ばしたこの手を、
 いつか『彼女』が手に取ってくれる日がくるのだろうか

吸い込まれそうな程の鮮やかなコバルトブルーの空
浮かぶのは、ふわふわとした綿菓子のような白い雲

けれど、沖田の瞳にその色は映らない
ただ、ただ静寂なモノクロの世界に閉ざされているような感覚だ

届く事の無い手
振り向く事の無い『彼女』

もう、止めよう
期待しても裏切られ傷つけられるだけだ
そう、思った
なのに

「沖田先輩の事が好きなんです!。入学してからずっと見ていました!。だから……」

恥ずかしそうに俯く姿
緊張に震え揺れるポニーテール

モノクロの世界がほんの少しだけ色づいてゆく

もしかしたら
今度こそは……

「………いいよ」

どうせ無駄なのだと、頭の隅っこで嘲笑う自分がいる
けれど、それでも、どうしても手を伸ばしてしまう己がいる


 会いたい、逢いたい
 『彼女』に、君に逢いたい………

 出口の無い迷宮
 閉ざされた夢の中

 どうすれば良いのだろうか
 どこに行けば良いのだろうか

この『悪夢』から出られる日は来るのだろうか………



---------------------------



「うわっ、千鶴。悪ぃ!」

ふいに響く平助の声。
夢現だった沖田の意識が引き戻された。

すぐ傍の部室の窓からの声に憂鬱な気持ちを抱えながらも、気分転換にでもと沖田が重い腰を上げた。
ひょいと窓から覗き込む。

(……え?)

心臓がどきりと跳ね上がる。
周囲から全ての音が消え去った。

カット969夢見の迷宮~If~

 高く一纏めに上げられた髪
 白く細いうなじ

何故か脳裏に焼き付いて離れない『彼女』の姿を思い出した。

「ごめん、千鶴。」
「雪村、これを使え」

濡れた肩を避けるように片手で髪を一纏めに高く上げた千鶴。
ジュース片手に謝罪する平助。
素早くハンカチを差し出す斎藤。

どうやら、平助が千鶴の肩にジュースを零してしまったようだ。

こちらに背を向けている千鶴。
あわあわと慌てふためく平助。
濡れた肩にハンカチを押し当てる斎藤

「すみません、斎藤先輩……」

申し訳なさそうな、その声。

―――斎藤さん

何故か『彼女』の声と重なり合う。

「あ……」

心臓が激しく鼓動する
喉が急激に乾いたような感じがした

「総司、またそんな所から……」

呆れ口調の斎藤の声に我を取り戻す。
視線を戻せば、既に髪を降ろした千鶴が怪訝そうな表情でこちらを見ていた。

髪形が既に戻っていた事に残念な気持ちを抱えながらも、一気に高まった感情が少しだけ落ち着いてゆく。
ふぅ、と小さく息を一つ吐き出し、何でも無い表情で三人を見やる。

「何やってるの?」
「それはこちらの台詞なのだが?」

覗き見状態な沖田をじろりと睨む斎藤。
別に、と苦笑を浮かべながらも視界の端で千鶴を捕え続ける。
分厚い眼鏡越しからの視線は少なくとも好意は欠片も感じられない。
その事が珍しいなとすら思えた。

「斎藤先輩」

その声に再び沖田の胸中がざわりとざわめく。

「私、着替えてきますね」
「ホント、ごめんな、千鶴……」

しょぼんと肩を落とした平助に千鶴は気にしていないと笑顔を向けた。
続いて斎藤に小さくペコリと頭を下げ、次いでその瞳が沖田を映す。
斎藤と同じように頭を下げ挨拶をするも、既に笑顔は無かった。

部屋を去って行く後ろ姿。
どうしても思い出すのは『彼女』の姿。

「ねぇ、一くん……」
「なんだ?」
「あの娘、なんて名前だっけ……?」
「………総司?」

本気で何を今更…と言いかけた斎藤だったが、閉められた扉を見つめる沖田の様子に訝しげに眉を顰めた。

「雪村千鶴、だ。」
「へぇ…千鶴ちゃん、かぁ……」

ぽつりと呟く沖田の声。
何故か斎藤の肌がぞわりと粟立った。




つづく(?)
  1. 2017/05/30(火) 19:55:15|
  2. 頂きもの
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